以前、小松貴著「裏山の奇人;野にたゆたう博物学」を読んだのだが、これが大変面白かった。
今回、同じ著者の本が2冊出版されたが、そのうち表記の本を読んでみたが、これがまたまた大変面白く考えさせられる本であった。
絶滅危惧という言葉は知っているが、その分類や意味を全く理解していなかった。
多少なりとも昆虫が好きで見つけては撮影している人間なのにである。
ましてや、一般の昆虫に興味のない人は全くどうでも良いことなのかもしれない。
絶滅危惧とはいっても、我々でも知っている大型の甲虫や、チョウやトンボは出てこない。
地味なというだけあって、ほとんど初めて聞くような虫たちである。
しかし、読み進むと「身近な環境にいかに多くの絶滅危惧種が存在するか」と書かれているように、南大沢でもいる種が唯一出てきた。
それが、先日載せたばかりの「シロヘリツチカメムシ」である。
やはり、イネ科植物に寄生するカナビキソウに依存して生活しているので、この植物がないと生きていけない。
定期的に河川の氾濫があったり、定期的に草刈りがされる草原が必要な場所でないとカナビキソウが育たない。
極端に限定されたところにしかいないそうだ。
そういう意味でも、南大沢はすごい。
その他の昆虫は本書を読んでいただくとして、コラムのように書かれている文章に非常にひかれた。
「絶滅危惧種の本をだすということ」という欄がある。
確かに、「これは非常に貴重です」と言ったとたんに、植物などは大量に採られ、あっという間に店やネットで販売してお金にかえようとする人たちが出てくる。まあ、絶滅に至るのは、環境破壊の方が大きいのだろうが、採集という面も影響はある。
これが心配だが、それよりも生き物に対する一般の人の無理解・無関心が絶滅危惧種を作り出している。
ということが書かれている。
もう一つ、「虫マニアの功罪1~3」というコラムも面白くて、これも考えさせられたが、内容は本書を見ていただきたい。
小松さんのFacebookを見ると、「精霊」という言葉が時々出て来るのだが、意味が分からなかったが、それがこの本のあとがきを読んで理解できた。
出典は、自分には全く接点のないところであった。
小松さんを最初に知ったのは、「アリの巣の生き物図鑑」だったかと思うが、その後、丸山宗利さんと一緒に情熱大陸に出ていたのを見た。
ところが。
数週間前、この本を読み始めたばかりの頃、何ということか南大沢で偶然小松さんに出会ってしまった。
そして昆虫観察をご一緒してしまったのだが、このことは別途書きたいと思います。
ばったりお会いして嬉しかったです。
裏山の奇人、私もおもしろく読ませていただいたので
「絶滅危惧の地味な虫たち」も図書館で予約しました。
4月に「昆虫学者はやめられない;裏山の奇人、徘徊の記」という本も出たみたいで
そちらも合わせて予約してみました。
少しの時間でしたが、tokiさんとも会えたし。
あれが飛ばないで撮影出来たらもっと最高でしたね。
この本は、面白いし、考えさせられます。