走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

患者に寄り添う その5

2019年03月21日 | 仕事
昨日の続き

患者と接する時間が少なくても看護はできる、と書きました。

臨床で働いている人はわかりやすい事です。同じことが教育、管理、研究分野で働いている看護師にも言えるのです。直接に関わっていなくても間接的に最終目的の国民の健康を向上するに対して、

1. Professional responsibility and accountability
2. Knowledge-based practice
3. Client focused provision of services
4. Ethical Practice

を行えるのです。こちらは3に対する各分野の具体例を表にしたもの。


私自身、臨床看護が大好きで看護師時代に管理職へ変わった時、直接ケアから間接ケアへの移行は簡単ではありませんでした。間接的なケアでも同じ目的に向かって重要な役割を果たしていると頭ではわかっていても患者と直接に接する時間をもっと欲しいと思っていました。

私が住むカナダでは看護系大学院課程は管理系のストリームがあり、他のストリームを卒業したものは本人が望まない限り管理職を任命されることはありません(そもそも日本のような任命システムはない。職替えはあくまで本人の意思)。もちろんリーダーシップは大学院卒には当たり前の事として求められますが、それは各職上のリーダーシップであり、管理職をするのとは異なります。以前にも書きましたが診療看護師、専門看護師が管理職を兼任したり、病棟勤務を兼任する日本の看護界の考えには私は全く同意できません。これについて以前書いたものはこちら

YMさんとは個人的な面識がないのでこれは憶測ですが、診療看護師となり臨床以外の業務が増えたと察します。私も各ミーティングに呼ばれますが行くものは決めていて、来てください、手伝ってくださいと頼まれても、自分が行かなくてもこの企画は大丈夫と判断する時は絶対行きません。私はナースプラクティショナー(NP)で患者を診察するのが最大の業務で、私1人のクリニックで、私が不在時に私の代わりに患者を診察してくれるNPが今のところなしで操業しているので、ミーティングに参加するためクリニックを閉鎖すると患者の健康に支障が出るため、こちらを優先させています。この理由だとボスに行けと言われてもボスを説得することができます。しかし月一で行われるNP部のミーティングには必ず参加しています。大きな組織で働く私にとってこれは重要だからです (これについては以前書いているのでこちらをどうぞ)。このような判断力や説得力(先に挙げたのはほんの一例で、何を何の為に行なっているか明確な人にとって他を納得させるす術は難しい事ではありません)もリーダーとしての力量と評価されます。

日本では絶対服従の命令系統があり、私のような環境でないことは分かっています。そんな環境で働いている皆さんに私は心を痛めます。それと同時にいつか日本の看護界を変えて欲しいと願っています。こうして海外で当たり前とされている事をこのブログで書くのは、日本の皆さんに同じ医療を行うにあたり、色々な形体が存在し、今あるものが絶対ではないという事を理解してほしいからです。不効率、目的が不明確、経済的でないものをそうだと言える看護界へ、そしてそれを成し遂げることができる看護師になって欲しいと思います。

続く


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