ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【イスラム国:テロと臓器売買】難波先生より

2015-12-28 16:56:41 | 修復腎移植
【イスラム国:テロと臓器売買】
★11/16【カイロ・ロイター】が「イスラム国」が新たなテロ予告ビデオをウェブ上で公開したと報じている。
<公開されたビデオは死者129人を出したパリ攻撃事件後の映像で始まり、戦闘服とターバン姿の男が「十字軍に参加する国々に告ぐ。われわれはパリを攻撃した。おまえたちもフランスと同じ目に遭うだろう。われわれはワシントンの米中枢を攻撃する」と主張>したそうだ。
 (付記=12/2に米カリフォルニア州サン・ベルナルディノ市で起きた銃乱射事件は、たぶんこの声明に従ったものであろう。米FBIはISの「カリフ」バグダーディが持つカリスマ性を低く評価していたのだろう。)
 9・11テロを受けてあわてふためいた「キリスト教原理主義」のブッシュJr.大統領が「十字軍を!」と叫んだのはよく知られている。それでアフガンへの多国籍軍の派兵、(大量破壊兵器を持つとされた)イラクへの軍事侵攻となった。
 中東・アラブ地域における複雑な諸問題について、どう解決するべきなのかは私にはさっぱり分からないが、ISが用いた「十字軍(クルセィダー:Crusader)」という言葉は、「有志連合」軍によるイスラム国の「首都」シリア北部の都市ラッカの空爆を、彼らが「現代の十字軍」による攻撃と受けとめていることを示している。

 12/4現在、異常なガソリン安(118円/L)、灯油安(67円/L)が続いている(さらに12/24には灯油55円/Lへと下落)。12/1「産経」が報じている「米国産・標準油種(WTI)」の取引価格グラフを見ると、2014/6に「イスラム国」が建国宣言をしてから、60ドル/バレルの原油が40ドルにまで下落している。(グラフ1)100ドル代からの下落はISがイラク北部を制圧して2014/7頃から始まっている。

(グラフ1:2014/1〜2015/11のバレルあたり原油ドル価格)

 ひょっとしたら、日本の景気が少しよくなったのは、イスラム国のせいで原油の輸入価格が安くなったためではないか、と思ってしまう。イランはまだ経済封鎖が解けていないし、サウジアラビアの国家財政は日本ほどひどくない。OPECの足並みを見出すような石油の密売が行われているはずだ。もしそうならイラン北部を支配する「イスラム国」が採油して、ロシアのいうように陸路トルコに密売している可能性が高いと思う。

付記(12/9)=この日の「日経」は、アジア市場の指標となっているドバイ産原油価格が36ドル/バレルまで低下したこと、OPEC総会が減産を決定しなかったので、「30ドル/バレル」まで値下がりする余地があることを報じている。
 アベノミクスでは「2%のインフレ率」を達成して、国民の買いだめを引き起こそうと、市中に出回る通貨を100兆円も発行したが、国民の消費マインドは冷え込んでいて貯金するかタンス預金している。儲かっているのは金庫メーカーのクマヒラだけだそうだ。
 GDPの50%は国民の消費によりもたらされる。先行きが不安だから誰も金を使わず、ひたすらため込んでいる。経済学者の野口悠紀雄によると、2014年秋から始まった(つまり「イスラム国建国宣言後」)原油価格の下落が始まり、これが実質GDPの上昇に寄与しただけであり、日銀の「異次元緩和」は失敗だという。
 このまま推移するとガソリンが110円/L以下になるかも知れない。
 
 その原油だが、12/9「毎日」が「国際情報会社」の報告として、イスラム国の収入は月額約100億円あり、うち43%は石油の密輸によると報じている。ロシアが公表した、IS支配地域のシリアからトルコに向かう、長いトレーラー車列の空中写真(ロイター)を掲げている。
 イスラム国の石油密輸のおかげで原油価格が値下がりし、OPECも増産してますます石油価格が下落する。安い石油のおかげで日本経済が好調になり、「安倍一強」を支えるとは、何とも皮肉な話だ。これでは浜矩子に「アホノミクス」と言われても仕方がないか…。
 誰か時事川柳か狂歌を詠まないか…

