MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

限りなく月に近づく おぼろ陽

2007-07-02 22:53:09 | Weblog
限りなく月に近づく おぼろ陽


梅雨時のおぼろ陽のたそがれは、憂いの表情のように見えました。


 おぼろ陽の太陽は、嘆きの表情。
 黄昏とは名ばかり。灰色の空に一点だけ、火が灯ったような陽の鏡。
 梅雨の雲の束の間のいたずらか、おぼろ陽の後は、月が醒めた輝きを放つ満月の夜となった。

 灰色に沈む太陽の沈黙。
 輝きを曇らせるのは何に対して?
 闇への? 人類の驕りの? それとも月への抵抗?
 雲がいくら押し寄せても、悲しみの雨は降らせない。
 祈りを捧げても、慈しみの雨ももう降らさない。
 すべてを洗い流すお浄めの力もない灰色の空は、太陽の落胆の表情だ。

 太陽はもはや光ではなく、月も闇ではない。
 梅雨の日暮れに、太陽はいつしかオレンジ色のムーンストーンとなった。
 古代インドで月の宿る石といわれ、愛と希望の象徴とされた石。
 嘆きの中で、それでも太陽は、ムーンストーンの姿を借りて、月に限りなく近づくのだ。


梅雨の最中に綴る
伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
photo : sky over kamiuma, 27.06.2007

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