【新聞から】
1) 広告代が安くなったのだろうか、例のインチキ本の「バベル社」が日曜日の「毎日」二面に紙面の半分を使って4段で「復刻版・牧野富太郎植物記」の広告を打っている。
これは2008年に出た本で、\12,000円で私も買ったが、クソ本だ。
牧野は1862年土佐生まれなので、「生誕150年記念出版」という広告はウソだ。
バベル社は大した自社出版物もなく、なぞの会社である。
http://babelsha.client.jp/shoseki/shokubutsuki.html
大手の編集下請けのようなことをやっているのかも知れない。
昔、家内が専業主婦の頃、医学論文(英語、日本語)の校閲アルバイトをやっていたことがあるが、私立医大などから結構、仲介業者をとおして仕事が来ていた。ときどき私も読んだが、どうしょうもなくレベルが低かった。「学位」ほしさに、論文の数を増やしているのだな、と思ったことがある。
それにしてもこのインチキ広告、何とかならないか。
牧野富太郎「牧野富太郎自叙伝」(講談社学術文庫)は小学校中退という学歴ゼロの男が、東大理学部植物学教授矢田部良吉という度量の広い人物に許されて、教室の用務員のようなところから始めて、万年講師となり「牧野植物学」を樹立するまでを述べている。
1000円以下で買える、この文庫本の方がよほど面白い。
2)「毎日」読書欄の下段広告に岩波「アリストテレス全集・新版」全20巻の発売開始広告が載っている。 70年代はじめに出た旧「全集」は全17巻だったから巻数が増える。
旧版は一部が「岩波文庫」になっているが、体裁はギリシア語からの訳となっているが、序文をよく読めば「ラテン語訳からの日本語訳」で、定本はラテン語本である。
翻訳にあたっての参考文献も、ほとんどがドイツ語論文である。
邦訳のページにはa10, b20というよう記号が行の要所要所についているが、何とこれが定本の左ページ(a)と右ページ(b)および定本についている行番号だ。定本の索引はこれで語の位置を指示するようになっているが、縦書きに邦訳するとaとbが逆になり、同時に索引語の行位置が狂ってしまう。
つまり翻訳者は、邦訳ゲラ刷りの時に索引を作成せず、ドイツの定本から索引を丸ごと翻訳している。だから旧全集は、まことに使いにくい。
これよりは英国の「Loeb 古典シリーズ」にあるギリシア語・英語対訳本の方がはるかに使いやすい。今度の新版が質的、機能的にどれだけ改善されているか興味がある。
ただ「予約出版」で分売を認めないとあり、店頭には出回らないようだ。1冊平均で「別巻」を入れると、約15万円はするだろう。それに何年かかるかもわからない。考えこんでしまう。
3)「産経」コラム「日曜に書く」で、長辻象平論説委員が「地球寒冷化説」を取り上げている。IPPCは「地球温暖化が起こっており、それは空気中の二酸化炭素濃度の上昇に起因する」と「人為説」をとっている。
これが「原発推進」の大義名分になっており。「産経」は原発業界と結びついているから「原発再稼働と原発輸出」に賛成である。同じ社の中に意見を異にする論説委員がいるのが面白い。
この問題について「スノーボール・アース」の邦訳以来、「地球温暖化」をまともに主張する学術的な本はない。
桜井邦朋 「眠りにつく太陽ー地球は寒冷化する 」祥伝社新書 2010/10
広瀬隆 「二酸化炭素温暖化説の崩壊 」集英社新書 2010/7
丸山茂徳 「今そこに迫る<地球寒冷化> 人類の危機 KKベストセラーズ 2009/12
赤祖父俊一「 正しく知る地球温暖化:誤った地球温暖化論に惑わされないために」 誠文堂新光社 2008/10
丸山茂徳 「<地球温暖化>論に騙されるな!」 講談社 2008/5
丸山茂徳 「科学者の9割は<地球温暖化>CO2犯人説はウソだと知っている」 宝島社新書 2008/8
ウォーカー, ガブリエル(渡海圭子) {スノーボール・アース:生命進化をもたらした全地球凍結 」早川書房 2004/2
このウォーカーの本で取り上げられているハーヴァード大ポール・ホフマン教授(地質学)の説によると、「全地球凍結」は20億年前と7億年前に起こったという。で、それは何百年もかかって起きるかというと、わずか40年で起きるという。気候が50年ぐらいで小サイクルを繰り返すことは常識のようだ。
確かに小学生から中学生の頃、田舎の冬は大雪に見舞われていた。家内は「1960年代に氷河期が来るという説があった」というが、私は記憶していない。
