ある村にお金持ちの息子ゴーツクが居ました。
その村には暴れん坊の米太郎もいました。
ゴーツクは米太郎を金で操って村人を支配してました。
ですが徐々に米太郎がもっとお金をよこせと言って言うことを聞かなくなりました。
そこでゴーツクは米太郎より体が大きな中太郎に近づきました。
ところがこの中太郎は体こそ村一番大きかったのですが頭が悪すぎてゴーツクの言うことが半分も理解できません。
そこで今度は根気が良く頭の良い日乃丸男を中太郎の家庭教師に付けました。
こうして村人全員に中太郎を基準に行動するようにゴーツクはお金をばらまきました。
村人は喜んでいうことを聞きましたが米太郎は面白くありません。
何かにつけて中太郎をいじめようとします。
ところが力と知恵を付けてきた中太郎は米太郎に反撃するようになりました。
それを微笑ましく見ていたゴーツクでしたがある日、その中太郎がゴーツクにこう言いました。
「俺、お前の言うことは聞かない。」
これにはさすがのゴーツクもビックリ!
今まで20年もかけて中太郎を育ててきたのにこの仕打ちかと。
仕方がないので乗り捨てかけていた米太郎とよりを戻して今度は中太郎を封じ込めることにしました。
しかし村人はすっかり中太郎を軸に村を運営していたので良い顔をしません。
ですが中太郎も良いところばかりではなかったのです。
お金を稼いでは村人たちにこっそり貸付けては色んなものを担保に抑えるという裏の支配者になっていたのです。
ただ今まではその支配が緩かったので我慢していたのでした。
そんなある日、中太郎が風邪をひきました。
その風邪は瞬く間に村中に広がり村人の大半がこじらせて苦しみました。
働くこともできずただひたすらじっと家に籠らなければなりませんでした。
そこでゴーツクは村人にこう囁いたのです。
「どうもこの風邪は中太郎が皆を言うとおりにさせるために作ったウイルスらしいよ。」
事の真贋は謎でしたが多くの村人は中太郎にいろんなものを担保に差し押さえられた上に勝手に家の中に入って来ては大きな態度をとる中太郎に嫌気がさしていたので一致協力してこの話を「事実」とすることにしました。
そこで村人は中太郎に対して一斉に「弁償しろ!」と言い出したのです。
中太郎以外ほとんどの村人が真実はどうであれ「この風邪はお前の責任だ!」と言い出したから中太郎は怒りました。
米太郎からすれば中太郎から多額の借金をしているので「これ幸い」です。
中太郎に対する風当たりは日を追うごとに強くなってゆきます。
日乃丸男は間に挟まれて困りました。
村人と気持ちは同じですが露骨に態度に出せば家が隣なのでどんなひどい仕打ちを受けるか分かりません。
しかも丸男にとって今回の風邪はいつもの風邪よりうんと軽くて被害もほとんど無かったのです。
さらには丸男はゴーツクほどではないにせよお金持ちでもあり中太郎に借りはありません。
困り果てた丸男は皆と同じように風邪をひいて働けない振りをすることにしました。
村中が中太郎からの借金を踏み倒そうと中太郎との付き合いを止めて行きます。
もちろん米太郎が一番激しく罵っています。
丸男も中太郎に貸した玩具を家に持ち帰り始めました。
村八分の様相に怒りを露わにした中太郎は自宅で大暴れして村人を威嚇します。
この様子を見てほくそ笑むゴーツクですが、実は米太郎の収入の大半は未だに中太郎に頼っているのでなかなかこれ以上力関係が移動しません。
そこで今度はお金の値打ちを一気に引き下げて村人全員の資産を目減りさせるという方法を考えました。
これなら中太郎も米太郎も暴れたくても暴れるほど家計にゆとりが無くなります。
それでも怒りの治まらない中太郎は引き下がれません。
仕方がないので隣の家の丸男に八つ当たりをします。
丸男は普段はおとなしいのですが少しでも攻撃されると逆上するダメな癖がありました。
ところがそんなダメ長男を次男以下の兄弟は中太郎の挑発に乗ってはダメだと諭します。
すると今度は家訓を書き換えてまで米太郎と一緒に戦うと言い出す始末。
米太郎からすれば中太郎と丸男がやり合ってボロボロになるまで待ったうえで中太郎にトドメを刺せば良いのですから願ったり叶ったりです。
ですが丸男の家では家長たる長男がバカすぎると言うことで家長の役目を取り上げることにしました。
丸男は過去に色々と問題を起こしていたのでそれを理由に親族会議で決定することにしました。
続く