世の中には不正な手段で相手を騙して違法に利益を得る犯罪は古今東西、昔から存在する。近年増え続けている「オレオレ」詐欺や「振り込め」詐欺は、手口や役割りの面でも益々巧妙化しているようである。こうした「特殊詐欺」つまり、 「電話その他の通信手段を用いることにより、対面することなく、面識の ない不特定の者を騙し、架空又は他人名義の口座に現金を振り込ませたり、現金を準備させて受け取りに来たりする手口の詐欺」が何故横行し、被害を抑止出来ないのだろうか。
今日(7月11日) の産経新聞千葉版に、「コウスケ」からの電話と題する記事があり、そこには次のように書かれている。「・・全国でこうした特殊詐欺の被害額の高止まりが続いている。県内の5月の認知件数は97件で被害総額は5億円近い、このうち息子や孫をかたる「オレオレ詐欺は」は45件で、被害は1億5千万円を超える。・・・」とある。1日平均、3件で被害額は約1700万円になる計算だ。
なお、9日付けの同上地方版は、市内におけるごく最近の特殊詐欺事件について次のように伝えている。
上記の記事にあるとおり、何故この種詐欺事件が減らないのかの前に、何故高齢者が詐欺グループの手口に嵌められ結果的に詐欺に遭うのか。当方は、これ迄一度もそんな詐欺電話に遭遇していないからかも知れないが、大変疑問に思う。そう考えると諸々疑問が尽きない。
悪いのは勿論、詐欺を計画し、仕掛け、その手足になって動く詐欺グループ側であることは当然だ。だが、騙される側に何の落ち度もなかったのか、不正に要求された金を理由の如何を問わず詐欺グループ側に渡す行為は、結果的に犯罪に協力していることを被害者は猛省すべきであろう。誘拐事件の場合の身代金の要求と特殊詐欺の場合のお金の要求のされ方は、その手口・理由・金銭要求の仕方・事件としての緊急性の面で明らかに異なる。
しかし、要求される側に共通して求められる最も大事なことは、「端緒情報の確認」である。端緒情報の確認とは、最初に電話を受けた際、その話の内容が、果たして本当か否か疑問視して対応し、その時点で考えられる諸種の事柄をチェックして確かめる」ことである。最初の電話の受け方で、ことの成り行きや明暗が分かれるからである。
電話を受けたその瞬間から、「大変だ、困ったことになった、だから親や爺婆として助けてやらねば孫や息子がかわいそうだ・・」と云うような受け取り方は、理由の如何を問わず、愚かと評せざるをえないし、相手側のペースで話しが進められてしまうだけだ。
上記のような詐欺事件の報道に接する度に当方は、順不同だが常々次のような疑問を有しており、今回の報道記事を読んで改めて又次の諸点を強調しておきたい。
1.被害に遭った人達は、よく知らされているこの種事件の教訓等を日頃どう認識していたのか。何故その教訓を活かせなかったのか、何故、騙しの罠から逃れられなかったのか。
2.「この電話の話しはどこか何だか変だぞ・・」と何故疑念を持たず、最初から相手とその話の内容を安易に信用するのか、何故疑えなかったのか。
3.何故、最初から指示されたとおりに対応すべきだと思い込んでしまったのか、何故そうすべきではないと云う判断が出来なかったのか。
4.何故、なりすましにされた孫や息子等に事後処理の間(金銭の工面等に伴う時間経過の間) に諸々の確認をし・警察等に連絡しなかったのか、何故それが出来なかったのか。
5.大金を見知らぬ第三者に渡す理由・目的・必要性等について、何故冷静に考えなかったのか。何故それが出来なかったのか。
6.何故、会ったこともない第三者を簡単に信じ、証拠資料も残さずに要求金額を渡したり、送ったりするのか。何故その時点で「何か・・どこか・・変だと」異常を感じなかったのか。
7.要求金額を用意出来ない場合はどうする積もりだったのか、孫や息子の為なら金額は厭わず出せると何故思ったのか、何故そう思わざるをえなかったのか。
それにしても「オレオレ」詐欺の被害者は、総じて金銭的に余裕のありそうな富裕高齢者に多いような感じを受ける。もしそうだとすれば、犯行グループは、どんな手段で富裕高齢者宅を割り出し、そこに狙いを定めているのか、そんな裏話も知りたいものである。
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