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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【連続殺人】難波先生より

2013-07-25 12:16:15 | 難波紘二先生
【連続殺人】「無惨やな かぶとの下のキリギリス」…横溝正史「獄門島」での連続殺人事件に、うまく使われている芭蕉の句だ。寺の和尚が釣り鐘の下から見つかった娘の死体を見て、「きちがいだが、仕方がない」とつぶやく。この言葉に一切の謎が隠されている。


 山田風太郎「明治バベルの塔」を読み終えた。中に「四分秋水伝」という大逆事件の主犯とされ死刑になった幸徳秋水を描いた短編があった。
 「爆弾の飛ぶよと見てし初夢は 千代田の松の雪折れの音」
 この一首は秋水の辞世とされている。
 明治天皇の馬車目がけて爆弾を投げる計画があり、それが「大逆事件」だとされている。
 辞世の歌だと信じれば、未遂に終わった天皇暗殺計画を自嘲したともとれる。


 しかし私は、秋水が最後まで「キリスト抹殺論」を書いており、それを仕上げると絶筆「死刑の前」を処刑当日まで書いていたのを知っている。http://www.aozora.gr.jp/cards/000261/card4324.html
 だから、この歌の意味に疑念を抱いていた。


 風太郎によると、歌そのものは明治43年の正月に、自宅で年始客と宴会を開き、その折りにざれ歌として秋水が詠んだものだという。
 出典確認はしていないが、そう解釈したほうが、納得がゆく。秋水はアナーキストだったから、天皇制がなくなることを望んでいた。大杉栄もそうだ。だからといって、「大逆罪」は成立しない。「ユートピア」を書いたトマス・モアにヘンリー8世に対する「反逆罪」が成立しないのと、それは同様だ。


 山口県周南市金峰(みたけ)の限界集落(住民14人で、10人が60歳以上)で5人が撲殺され、住宅が放火されるという陰惨な事件が起こった。犯人と目される63歳男の自宅窓に、「つけびして煙り喜ぶ 田舎者」という川柳もどきの文言が、紙に筆でかかれ、貼ってあったという。


 この文句に疑惑を感じた。喜ぶ「田舎者」とは誰のことだろう。自分を「田舎者」と表現するとは思えない。
 すると、
 ①「俺が放火したのに、それも知らず喜んで見ている愚かな田舎者よ」という意味か、それとも
 ②「自分で放火しておいて、煙があがったのを喜んでいる愚かな田舎者よ」という意味しかない。
 この張り紙は、3年前に近所でぼやがあった後、行方不明になっている問題の男が自宅に貼ったもので、近所の人もそれを読んでいる。
 すると①の解釈はありえない。


 火災保険金詐欺は、過疎の田舎ではけっこう多い。自宅火事の場合は、警察も手を出さず、消防署に委せようとするから、犯罪としての認知率は低い。だから、火災保険料を受け取り、町に出て行くつもりがあってのことだったのかも知れない。


 男は、若い頃にムラを出て、老いた父親の介護のために約10年ほど前に埼玉から帰郷したという。しかしムラの住人となじむことができず、孤立していたという。ムラ社会の閉鎖性は、きだみのるが「きちがい」シリーズでよく描いているが、その通りだ。
 集落は「家族のようなつき合いだった」と住民が語っているが、裏を返せばそれだけヨソ者を排除したということだろう。


 事件の真相はわからない。男は車をおいたまま行方不明になっているというから、自殺している可能性が高いだろう。
 「獄門島」は瀬戸内海の岡山県、広島県、愛媛県が接する辺りにある架空の島で、住民もすくない、古いムラに戦後間もなく発生する殺人事件の話だ。報道を読んで、それを連想した。


 事件報道の質は、毎日>産経>中国の順になる。毎日の龍記者はよく頑張っている。
 警察発表や捜査官の情報をたれ流しにせず、自主的な調査報道を展開してもらいたい。
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