限りなく月に近づく おぼろ陽
梅雨時のおぼろ陽のたそがれは、憂いの表情のように見えました。
おぼろ陽の太陽は、嘆きの表情。
黄昏とは名ばかり。灰色の空に一点だけ、火が灯ったような陽の鏡。
梅雨の雲の束の間のいたずらか、おぼろ陽の後は、月が醒めた輝きを放つ満月の夜となった。
灰色に沈む太陽の沈黙。
輝きを曇らせるのは何に対して?
闇への? 人類の驕りの? それとも月への抵抗?
雲がいくら押し寄せても、悲しみの雨は降らせない。
祈りを捧げても、慈しみの雨ももう降らさない。
すべてを洗い流すお浄めの力もない灰色の空は、太陽の落胆の表情だ。
太陽はもはや光ではなく、月も闇ではない。
梅雨の日暮れに、太陽はいつしかオレンジ色のムーンストーンとなった。
古代インドで月の宿る石といわれ、愛と希望の象徴とされた石。
嘆きの中で、それでも太陽は、ムーンストーンの姿を借りて、月に限りなく近づくのだ。
梅雨の最中に綴る
伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
photo : sky over kamiuma, 27.06.2007
☆☆☆☆☆ 全国図書館協会選定図書になりました! ☆☆☆☆☆
『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
著:伊藤美露 定価:1,980円(+税)
ISBN4844359215
発行:株式会社エムディエヌコーポレーション
http://www.MdN.co.jp/
梅雨時のおぼろ陽のたそがれは、憂いの表情のように見えました。
おぼろ陽の太陽は、嘆きの表情。
黄昏とは名ばかり。灰色の空に一点だけ、火が灯ったような陽の鏡。
梅雨の雲の束の間のいたずらか、おぼろ陽の後は、月が醒めた輝きを放つ満月の夜となった。
灰色に沈む太陽の沈黙。
輝きを曇らせるのは何に対して?
闇への? 人類の驕りの? それとも月への抵抗?
雲がいくら押し寄せても、悲しみの雨は降らせない。
祈りを捧げても、慈しみの雨ももう降らさない。
すべてを洗い流すお浄めの力もない灰色の空は、太陽の落胆の表情だ。
太陽はもはや光ではなく、月も闇ではない。
梅雨の日暮れに、太陽はいつしかオレンジ色のムーンストーンとなった。
古代インドで月の宿る石といわれ、愛と希望の象徴とされた石。
嘆きの中で、それでも太陽は、ムーンストーンの姿を借りて、月に限りなく近づくのだ。
梅雨の最中に綴る
伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
photo : sky over kamiuma, 27.06.2007
☆☆☆☆☆ 全国図書館協会選定図書になりました! ☆☆☆☆☆
『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
著:伊藤美露 定価:1,980円(+税)
ISBN4844359215
発行:株式会社エムディエヌコーポレーション
http://www.MdN.co.jp/