【こむら返りと血清K値】抗うつ剤の「リーマス」(炭酸リチウム錠、200mg/錠)を朝晩に飲んできた。寝る前に飲むと、朝起きる時に下肢に「こむらがえり」が起こることに気づいた。
現象がまず見つかったので、原因は思い当たらなかった。
そのうち「これは細胞電池にリチウム(Li)が関与しているのではあるまいか?」と思いついた。細胞はNaとKを細胞膜内外で交換することで、発電している。似たような金属イオンであるLiイオンがこれに干渉することはありえる。
物理学者の藤田紘一先生に相談すると、「それは考えられる」ということだった。
そこで1/27(土)、主治医に受診し、血中のLi濃度と血清電解質濃度を測定してもらった。
この日受診前にリチウム服用量は200mg(1錠)だった。前にも述べたように、この日の検査結果はLi: 0.31mEq/Lと有効薬効濃度(0.60~1.20)に達していなかった。ところが血清Kは5.3mEq/Lと正常値(3.3~5.0)を上まわっていた。
その後、リーマスを睡眠剤と同時に服用すると、朝目覚めた時に「こむら返り」が起きることを確かめた。
そこで2/10(土)、家を出る前にリーマス2錠を飲み、1時間後に病院を受診した。同じように血液検査を受けると、Li: 0.47, K:7.1と著増していた。特にK値は正常値の上限を上まわっている。塩化カリウム(KCl)液を静脈注射すると、人間は心臓が止まって即死する。細胞外液の過剰なKイオンは、心筋の収縮作用をストップさせるためだ。やばい状況になってきたが、自己測定で不整脈はないし、脈拍の結滞もない。過剰な運動を避ければ大丈夫だろう。
主治医が問題としている「食事性のカリウム過剰摂取」(バナナ、柑橘類の食い過ぎ)などはない。高カリウム血症がリーマス服用の結果であるとは断定できないが、K値上昇と「こむら返り」の関係については、医師専用サイト「m3」で、以下のようなQ&Aを見つけた。
(サイトアクセスには医師免許が必要。https://medqa.m3.com )
<しつこいこむら返り、原因不明で難渋>
<50代後半の女性で、5年前から10分~数時間程度持続する、両下肢の筋クランプ(こむら返り)を認めております。先日、19時から両下肢及び両上肢の筋クランプが出現し痛みで動けず、芍薬(しゃくやく)甘草湯を内服し、発症から2時間経過しても改善しないため救急車で来院されました。
来院時は上肢の症状は消失していましたが、両下肢の指は背屈し、腓腹筋の痛みも訴えて、ベッドの上でうずくまられておりました。採血していたところ痛みが軽減し、3号液にビタミンを混注して、補液を実施していると症状が消失しました。発作中には腱反射は消失。足背動脈は触知良好でした。
詳しく話を聞くと、夕方から夜間に出やすく、長時間立ち仕事などをした日の夜に出やすい印象との事ですが、2ヶ月間全く症状が出ないこともあったようです。下肢が優位ですが、過去にも上肢に症状が出たこともあったとのことです。食生活は気をつけておられ、偏食はありません。
採血では、血算、肝胆道、腎、甲状腺機能、電解質(Na, Cl, Mg, Ca)、VitB1は異常なく、Kが3.3でした。タバコ(-)、アルコール(-)、専業主婦です。
1年前に高度医療機関を受診し、ミネラル不足と言われ芍薬甘草湯を頓服で処方され、それ以降薬局で購入し頓服で利用されているようです。それ以外の内服はありません。既往も特にありません。上記症状で救急を要請したのは今回が初めての様ですが、症状が繰り返しているので原因を究明したく相談させていただきました。アドバイスをいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。(一部を分かりやすく書き換え)>
この質問は多くの読者を惹きつけ、回答も多い。すぐにこういう書き込みがあった。
< break throughになるか? 2017/01/26[神経内科疾患]閲覧数 : 6,790>
さすがに芍薬甘草湯のせいかカリウムが低下してきていますね・・。
>>50代後半の女性、食生活は気をつけておられ、ミネラル不足
恐らく痩身の方ではないでしょうか?