フロンがオゾン層を破壊するという説は、フロン規制の結果、オゾン層の回復が見られ実証されたと考えられる。地球の気候が、地球自転軸の歳差運動により変化するのは理解できるが、桜井邦朋のいうように「太陽黒点活動の変化」により寒冷化に向かうのか、まだ実証がないと思う。
4)「朝鮮日報」が「もう詩人の家に行くのはやめよう」というコラムを載せている。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/20/2013102000074.html?ent_rank_news
ノーベル文学賞を逃したことの弁明。ブドウを取れなかったキツネが「あれは酸っぱいブドウ」だと言っているようなものだ。この記事で興味深いのは以下の指摘。
<今年7月、米日刊紙ロサンゼルス・タイムズで国別の読書時間に関する統計を見た。
「週に何時間、本を読むか」という調査だったが、調査対象国30カ国中、韓国は3時間6分で最下位だった。1位はインド(10時間42分)、2位はタイ(9時間24分)、3位は中国(8時間)、今回ノーベル文学賞受賞者を出したカナダは5時間48分で21位だった。
2012年の韓国出版年鑑によると、韓国の成人の30%は年に本を1冊も読まないという。全国の書店数はこの10年で2247店から1752店に減り、特に10坪(約33平方メートル)未満の「町内の本屋」は914店から74店と激減した。>
韓国の面積と人口はおよそ日本の半分。日本でもネット売り上げが伸び、小売店舗数は減少しているが、それでも2012年にまだ1万店はある。本を読まないと自分で考えるくせがつかず、他人の意見に付和雷同して魯迅が「阿Q正伝」で描いた阿Qのようになる。あれはいまの韓国民衆にそっくりだ。
どうして韓国人は本を読まないのか。文字をぜんぶハングルにしてしまったから、読まないのである。朝鮮語は日本のやまと言葉と違い、漢字の訓読みがない。漢字語を朝鮮語なまりの音読みしたからである。この音をハングルで表すとやたら同音異義語が多くなり、意味がわからず、読むのがむつかしい。だから本離れが起こるのである。
加えて、韓国語における元漢字熟語はほとんどが日本語由来である。漢字を見れば日本製ということはすぐ判る。だから隠したのである。
合気道(ハプキド)
愛嬌 (エギョ)
哀愁 (エス)
愛称 (エチン)
愛情 (エジョン)
愛読書(エドクソ)
愛撫 (エム)
赤字 (チョクチャ)
悪意 (アギ)
悪運 (アグン)
圧縮 (アプチュク)
圧勝 (アプスン)
斡旋 (アルソン)
日本語の「サ変名詞」の場合は動詞化するには「する」を付ければよいが、朝鮮語の場合は「ハダ」を付ければよい。ここも日本語と同じである。
「愛撫」「圧縮」「圧勝」「斡旋」はサ変名詞だから、動詞になると「エギョ・ハダ」で「愛撫する」の意味になる。「ハダ」は北朝鮮のテレビでアナウンサーが強い語調で発音する語尾だ。
朝鮮語のおよそ8割が日本語由来というのは、明らかに「日帝支配の36年」の産物であるのに疑いはない。しかし日本は明治維新以来、いやその前の蘭学の時代から、西洋の述語を日本語化する努力を積み重ねてきた。蘭学者は中国の医書にない「パンクレアス」という臓器に気づき、「膵臓」の「膵」という漢字を造字さえしている。政治、社会、金融、外交、文学、科学、医学の分野で福沢諭吉、西周など日本人が作った漢字用語は数知れない。
韓国はその文化遺産をそのまま受けつぎ、自らの力で近代の受容のために格闘することなく、安直に漢字熟語をハングルに置き換えた。しかも印刷本をハングルにしてしまった。会話なら同音異義語の意味を即座に聞き返すことができ、誤解が避けられるが、本はそうはいかない。いちいち字引を引けるものか。
そういうわけで、韓国における「本離れ」は国策として「漢字廃止」をやったことと関係がある。そこにネットやスマホが普及したので、150字足らずの舌足らずのメッセージが氾濫することになったのである。
私は「大和言葉」で科学や医学の大系が築けるとは思わない。ひらかなとカタカナの混用でも、これが可能とは思わない。やはり適切な漢字が必要である。かなは「音節文字」であり、漢字熟語は「表意文字」だから、文を圧縮し、しかも文学的な表現を工夫するにはこの両者をうまく使った方が、方法論として優れている。
この辺までつっこんで、韓国の知識人が考えてくれたら、「歴史認識」をめぐる現在の不毛な対立も、少しは解消に向かうのではないかと思うが、「本屋が消滅する国」では無理かとも思う。
