みりんの徒然声

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みりんの徒然声 2014年冬のこと

2016-11-09 15:19:29 | 日記
今朝雪が舞っていた。まだ11月なのに。同じ福島県なのにいわきと全く寒さが違う。狭いようで広い世界。雪に目が眩むうち、鈍ってるあたしの感性を殴りつけるようにある光景がフラッシュバックした。二年前の冬、2014年の年末はやたらと人が亡くなる年末だった。その頃あたしの一人暮らしの部屋には柴さんと言う後輩が家出をして住み着いていた。あたしよりずっと若い柴さんは肺癌を煩っていた。咳き込みながらタバコを吸い、親とうまくいってないらしくあたしの部屋に住み着いていた。ガリガリに痩せた柴さんは眠っているときも誰にも迷惑をかけないようにとか、死んでいるみたいに静かだった。あたしは度々焦って眠る柴さんの呼吸を確かめた。やがて病状が悪化した柴さんは東京の病院に入院し、そのまま亡くなった。あたしは泣けなかった。お葬式にも行かなかった、というより行けなかった。病状が悪化するまで家にいることを柴さんが隠したからだ。しばらくの間、部屋を開けると柴さんがいるようで実感がなかった。同じ年末、弟の元カノが自殺したと聞いた。難儀な兄弟である。震災であの人を失ってから少し、死について鈍くなっていた。最近の鈍りで雪を見るまでこのことを忘れていた。忘れられるはずなどないのに。今はもうない部屋を思い、柴さんの本当に柴犬みたいなまなざしを思い出したら涙がでた。冬は嫌いだ、と思った。家出したいなあ。誰の目も気にせず号泣したい。前の仕事もやめ、やたら人のいなくなった2014年。あれからあたしはまだ落ちるばかりだ。昔のことばかり甦る。あたしはここをでなくては。すぐには無理でもここにあたしの居場所はない。柴さん、呟いてみた。柴さんの静かすぎる寝息が聞こえる気がした。寂しいな。寒いな。雪が舞っているよ