食生活に気をつけていると言えば聞こえがよいですが、それは糖や脂質の過剰摂取に対してであって、必要な栄養が十分に取れていないのかもしれません。
特に、菜食中心で肉食を好まないなどありませんか?
break throughになるかわかりませんが、カルニチン不足を疑って、補充してみたらいかがでしょうか。仮に無駄でもさしたる副作用はありませんし。
大塚製薬のエルカルチンFFは、病名は筋クランプで保険は通ります。>
すぐに低カリウム血症とカルニチン不足の可能性を指摘している。
ちょっと難しいが、以下の回答が私にはベストアンサーと思われた。
<こむら返りの本態はカルニチン欠乏。診断的治療でOK。>
<こむら返りの病態としてカルニチン欠乏によるATPの不足が近年注目されております。筋疲労や肝硬変に伴う相対的カルニチン欠乏や、採食主義や低栄養、透析、バルプロ酸や抗生剤などに伴う絶対的カルニチン欠乏が知られています。
その作用機序については、Clinical gastroenterology and hepatology (IF 7.9米国消化器病学会関連の雑誌)のL-carnitine Reduces Muscle Cramps in Patients With Cirrhosisという論文が有名で、同月号のeditorialでmetha SSが図解しています。
カルニチン欠乏では筋肉内のミトコンドリアからのATP供給不足が惹起されアクチンとミオシンの相互作用の障害が起きることや、筋小胞体からのCaの放出後に能動輸送でCaを回収することができなくなることが、こむら返りの病態と解説されています。
この機序を応用してアスリートがカルニチンを摂取し、持久力を要する競技中のカルニチンの枯渇を予防することでパフォーマンスを向上させているといううわさも出ています。
L-カルニチンはカルニチン欠乏症に保険収載されていますが、こむら返り症のみに対しての保険適応はないため、病名記載時には注意が必要ですが、投与すると数日で著効する症例が続出する印象です。また、診断的治療についても小児科学会のカルニチン欠乏に関するガイドラインに記載されており、血中カルニチン分画測定は透析患者などに限定して保険収載されています。副作用がほぼない薬なので診断的治療も選択枝です。>
これは筋収縮(アクチンとミオシンのスライディング)に必要な燃料ATPが不足しているため、筋線維が異常に収縮・硬直して「こむら返り」が起こることの生化学的な説明だ。カルニチンはVit.Bτ(タウ)とも呼ばれ、ミトコンドリア内で脂肪酸のβ酸化が生じる際に、必要になる化学物質だ。
医歯薬出版「最新医学大辞典」には「こむら返り」が英語Twistの対応語として載っているが、「ドーランド・図説医学大辞典」(広川書店)には「Twist」の項目がない。(同辞典の日本語索引には「こむら(腓):Calf」はあるが「こむら返り」はない。両辞典を比較すると、どちらも英語のspasm, twitching, crampの概念の違いが、きちんと理解された上での辞書項目執筆でないのが明瞭だ。)
「最新医学大辞典」には「こむら返り Twist」を<下腿三頭筋に発生する強直性けいれんで、激しい疼痛を伴う。疲労・寒冷などで正常人にもみられる」と説明している。
確かに私の場合、「寒冷」が関与している可能性もある。寝るちょっと前に、空調のタイマー・オフを1時間にセットし、朝5時頃小用に起き、「もう2サイクル寝よう」と入眠した後に、こむら返りが起こりやすい。空調はオフのままだから、室温は5℃くらいに下がっている。
私は寝あがきをするほうだから、足もとの毛布、布団、布団カバーはクチャクチャになっており、下腿が5℃の寒気に曝されていた可能性は高い。
空調を付け放しで寝るか、小用の際に空調をオンにすると、こむら返りを予防できる。
ただ寒冷要因、カルニチン不足説、炭酸リチウム製剤服用、高カリウム血症を「こむら返り」と一元的に結びつけて説明する理論を思いつかなくて、困ってる。