1) 広告代が安くなったのだろうか、例のインチキ本の「バベル社」が日曜日の「毎日」二面に紙面の半分を使って4段で「復刻版・牧野富太郎植物記」の広告を打っている。
これは2008年に出た本で、\12,000円で私も買ったが、クソ本だ。
牧野は1862年土佐生まれなので、「生誕150年記念出版」という広告はウソだ。
バベル社は大した自社出版物もなく、なぞの会社である。
http://babelsha.client.jp/shoseki/shokubutsuki.html
大手の編集下請けのようなことをやっているのかも知れない。
昔、家内が専業主婦の頃、医学論文(英語、日本語)の校閲アルバイトをやっていたことがあるが、私立医大などから結構、仲介業者をとおして仕事が来ていた。ときどき私も読んだが、どうしょうもなくレベルが低かった。「学位」ほしさに、論文の数を増やしているのだな、と思ったことがある。
それにしてもこのインチキ広告、何とかならないか。
牧野富太郎「牧野富太郎自叙伝」(講談社学術文庫)は小学校中退という学歴ゼロの男が、東大理学部植物学教授矢田部良吉という度量の広い人物に許されて、教室の用務員のようなところから始めて、万年講師となり「牧野植物学」を樹立するまでを述べている。
1000円以下で買える、この文庫本の方がよほど面白い。
2)「毎日」読書欄の下段広告に岩波「アリストテレス全集・新版」全20巻の発売開始広告が載っている。 70年代はじめに出た旧「全集」は全17巻だったから巻数が増える。
旧版は一部が「岩波文庫」になっているが、体裁はギリシア語からの訳となっているが、序文をよく読めば「ラテン語訳からの日本語訳」で、定本はラテン語本である。
翻訳にあたっての参考文献も、ほとんどがドイツ語論文である。
邦訳のページにはa10, b20というよう記号が行の要所要所についているが、何とこれが定本の左ページ(a)と右ページ(b)および定本についている行番号だ。定本の索引はこれで語の位置を指示するようになっているが、縦書きに邦訳するとaとbが逆になり、同時に索引語の行位置が狂ってしまう。
つまり翻訳者は、邦訳ゲラ刷りの時に索引を作成せず、ドイツの定本から索引を丸ごと翻訳している。だから旧全集は、まことに使いにくい。
これよりは英国の「Loeb 古典シリーズ」にあるギリシア語・英語対訳本の方がはるかに使いやすい。今度の新版が質的、機能的にどれだけ改善されているか興味がある。
ただ「予約出版」で分売を認めないとあり、店頭には出回らないようだ。1冊平均で「別巻」を入れると、約15万円はするだろう。それに何年かかるかもわからない。考えこんでしまう。
3)「産経」コラム「日曜に書く」で、長辻象平論説委員が「地球寒冷化説」を取り上げている。IPPCは「地球温暖化が起こっており、それは空気中の二酸化炭素濃度の上昇に起因する」と「人為説」をとっている。
これが「原発推進」の大義名分になっており。「産経」は原発業界と結びついているから「原発再稼働と原発輸出」に賛成である。同じ社の中に意見を異にする論説委員がいるのが面白い。
この問題について「スノーボール・アース」の邦訳以来、「地球温暖化」をまともに主張する学術的な本はない。
桜井邦朋 「眠りにつく太陽ー地球は寒冷化する 」祥伝社新書 2010/10
広瀬隆 「二酸化炭素温暖化説の崩壊 」集英社新書 2010/7
丸山茂徳 「今そこに迫る<地球寒冷化> 人類の危機 KKベストセラーズ 2009/12
赤祖父俊一「 正しく知る地球温暖化:誤った地球温暖化論に惑わされないために」 誠文堂新光社 2008/10
丸山茂徳 「<地球温暖化>論に騙されるな!」 講談社 2008/5
丸山茂徳 「科学者の9割は<地球温暖化>CO2犯人説はウソだと知っている」 宝島社新書 2008/8
ウォーカー, ガブリエル(渡海圭子) {スノーボール・アース:生命進化をもたらした全地球凍結 」早川書房 2004/2
このウォーカーの本で取り上げられているハーヴァード大ポール・ホフマン教授(地質学)の説によると、「全地球凍結」は20億年前と7億年前に起こったという。で、それは何百年もかかって起きるかというと、わずか40年で起きるという。気候が50年ぐらいで小サイクルを繰り返すことは常識のようだ。
確かに小学生から中学生の頃、田舎の冬は大雪に見舞われていた。家内は「1960年代に氷河期が来るという説があった」というが、私は記憶していない。