★ ★もうひとつ、これはロシア系の「スプートニク」というネット紙情報なので、確度が低く取りあげなかったが、ISが「臓器売買」で収益を上げているという情報がある。
http://jp.sputniknews.com/russia/20151219/1342637.html

 12/24になって「ロイター=ニューズウィーク」が取りあげた。
 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/12/isis-35.php
 記事末尾には米政府が翻訳した「イスラム国」関連英訳文書へのリンクがある。
<米政府の翻訳によると、同組織(IS)の「研究ファトワ委員会」は2015年1月31日付の文書で、イスラム教徒の命を救出するために生きている捕虜から臓器を摘出することは許されるとし、たとえ捕虜が死亡することになっても認められる、との見解を示した>とある。
 2005の「イスタンブール宣言」は移植用臓器の「自給自足」を大原則として打ち出したが、世界でもっとも脳死体からの臓器提供率が高いスペインでさえ、臓器不足のため「修復腎移植」を実施している。中国における「法輪講学習者からの臓器狩り」を調査したイスラエルは、そのあまりの非人道性に驚き「臓器移植法」を改正して、国民の海外渡航移植を禁止した。
 中国政府による死刑囚からの臓器摘出の禁止措置は、カナダのマタスとキルガーの努力により可能になった。彼らは著書の「中字版」を無料でネット公開したが、中国では規制がありダウンロードできないという。
<元ノーベル平和賞候補David Matas氏ほか、中国共産党の臓器売買糾弾本を電子書籍で発売> http://hon.jp/news/1.0/0/7051/
 しかし中国政府は強制収容所に閉じこめられた「法輪講学習者」を臓器狩りの対象とするのは、まだ止めていない。死刑囚は国家を転覆させないが、法輪講は危険な反共産党思想だと考えているからだ。
 中国への「臓器移植ツアー」の縮小で一番困っているのが、アラブの金持ち患者だ。すでにISが石油をトルコに密輸して巨額の資金を稼いでいるとすれば、同じルートを使ってトルコの病院に臓器(「たとえ捕虜が死亡することになっても認められる」という文言から、主に腎臓と考えられる)を「輸出」していることは、十分あり得ると思う。保存液UW液に入れて、氷蔵すれば72時間以内なら移植に使用できる。ISによる処刑数は500人/月くらいあるから、年産1万2000個の腎臓を密輸出できる。1個100万円なら年に120億円の収入になる。
中国の「臓器供給」能力が衰えたところに目を付けたISの「カリフ」バグダーディはカイロ大学で神学の学位を取得している。ISのイスラム法学者を手なずけて、「臓器輸出」を収益源と位置づけるなど、悪魔的な悪知恵がはたらく。
★★★米UNOSが今年の夏、「TOD(Therapeutic Organ Donation)という方針を打ち出したのは画期的だ。「治療目的で取り出した臓器を移植に利用する」という新方針だ。「棄てる腎臓で助かる命がある」という万波誠の発想そのものではないか。
 これまで「マージナル・ドナー(Marginal Donor)」という言葉があった。これは家族性アミロイドーシスの患者肝臓を他人に移植するいわゆる「ドミノ移植」や動脈硬化性萎縮腎のある腎臓を移植に用いたりするケースのドナーを指している。だがマージナルという言葉には「二流の、辺縁の」というマイナスイメージがあった。せっかくあげたのに「マージナル」と呼ばれたのでは、ドナーに誇りが生まれない。
 「Restored Kidney(修復腎)」という用語は、フロリダ大移植外科のハワード教授が考えてくれたものだが、修復できない(移植後に自然修復される)びまん性病変のある臓器には適切でない。さらに腎臓以外の臓器(アミロイド肝臓など)について言及する場合には、必ずしも妥当でない。
 TODという概念は、「治療で臓器の全摘術を受ける患者が、使えるものなら移植に使って下さい」と臓器提供に同意することを意味しており、臓器の廃物利用、リサイクルを意味している。マータイさんの「モッタイナイ」精神だ。
 徳州会の再申請は1月になると思われるが、今年は「治療目的での臓器提供=TOD」という新しいコンセプトが提唱された年として記憶に残るだろう。もちろんこれを制度的に実施する国は日本が世界初でないといけない。それでこそ日本の移植医療が世界に貢献できるというものだ。「和田心臓移植」以来、ずっと移植手術にともなって来た「暗いイメージ」をぬぐい去ることができる。
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