さあさあ、シリーズが長くなってしまいましたが、まだまだシンポジウムの内容を振り返っています。
木村さんの講演でビジョンと看護理論の違いは何ですか?と言う質問が出てきました。木村さんがきちんと返答してくれています。今回は私流の回答。
絵を描く過程と同じです。ビジョンは最終的に出来上がった絵です。理論は鉛筆やキャンバスなどで絵を描くために必要なマテリアル。で、絵具や完成した絵が頭の中にあっても絵具を使って作って描いていかなければなりません。
絵具の性質、使い方、選び方、遠近法、構図など全てに技術が必要です。絵具や紙やキャンバスの性質をよく理解して、最終的な絵にするためにはどの絵具や下地を選ぶか?完成度を高めるために関わるもの全てが技術です。
どんなに絵具の性質を理解し、技術を持っていても、どんな絵を描きたいか?つまりアイデアがなければ絵を描くことはできません。最終的な絵の出来上がりもわからず描きだしたら、よっぽどずば抜けた才能でもない限り、最終的な絵は完成度の低いものになってしまいます。
ビジョンはどんな医療にしていきたいか?それぞれが自分の地域や職場で実現可能なものです。理論からビジョンを作り出す技術に長けているのが修士以上の学歴を持つ看護師だと私は思っています。
私は大学院にいた4年間(CNSコースを2年、NPコースを2年)の授業や課題を通して吐き気がするぐらいの大量の文献を読み、論文を書き、理論の理解とそれを使う技術を高めてきました。論文を書くたびにビジョンは明確になっていき、卒業後何をして、何を目指すのか地域に還元するビジョンが明確となりました。この課程は簡単なものではありませんでした。でも自分の脳みその活動域を信じられないぐらい増やした(思考力の向上)と思っています。
日本の看護系大学院もそう言う場であって欲しいと強く思います。
冒頭写真: バンフでの滞在は昨年同じく洞窟プールのあるFoxホテルで。ジェットの気流で疲れた筋肉の回復を試みます。