思う・学ぶ・発達支援 心のケア サイト

特別支援教育の実践情報など。また,日々の喜びを見つけ、よくする手立てはないか考える、成長・教育のサイトです。

統合失調症のこどもたち

2019年02月13日 | 教育
【統合失調症】

 統合失調症とは,10代から30代にかけて発症することの多い精神疾患で,思考
や行動,感情をおかれた状況や環境,他者との関係の中で処理できず,歪が生まれ,
それが様々な問題的な形で現れるものである。

1 特徴的な症状

・妄想型(幻覚や妄想にとらわれている)
・解体型(会話や行動にまとまりがない,奇妙な行動をとる)
・緊張型(体の動きが過剰になる,もしくは極端に低下する)
 以上は陽性症状とされるが,陰性症状として,
・喜怒哀楽の欠如
・無気力,無関心のひきこもり
・思考力の減退による口数の減少
などがあげられる。
 これらの症状は,常に一定ではなく,他の障害とも重複する場合があり,多くの場
合,混同し合って現れる。

2 教室で見られる症状

・私のことをバカにしている。私の悪口を言っていると思いこんでしまう。
・避けているわけではないが,私を避けている,と捉えて執拗に追いかけてしまう。
・イライラが急激に溜まってしまい,暴言を吐いたり,他にあたったりする。
・悲しさが急にこみあげ,涙が止まらなくなることがある。

3 医療を生かす・医療と連携する

・統合失調症治療に用いられる薬物を「抗精神病薬」あるいは「神経遮断薬」と呼ぶ。
 精神に作用する薬物の総称である向精神薬のうちの1つである。薬物療法を行うと
 きには,精神療法やリハビリテーションと併せて行うことが効果的である。
・定期的に病院に行き,経過や状況を話し,ドクターから今後の指針をもらうことも
 重要な方法である。

4 パニックの時の対応

・良好な関係性と気付いている大人がすぐに駆けつけられる体制を取っておく。
・中学,高校など,様々な授業形態で行われる場合,授業のグループごとに,もし,
 パニックになってしまったら誰がその生徒に付き,どこに連絡し,誰が駆けつける
 か,確認しておくことが必要である。

5 教室でやってはいけない対応

・感情的に強い口調で叱ってはいけない。内容は伝わらず,攻撃的な感情だけが伝わ
 り,怒りが増幅する,もしくはパニックの引き金となる。毅然と言うが,冷静な圧
 力が必要である。

6 教室で必要な対応

・話を聞く:話を聞いてくれる相手を求めている。さりげなく話しかけ,気付かって
 いる気持ちを伝えることが大切である。
・笑顔で声をかける:職員で共通理解をし,できるだけ声をかけるようにする。
・教室が安心できる居場所であるという暖かい空気を作る。具体的には教師が笑顔を
 絶やさず,よい所を褒め,励ます指導を行う。
・CCQの原則:静かに,近づいて,小声で話しかける,接し方を心がける。
・疲れた時には休ませる。精神的な緊張を伴いながら生活していること,向精神薬も
 眠気を誘う場合があり,疲れやすい傾向もある。疲れたときには机に伏せるとか,
 保健室で休ませる対応を取る。
・対応がまちまちだと混乱を招く。家庭,もしくは在所している施設職員と情報と対
 応の共有が重要である。




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高次脳機能障害の子どもたち

2019年02月13日 | 教育
【高次脳機能障害】

 高次脳機能障がいとは,運動障がいや感覚障がいを除いた,言語や記憶,意欲にか
かわる脳の働きの障がいである。高齢者の脳血管障害から起こることが知られている
が,若年層では頭部外傷のためになることがかなりの比率で多い。外見上は障がいが
目立たないため,見過ごされ,本人や家族が大変な悩みを抱える場合も多い。

1 特徴的に表れるところ

・頭部外傷により,脳に傷ができる(脳挫傷),または脳出血,脳周辺への圧迫が起こ
 る。その力は前頭葉や側頭葉に集中する。すると,その部分の損傷による症状とし
 て,記憶障害などが現れやすい。重傷な脳外傷の人の半数は記憶障害を残している
 ともいわれる。さらに,注意集中の悪さも見られる。

2 原因

・発生する原因としては,病気による場合と頭部外傷による場合がある。障がいが生
 じる病気には,脳梗塞などの脳血管障がい,脳腫瘍,頭部外傷,てんかん,脳炎,
 アルツハイマー病などがある。
・原因となる頭部外傷は交通事故,高所からの転落,堅い物で殴られる等である。外
 部からの強烈なダメージを受けた場合に起こるものである。若年層ではこのケース
 が多い。

3 2つの意味で用いられる用語とその背景

・高次脳機能障がいという用語は二つの意味で用いられる。一つは科学的な用語で,
 言語の障がいである失語症,道具の操作等にかかわる失行症,ものが分からなくな
 る失認症等である。もう一つは行政的な用語で,従来のものから失語症,失行症,
 失認症を除いて,記憶の障害,意欲の障害,注意の障害,そして遂行機能障害を含
 むものである。
・行政的な用語が用いられた背景には,社会的な救済の必要性がある。交通事故や転
 倒などの外傷によって,社会復帰が難しい子ども達が多いが,社会福祉の対象とな
 らなかった。そこで,厚生労働省によって,「高次脳機能障害支援モデル」も立ち
 上げられた。

