【スタグフレーション】まあ、経済学という学問がそもそも当てにならないのだから、経済評論家の未来予測はまゆつばだ。
H.S.デント, Jr.;「最悪期まであと2年! 次なる大恐慌」(ダイヤモンド社, 2008)
副島種彦:「新たなる金融危機に向かう世界」(徳間書店、2010)
〃 :「<金・ドル体制>の終り:もうすぐ大恐慌」(2011)
を読むと大予言がぜんぶはずれたことがわかる。
この早大法学部卒の経済評論家によれば、次の大恐慌は「デフレとインフレ」が合体したものだそうだ。
それを経済学では「スタグフレーション」というのを知らないようだ。
コンビニで「週刊現代」を買ったら、400円に値上がりしていた。週刊誌の値段は300円の時代が長く続き、330円、370円と値上がりした。いずれもここに越してきてからのことだから、過去17年の間におこった。
デフレでも値上がりするものはある。
しかし週刊誌発行会社で、正社員の数は減り、記者の多くは契約社員だ。外国はそうなっているから、日本もそうなっていくのかも知れない。
「大恐慌に突入しても、私たちの生活は表面上は大して変わらないだろう。…妙なものにたくさん投資している人たちが大損をして、自分の財産を吹き飛ばすだけである。すでに中小企業で潰れるべきものは潰れた」という。
私はハイパーインフレになり、年金がカットされたら、太陽光発電で電気代を削減し、野菜と芋などを植えて食料費を削減することを考えている。土地はすでに手配してある。自給自足に移行するということだ。
敷地内を歩いてバス停まで行けるので、路線バスが運行する限り、時間はかかるが交通に不便はない。
敗戦後、本当に困ったのは食い物がないことだった。イナゴも食ったし、タニシも食ったし、芋のつるも食った。
定年後、広島市内の市立病院の前にある家に戻ることも考えたが、ジャレド・ダイアモンドの「大崩壊」を読んで、「やがてこうなる」と思ったから、「田舎暮らし」をすることにした。百姓から食料をわけてもらうのに、ペコペコしていた母の姿を忘れることはできない。
1930年の「世界恐慌」の際に、「倹約をやめて、特売上でものを買おう。そしたら失業もなくなり、国富も増える」と主張したのは世界中でケインズただ一人だった。この時「兌換制」を維持していたイングランド銀行では、1ヶ月で2億ポンド相当の金が海外に流出した。そこで議会は法律を改正し、「イングランド銀行が紙幣を金と交換する義務」を解除した。
1931年9月21日、これが紙幣と金のリンクが切断された初めである。各国がすぐ追従し、米国だけが残ったので、ドルが世界通貨となった。
しかし各国中央銀行などは、まさかの場合に備えて金を備蓄している。この「地上在庫」は副島によれが50万トンという。 米国など= 20万トン
英国= 10万トン
スイス= 10万トン
バチカン= 10万トン
だそうだ。グラム3000円なら、1500兆円分が経済過程に投入されず眠っている。モアのいうように金の便器でも作ったらどうだ。
1928年に始まった世界恐慌は、第一次大戦の戦勝国アメリカが、一躍世界の債権国になり、景気がよくなりバブルに躍ったのが原因で、あの時はケインズ経済学を取り入れたアメリカの若手経済学者が政策提言して、フーバー、ルースヴェルトと2代の大統領が公共投資を行ったから、立ち直った。第二次大戦の開始も景気を刺激した。
が、あれは「古い産業資本主義社会」だったから、効果があったので、今はもうその手が効かないことは「失われた20年」が証明している。
ドラッカーは「ネクスト・ソサイエティ」(ダイヤモンド社, 2002) でこう記している。
<90年代の半ばに、私は急激に変化しつつあるのは経済ではなく、社会のほうだと気づいた。…次の社会(ネクスト・ソサエティ)はすでに到来した。もとには戻らない。>
新しい社会の柱をなすのは次の4つである。
1)IT革命=これは説明の必要がないだろう。
2)人口構造の変化=出生率の低下、人口の減少、とくに若年人口の減少と高齢者の増加