「記事転載は事前に著者の許可が必要です。必ずご連絡いただきますようお願いいたします」
現象がまず見つかったので、原因は思い当たらなかった。
そのうち「これは細胞電池にリチウム(Li)が関与しているのではあるまいか?」と思いついた。細胞はNaとKを細胞膜内外で交換することで、発電している。似たような金属イオンであるLiイオンがこれに干渉することはありえる。
物理学者の藤田紘一先生に相談すると、「それは考えられる」ということだった。
そこで1/27(土)、主治医に受診し、血中のLi濃度と血清電解質濃度を測定してもらった。
この日受診前にリチウム服用量は200mg(1錠)だった。前にも述べたように、この日の検査結果はLi: 0.31mEq/Lと有効薬効濃度(0.60~1.20)に達していなかった。ところが血清Kは5.3mEq/Lと正常値(3.3~5.0)を上まわっていた。
その後、リーマスを睡眠剤と同時に服用すると、朝目覚めた時に「こむら返り」が起きることを確かめた。
そこで2/10(土)、家を出る前にリーマス2錠を飲み、1時間後に病院を受診した。同じように血液検査を受けると、Li: 0.47, K:7.1と著増していた。特にK値は正常値の上限を上まわっている。塩化カリウム(KCl)液を静脈注射すると、人間は心臓が止まって即死する。細胞外液の過剰なKイオンは、心筋の収縮作用をストップさせるためだ。やばい状況になってきたが、自己測定で不整脈はないし、脈拍の結滞もない。過剰な運動を避ければ大丈夫だろう。
主治医が問題としている「食事性のカリウム過剰摂取」(バナナ、柑橘類の食い過ぎ)などはない。高カリウム血症がリーマス服用の結果であるとは断定できないが、K値上昇と「こむら返り」の関係については、医師専用サイト「m3」で、以下のようなQ&Aを見つけた。
(サイトアクセスには医師免許が必要。https://medqa.m3.com )
<しつこいこむら返り、原因不明で難渋>
<50代後半の女性で、5年前から10分~数時間程度持続する、両下肢の筋クランプ(こむら返り)を認めております。先日、19時から両下肢及び両上肢の筋クランプが出現し痛みで動けず、芍薬(しゃくやく)甘草湯を内服し、発症から2時間経過しても改善しないため救急車で来院されました。
来院時は上肢の症状は消失していましたが、両下肢の指は背屈し、腓腹筋の痛みも訴えて、ベッドの上でうずくまられておりました。採血していたところ痛みが軽減し、3号液にビタミンを混注して、補液を実施していると症状が消失しました。発作中には腱反射は消失。足背動脈は触知良好でした。
詳しく話を聞くと、夕方から夜間に出やすく、長時間立ち仕事などをした日の夜に出やすい印象との事ですが、2ヶ月間全く症状が出ないこともあったようです。下肢が優位ですが、過去にも上肢に症状が出たこともあったとのことです。食生活は気をつけておられ、偏食はありません。
採血では、血算、肝胆道、腎、甲状腺機能、電解質(Na, Cl, Mg, Ca)、VitB1は異常なく、Kが3.3でした。タバコ(-)、アルコール(-)、専業主婦です。
1年前に高度医療機関を受診し、ミネラル不足と言われ芍薬甘草湯を頓服で処方され、それ以降薬局で購入し頓服で利用されているようです。それ以外の内服はありません。既往も特にありません。上記症状で救急を要請したのは今回が初めての様ですが、症状が繰り返しているので原因を究明したく相談させていただきました。アドバイスをいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。(一部を分かりやすく書き換え)>
この質問は多くの読者を惹きつけ、回答も多い。すぐにこういう書き込みがあった。
< break throughになるか? 2017/01/26[神経内科疾患]閲覧数 : 6,790>
さすがに芍薬甘草湯のせいかカリウムが低下してきていますね・・。
>>50代後半の女性、食生活は気をつけておられ、ミネラル不足
恐らく痩身の方ではないでしょうか?