4 必要な社会の理解

・前頭葉に障がいが起こるため,外見上は特に問題が見られないのに,記憶の低下,
 意欲の損失が著しく見られる。従って,周りからは「さぼっている」「なまけてい
 る」と見られやすい。その症状において,様々な脳のリハビリがある。医師と相談
 の上,適切なリハビリを焦らず行いながら,周囲の支えも極めて重要である。

5 社会復帰を手助けするための方策

・事故等にあって発症し,治療を終え,いよいよ復学する場合,試験登校には必ず誰
 かが同行してもらう。
・復学にあたっては専門家等の協力も得て支援会議を事前に開き,校内の支援体制を
 検討しておく。
・過去の自分との違い,周りの対応の変化,頑張ってもなかなか良くならない焦りを
 本人が抱えていることを,周りが分かる努力をする。

6 どのような支援が必要か

・生活のスキルを取り戻す場合,日常生活の一連の流れを追い立てるように促すので
 はなく,顔を洗う,歯を磨く,着替えるといった生活のスキルを一つ一つ丁寧に学
 び直す。
・多くは記憶の障害があるため,置いたものなど忘れてしまいやすい。かごやケース
 にラベルを貼り,置き場所を決めておく。
・発症後,ほとんどの人が神経疲労(脳の疲れ)を起こしやすい。疲労が起こると,
 周りについていけずボーッとなってしまう。疲れたときには休むなど本人と相談し
 ておく。周りにも理解を促す。
・発症前の自分のようにうまくいかない,また,周りが話を聞いてくれないと自己肯
 定感がどんどん下がってしまう。頑張った過程を認めること,困り感を聞くことに
 努める。
・授業のユニバーサルデザイン化を図る。黒板の周りはできるだけ物を貼らずシンプ
 ルにし,集中が高まる環境を心がける。図や具体物を使って一目で分かる工夫をす
 る。


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学習障害の子どもたち

2019年02月12日 | 教育
【学習障害】

 学習障害(LD)とは,全般的な知的発達は正常範囲にあるが,聞く,話す,読む,
書く,計算するまたは推論する能力のうち,特定のものの習得と使用に著しい困難を
示すさまざまな状態を指すものである。一般にはこの捉え方が広く使われているが,
これらは合併することが明らかになっており,米国精神医学会の診断基準DSMー5
では,学習の困難さを広くとらえて,読字,文章理解,書字,文章記述,数の操作,
数量的推論のどれか一つでも学習上の困難があれば,限局性学習症/限局性学習障害
という診断名となった。なお,その困難さは一過性のものではなく,少なくとも6か
月間その困難が持続しているものとしている。

1 特徴的に表れるところ


・日常のコミュニケーションは問題が見られず,明るく過ごしているのに,算数の時
 間になると,黙ってしまったり,なかなか学習に取りかかろうとしなかったりする
 場合がある。また,字を書くことが嫌いで,国語の時間になると,ノートを取らな
 い,いつも机に伏せてしまうなど,特定の教科に苦手さを顕著に表す。

2 教室で見られる症状・症例

○ 聞いて理解する力(聴覚認知)に困難がある場合
・似た音や言葉を聞き誤る。
・となりの教室の音が耳に飛び込んできてしまう。
・言葉のみの説明や指示がなかなか伝わらない。
・全体指示が伝わらず,個別に指示しないと学習が遅れる。
・指示されたことを忘れて何度も聞き返す。
○ 見て理解する力(視覚認知)に困難がある場合
・似たような文字を読み間違ってしまう。
・教科書の文字が追えず,音読できない。
・漢字を書くと,線が抜けたり間違って書いたりする。
・文字や行を読み飛ばしたり途中で止まったりする。
○ 物の位置関係を把握する力(空間認知)に困難がある場合
・ひっ算の桁がどんどんずれていく。
・図形の学習が苦手でうまく書けない。
・前後左右を間違って書く。
・ロッカーや下駄箱の位置が覚えられない。

3 支援の方法

・スモールステップで指導内容を細分化して教える。
・抽象性の高い内容は具体的な教材で補う。
・他の子よりもゆっくりと丁寧に指導する。
・基本的事項の定着が図れるよう繰り返し指導する。

4 早期発見のポイント


・特定の教科や授業でやる気を見せない,なかなかノートを取ろうとしないなど見ら
 れる場合には,学習障害を一応,疑う必要がある。
「どうしてやる気を出さないのだろう」「またふざけている」として片付けてしまう
 と,見誤ることとなる。
・少し遅れが感じられる場合,ひらがなの読み,書きの状態を確かめたい。そこが落
 ちていると,学習全般に影響している可能性もある。