3)製造業の地位の凋落=アメリカでは製造業労働者が労働人口に占めるウェイトは、わずか10%に縮んだ。かつての農業と同じことが起こった。アメリカでは農業人口は3%を割っている。各国とも食料生産は1950年の3倍に増え、先進国で未だに食料を輸入しているのは、日本だけだという。米作のモノカルチャーだからだ。
成長している産業は医療と教育である。特に高齢化の到来が老人有病率の増加と「生涯教育」の普及によりこれに拍車をかけている。
4)労働力の多様化=ITができる大学卒が正社員となり、社会の上層に移動し、教育がなく単純労働しかできない黒人を中心とする人たちが新たな「下層階級」となった。雇用は派遣会社が行い、会社の人事と運営は「外注(アウトソーシング)」され、「雇用業務代行会社」が行うようになった。つまり「人事部」が不要になった。
逆にいえば、才覚さえあれば、社員は全部外注し、人事管理も外注して、本業だけに専念できる会社を明日にでも起こせるのだ。社内派閥の時代も終わったのだ。
この「新しい社会」では、知識労働力の価値が高まる。知識労働の特性は、労働力=資本という点にある。単純肉体労働と同じように取り替えはきかないから、組織は働き手の「身心の健康と福利」に配慮せざるをえない。
こういう社会は安倍首相の頭にある「強いニッポン」のイメージとは全然違う。ドラッカーの原本は2002年に出ており、いま日本でもこのとおりになっている。
H.S.デント「大恐慌」は、<経済の最大の原動力は「人口トレンド」だ>という。その通りだろう。
「段階の世代」の購買力が70年代以後の日本経済を支えた。いまこの世代は医療に対する需要の担い手だ。
どう見ても、「新年度予算」は「強い日本」を生み出すものとは思えない。
「教育レベルが高く、情報技術を使いこなせる」消費者/労働者が、人口の何%を占め、「何を買いたがっているか」、それを予測しないと、政府は金の使い道をあやまるだろう。
H.S.デント, Jr.;「最悪期まであと2年! 次なる大恐慌」(ダイヤモンド社, 2008)
副島種彦:「新たなる金融危機に向かう世界」(徳間書店、2010)
〃 :「<金・ドル体制>の終り:もうすぐ大恐慌」(2011)
を読むと大予言がぜんぶはずれたことがわかる。
この早大法学部卒の経済評論家によれば、次の大恐慌は「デフレとインフレ」が合体したものだそうだ。
それを経済学では「スタグフレーション」というのを知らないようだ。
コンビニで「週刊現代」を買ったら、400円に値上がりしていた。週刊誌の値段は300円の時代が長く続き、330円、370円と値上がりした。いずれもここに越してきてからのことだから、過去17年の間におこった。
デフレでも値上がりするものはある。
しかし週刊誌発行会社で、正社員の数は減り、記者の多くは契約社員だ。外国はそうなっているから、日本もそうなっていくのかも知れない。
「大恐慌に突入しても、私たちの生活は表面上は大して変わらないだろう。…妙なものにたくさん投資している人たちが大損をして、自分の財産を吹き飛ばすだけである。すでに中小企業で潰れるべきものは潰れた」という。
私はハイパーインフレになり、年金がカットされたら、太陽光発電で電気代を削減し、野菜と芋などを植えて食料費を削減することを考えている。土地はすでに手配してある。自給自足に移行するということだ。
敷地内を歩いてバス停まで行けるので、路線バスが運行する限り、時間はかかるが交通に不便はない。
敗戦後、本当に困ったのは食い物がないことだった。イナゴも食ったし、タニシも食ったし、芋のつるも食った。
定年後、広島市内の市立病院の前にある家に戻ることも考えたが、ジャレド・ダイアモンドの「大崩壊」を読んで、「やがてこうなる」と思ったから、「田舎暮らし」をすることにした。百姓から食料をわけてもらうのに、ペコペコしていた母の姿を忘れることはできない。
