「十の輪をくぐる」辻堂ゆめ
定年まであと数年、
仕事は面白くない、
家に帰れば母、万津子の認知症がすすんでいる、
何もかもが投げやりで口角下がりっぱなしの泰介。
泰介の乱暴で人の気持ちを考えない言動に
もう、この人何?と
腹立たしいやら呆れるやら。
母の生きてきた道をたどりながら、
泰介自身の幼少期と今を繋げてゆく展開に
グイグイと引っ張られた。
あの時代に泰介を育てることは今よりももっともっとに
大変だったろうと思う。
泰介と夫婦として暮らしてゆくことはきっと大変だったろう。
子育てに関わらない父・泰介ににいろいろと思うことはあっただろう。
母、妻、娘に恵まれた泰介は果報者だ。