5 教室でやってはいけない対応


・早くやりなさいとむやみに言わない―字がうまく書けない,読めない,指示がよく
 聞き取れない,という状態をいつも抱えている。そこに来て「早くやりなさい」と
 言われ続けると,イライラが募るばかりである。今どこを読んでいるか指し示すと
 か,字を大きく見せるなど,分かるための工夫を加えたい。
・ちゃんとやりなさいとむやみに言わない―これも,上記に通じるものがある。一生
 懸命やろうとしているができないと捉えた方がよい。そのまま注意をし続けていく
 と,勉強が嫌いになり,不登校の原因ともなってしまう。


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ラグビーワールドカップ2019推進教育セミナーに参加して

2019年02月11日 | 出来事
 ラグビーの他のスポーツと違う,ノーサイドの心について聞いた。

 ボールを投げ入れるときに,味方と敵の中間の位置に投げ入れる。

 スクラムの中にボールを入れるときに見方に有利に入れるのではなく,

 敵,味方のやはり中間地点に投げ入れる。

 サッカーなど,通常は,味方にボールをパスして投げ入れる。

 しかし,ラグビーはフィフティフィフティの精神がそこにある。

 見かけのイメージが,力づく,荒い,といった印象があるが,

 その精神が,自分の律して紳士であることに,感動を覚えた。

 
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ダウン症のこどもたち

2019年02月11日 | 教育
【ダウン症】

 ダウン症(ダウン症候群)は通常23組46本の染色体のうち,21番目の染色体が1本
増え,全部で47本になったことが原因で起こる。発見者であるダウン(John Langdon
H.Down)にちなんで名付けられた。21番目の染色体が3本ある一般的なものが最も多く
21トリソミーと呼び,これがダウン症全体の95%を占めている。このほか,3本
目の染色体が別の染色体にくっついている転座型,21番目の染色体が3本のものと
2本のものが混じっているモザイク型というタイプもある。

1 身体的な特徴

・身体の特徴は,丸い顔,丸い目,低い鼻,丸いぽっちゃりした手,短い指,少し斜
 めに吊り上った目などに共通点がある。
・全般的に筋肉が少なく,筋緊張低下のため,運動発達がゆっくりと進む。
・先天性の心疾患,消化器合併症その他内臓疾患,頸椎の弱さ,難聴などを併せ持つ
 ことが多い。
・口腔(口の中)の容積が狭いため,咀嚼がうまく行われずにのみ込みがちに食べや
 すい。また,聞き取りにくい話し方になる場合がある。

2 性格的な特徴

・明るくひょうきんで人懐こい。
・音楽やダンスが好き。
・頑固なところがある。
・気持ちの切り替えが難しいときがある。
・嫌なことを我慢して,固まってしまう場合がある。

3 かかりやすい病気,疾患

・心臓疾患を合併が起こりやすい。発症率は,健常児では1%であるが,ダウン症では
 50%と高い。
・風邪などから呼吸器疾患になりやすい。早めに医師の診断を受けることが必要である。
・首の構造が弱く,頸椎異常が起きやすい。
・消化器系の疾患が発症しやすい。
・眼科疾患が起きやすい。

4 学校で見られる症状・配慮すること

・体育でマット運動(特に前転)は保護者や医師の確認の上で行う。頸椎を損傷しやす
 いので,その他,首や頭部周辺に負荷がかかる運動は十分配慮する。
・体温の調節もスムーズではない場合があるので,暑い日の水分補給や寒い日の衣服の
 調節には気を配る。暑さや寒さは衣服等を調節し徐々に慣れさせていく。
・ゆっくりと丁寧に物事を理解していくところがあり,気持ちの切り替えが難しく,納
 得いかないとその場に座り込んで動かなくなる時がある。

5 食事の指導の必要性

・生まれたときから口腔(口の中)の容積が狭いため,咀嚼がうまく行われずに成長し
 てきた子が多く見られる。よく噛まず,のみ込み食べをしている状態である。そのた
 め,ダウン症の子は,のどに食べ物を詰まらせ窒息してしまう危険がある。
・給食の時間には,咀嚼(よく噛むこと)に十分配慮する。大きく堅いものは調理ばさ
 みで一口大に切る配慮が咀嚼の状態に応じて必要となる。
・一気にのみ込むように食べてしまう傾向がある場合には,小分けにしておいて,よく
 噛んでのみ込んでから次のものを食べるという調節が必要である。
・成人では,口の周りの筋肉も硬くなってくるので,ますます,噛むことが少なくなる
 可能性が高い。小さいうちに噛む習慣を定着させたい。

6 早期療育の必要性

・生活上の困難を軽減させ,障害があっても不自由なく生活できるようにするための教
 育的援助を療育と呼ぶ。現在は0歳から可能となっている。地域の療育教室,民間機
 関など様々な場で行われているが,地域の格差が大きい。入学してきたときには,ど
 の程度療育を受けてきたか確認し,継続している支援があれば,学校でも協力するな
 ど連携が必要である。


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