1930年の「世界恐慌」の際に、「倹約をやめて、特売上でものを買おう。そしたら失業もなくなり、国富も増える」と主張したのは世界中でケインズただ一人だった。この時「兌換制」を維持していたイングランド銀行では、1ヶ月で2億ポンド相当の金が海外に流出した。そこで議会は法律を改正し、「イングランド銀行が紙幣を金と交換する義務」を解除した。
1931年9月21日、これが紙幣と金のリンクが切断された初めである。各国がすぐ追従し、米国だけが残ったので、ドルが世界通貨となった。
しかし各国中央銀行などは、まさかの場合に備えて金を備蓄している。この「地上在庫」は副島によれが50万トンという。 米国など= 20万トン
英国= 10万トン
スイス= 10万トン
バチカン= 10万トン
だそうだ。グラム3000円なら、1500兆円分が経済過程に投入されず眠っている。モアのいうように金の便器でも作ったらどうだ。
1928年に始まった世界恐慌は、第一次大戦の戦勝国アメリカが、一躍世界の債権国になり、景気がよくなりバブルに躍ったのが原因で、あの時はケインズ経済学を取り入れたアメリカの若手経済学者が政策提言して、フーバー、ルースヴェルトと2代の大統領が公共投資を行ったから、立ち直った。第二次大戦の開始も景気を刺激した。
が、あれは「古い産業資本主義社会」だったから、効果があったので、今はもうその手が効かないことは「失われた20年」が証明している。
ドラッカーは「ネクスト・ソサイエティ」(ダイヤモンド社, 2002) でこう記している。
<90年代の半ばに、私は急激に変化しつつあるのは経済ではなく、社会のほうだと気づいた。…次の社会(ネクスト・ソサエティ)はすでに到来した。もとには戻らない。>
新しい社会の柱をなすのは次の4つである。
1)IT革命=これは説明の必要がないだろう。
2)人口構造の変化=出生率の低下、人口の減少、とくに若年人口の減少と高齢者の増加
3)製造業の地位の凋落=アメリカでは製造業労働者が労働人口に占めるウェイトは、わずか10%に縮んだ。かつての農業と同じことが起こった。アメリカでは農業人口は3%を割っている。各国とも食料生産は1950年の3倍に増え、先進国で未だに食料を輸入しているのは、日本だけだという。米作のモノカルチャーだからだ。
成長している産業は医療と教育である。特に高齢化の到来が老人有病率の増加と「生涯教育」の普及によりこれに拍車をかけている。
4)労働力の多様化=ITができる大学卒が正社員となり、社会の上層に移動し、教育がなく単純労働しかできない黒人を中心とする人たちが新たな「下層階級」となった。雇用は派遣会社が行い、会社の人事と運営は「外注(アウトソーシング)」され、「雇用業務代行会社」が行うようになった。つまり「人事部」が不要になった。
逆にいえば、才覚さえあれば、社員は全部外注し、人事管理も外注して、本業だけに専念できる会社を明日にでも起こせるのだ。社内派閥の時代も終わったのだ。
この「新しい社会」では、知識労働力の価値が高まる。知識労働の特性は、労働力=資本という点にある。単純肉体労働と同じように取り替えはきかないから、組織は働き手の「身心の健康と福利」に配慮せざるをえない。
こういう社会は安倍首相の頭にある「強いニッポン」のイメージとは全然違う。ドラッカーの原本は2002年に出ており、いま日本でもこのとおりになっている。
H.S.デント「大恐慌」は、<経済の最大の原動力は「人口トレンド」だ>という。その通りだろう。
「段階の世代」の購買力が70年代以後の日本経済を支えた。いまこの世代は医療に対する需要の担い手だ。
どう見ても、「新年度予算」は「強い日本」を生み出すものとは思えない。
「教育レベルが高く、情報技術を使いこなせる」消費者/労働者が、人口の何%を占め、「何を買いたがっているか」、それを予測しないと、政府は金の使い道をあやまるだろう。
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