食生活に気をつけていると言えば聞こえがよいですが、それは糖や脂質の過剰摂取に対してであって、必要な栄養が十分に取れていないのかもしれません。
特に、菜食中心で肉食を好まないなどありませんか?
break throughになるかわかりませんが、カルニチン不足を疑って、補充してみたらいかがでしょうか。仮に無駄でもさしたる副作用はありませんし。
大塚製薬のエルカルチンFFは、病名は筋クランプで保険は通ります。>
すぐに低カリウム血症とカルニチン不足の可能性を指摘している。
ちょっと難しいが、以下の回答が私にはベストアンサーと思われた。
<こむら返りの本態はカルニチン欠乏。診断的治療でOK。>
<こむら返りの病態としてカルニチン欠乏によるATPの不足が近年注目されております。筋疲労や肝硬変に伴う相対的カルニチン欠乏や、採食主義や低栄養、透析、バルプロ酸や抗生剤などに伴う絶対的カルニチン欠乏が知られています。
その作用機序については、Clinical gastroenterology and hepatology (IF 7.9米国消化器病学会関連の雑誌)のL-carnitine Reduces Muscle Cramps in Patients With Cirrhosisという論文が有名で、同月号のeditorialでmetha SSが図解しています。
カルニチン欠乏では筋肉内のミトコンドリアからのATP供給不足が惹起されアクチンとミオシンの相互作用の障害が起きることや、筋小胞体からのCaの放出後に能動輸送でCaを回収することができなくなることが、こむら返りの病態と解説されています。
この機序を応用してアスリートがカルニチンを摂取し、持久力を要する競技中のカルニチンの枯渇を予防することでパフォーマンスを向上させているといううわさも出ています。
L-カルニチンはカルニチン欠乏症に保険収載されていますが、こむら返り症のみに対しての保険適応はないため、病名記載時には注意が必要ですが、投与すると数日で著効する症例が続出する印象です。また、診断的治療についても小児科学会のカルニチン欠乏に関するガイドラインに記載されており、血中カルニチン分画測定は透析患者などに限定して保険収載されています。副作用がほぼない薬なので診断的治療も選択枝です。>
これは筋収縮(アクチンとミオシンのスライディング)に必要な燃料ATPが不足しているため、筋線維が異常に収縮・硬直して「こむら返り」が起こることの生化学的な説明だ。カルニチンはVit.Bτ(タウ)とも呼ばれ、ミトコンドリア内で脂肪酸のβ酸化が生じる際に、必要になる化学物質だ。
医歯薬出版「最新医学大辞典」には「こむら返り」が英語Twistの対応語として載っているが、「ドーランド・図説医学大辞典」(広川書店)には「Twist」の項目がない。(同辞典の日本語索引には「こむら(腓):Calf」はあるが「こむら返り」はない。両辞典を比較すると、どちらも英語のspasm, twitching, crampの概念の違いが、きちんと理解された上での辞書項目執筆でないのが明瞭だ。)
「最新医学大辞典」には「こむら返り Twist」を<下腿三頭筋に発生する強直性けいれんで、激しい疼痛を伴う。疲労・寒冷などで正常人にもみられる」と説明している。
確かに私の場合、「寒冷」が関与している可能性もある。寝るちょっと前に、空調のタイマー・オフを1時間にセットし、朝5時頃小用に起き、「もう2サイクル寝よう」と入眠した後に、こむら返りが起こりやすい。空調はオフのままだから、室温は5℃くらいに下がっている。
私は寝あがきをするほうだから、足もとの毛布、布団、布団カバーはクチャクチャになっており、下腿が5℃の寒気に曝されていた可能性は高い。
空調を付け放しで寝るか、小用の際に空調をオンにすると、こむら返りを予防できる。
ただ寒冷要因、カルニチン不足説、炭酸リチウム製剤服用、高カリウム血症を「こむら返り」と一元的に結びつけて説明する理論を思いつかなくて、困ってる。
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