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【書評】ナサニエル・ホーソーン『ホーソーン短編小説集』/難波先生より

2013-06-18 12:03:00 | 難波紘二先生
【書評】エフロブ「買いたい新書」の書評にナサニエル・ホーソーン『ホーソーン短編小説集』(岩波文庫)を取りあげました。

 http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1371194668


 ナサニエルは1630年に英国から米ニューイングランドに移民したホーソン家の六代目ですが、二代目のジョンは1692年に起きた有名な「セーラム魔女裁判」事件の判事として、19人を絞首刑に処しています。背景には清教徒の無知と不寛容の精神があります。この頃のアメリカは今のイランやトルコと同じで、宗教家が政治を行う「原理主義」だった。


 大学卒業後、ナサニエルはなんと12年間も「自宅引きこもり」になります。先祖の罪は彼にのしかかり、ついには家名の綴りを変えてしまいます。彼の文学の基層には、先祖のおかした罪に対する意識がたえず横たわっているように思います。
 「魔女、魔法、怪奇現象」を取りあげる怪奇文学の系譜は、ヨーロッパでは19世紀初めにポリドリの「吸血鬼」から始まりますが、アメリカではホーソンの短編から、ポーの「アッシャー家の崩壊」に受けつがれたように思われます。
 ホーソーンの作品のなかで、「大きい石の顔」は何度読んでも味わい深い短編です。
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