フロンがオゾン層を破壊するという説は、フロン規制の結果、オゾン層の回復が見られ実証されたと考えられる。地球の気候が、地球自転軸の歳差運動により変化するのは理解できるが、桜井邦朋のいうように「太陽黒点活動の変化」により寒冷化に向かうのか、まだ実証がないと思う。
4)「朝鮮日報」が「もう詩人の家に行くのはやめよう」というコラムを載せている。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/20/2013102000074.html?ent_rank_news
ノーベル文学賞を逃したことの弁明。ブドウを取れなかったキツネが「あれは酸っぱいブドウ」だと言っているようなものだ。この記事で興味深いのは以下の指摘。
<今年7月、米日刊紙ロサンゼルス・タイムズで国別の読書時間に関する統計を見た。
「週に何時間、本を読むか」という調査だったが、調査対象国30カ国中、韓国は3時間6分で最下位だった。1位はインド(10時間42分)、2位はタイ(9時間24分)、3位は中国(8時間)、今回ノーベル文学賞受賞者を出したカナダは5時間48分で21位だった。
2012年の韓国出版年鑑によると、韓国の成人の30%は年に本を1冊も読まないという。全国の書店数はこの10年で2247店から1752店に減り、特に10坪(約33平方メートル)未満の「町内の本屋」は914店から74店と激減した。>
韓国の面積と人口はおよそ日本の半分。日本でもネット売り上げが伸び、小売店舗数は減少しているが、それでも2012年にまだ1万店はある。本を読まないと自分で考えるくせがつかず、他人の意見に付和雷同して魯迅が「阿Q正伝」で描いた阿Qのようになる。あれはいまの韓国民衆にそっくりだ。
どうして韓国人は本を読まないのか。文字をぜんぶハングルにしてしまったから、読まないのである。朝鮮語は日本のやまと言葉と違い、漢字の訓読みがない。漢字語を朝鮮語なまりの音読みしたからである。この音をハングルで表すとやたら同音異義語が多くなり、意味がわからず、読むのがむつかしい。だから本離れが起こるのである。
加えて、韓国語における元漢字熟語はほとんどが日本語由来である。漢字を見れば日本製ということはすぐ判る。だから隠したのである。
合気道(ハプキド)
愛嬌 (エギョ)
哀愁 (エス)
愛称 (エチン)
愛情 (エジョン)
愛読書(エドクソ)
愛撫 (エム)
赤字 (チョクチャ)
悪意 (アギ)
悪運 (アグン)
圧縮 (アプチュク)
圧勝 (アプスン)
斡旋 (アルソン)
日本語の「サ変名詞」の場合は動詞化するには「する」を付ければよいが、朝鮮語の場合は「ハダ」を付ければよい。ここも日本語と同じである。
「愛撫」「圧縮」「圧勝」「斡旋」はサ変名詞だから、動詞になると「エギョ・ハダ」で「愛撫する」の意味になる。「ハダ」は北朝鮮のテレビでアナウンサーが強い語調で発音する語尾だ。
朝鮮語のおよそ8割が日本語由来というのは、明らかに「日帝支配の36年」の産物であるのに疑いはない。しかし日本は明治維新以来、いやその前の蘭学の時代から、西洋の述語を日本語化する努力を積み重ねてきた。蘭学者は中国の医書にない「パンクレアス」という臓器に気づき、「膵臓」の「膵」という漢字を造字さえしている。政治、社会、金融、外交、文学、科学、医学の分野で福沢諭吉、西周など日本人が作った漢字用語は数知れない。
韓国はその文化遺産をそのまま受けつぎ、自らの力で近代の受容のために格闘することなく、安直に漢字熟語をハングルに置き換えた。しかも印刷本をハングルにしてしまった。会話なら同音異義語の意味を即座に聞き返すことができ、誤解が避けられるが、本はそうはいかない。いちいち字引を引けるものか。
そういうわけで、韓国における「本離れ」は国策として「漢字廃止」をやったことと関係がある。そこにネットやスマホが普及したので、150字足らずの舌足らずのメッセージが氾濫することになったのである。
私は「大和言葉」で科学や医学の大系が築けるとは思わない。ひらかなとカタカナの混用でも、これが可能とは思わない。やはり適切な漢字が必要である。かなは「音節文字」であり、漢字熟語は「表意文字」だから、文を圧縮し、しかも文学的な表現を工夫するにはこの両者をうまく使った方が、方法論として優れている。
この辺までつっこんで、韓国の知識人が考えてくれたら、「歴史認識」をめぐる現在の不毛な対立も、少しは解消に向かうのではないかと思うが、「本屋が消滅する国」では無理かとも思う。
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