ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【議論】難波先生より

2013-07-15 12:50:00 | 難波紘二先生
【議論】息子夫婦は昨夜一泊して、今朝の日曜日 娘と孫を乗せて 山口県の周防大島に遊びに行った。現地で 嫁さんの同胞と合流し、ロッジに一泊するのだそうだ。


 昨夜の話。息子が「最近の小説は 面白くなくなった。作家が あまりにもIT社会からかけ離れすぎている。きっと 金がないから デヴァイスが買えないのではないか…」というから、
 「iPADで3万円、Kindleなら7000円だから、買えないはずはない。それを使うトレーニングを受けていないのだろう。
 ちょうど19世紀初めの 第一次産業革命の時に、文字のリタラシーがない人がブルーカラーになり、ある人がホワイトカラーになったのと同じさ。英国では それが階級として固定化した。
 今は第二次産業革命の最中で、ITを使いこなせない人は脱落して行く。それが<階級>として固定化するかどうかは わからないが、その可能性はある」というと、
 「昔は作家がSFで未来を予測し、それに導かれて 科学者や技術者が現実のものを作った。ロケットがそうだし、ロボットもそうだし、インターネットもそうだ。今の作家には そういう未来予測の能力がない」というから、
 「ちょっと待ってくれ。昔から 作家が未来を予測したことなどない。
 オーウェルの「1984」が 辛うじて <双方向通信>による監視社会を想定しているだけだ。あのビッグブラザーは スターリンのソ連社会に対する 政治的批判だ。


 ジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」は 巨大な大砲をつくり、砲弾に人が乗って月に飛び出す話で、ロケットエンジンは使っていない。最初に実用になったロケットは ドイツのフォン・ブラウンが 第二次大戦中に開発したV2ロケットで、兵器として使われた。


 「ロボット」という言葉は チェコの作家チャペクが「R.U.R.(ロッスムのユニヴァーサル・ロボット)」で使った言葉で、あのロボットは 金属の組合せでできた機械ではなく、プロトプラスマ(原形質)から作られた 生物学的なアンドロイドだ。
 この戯曲は 一種のアンチ・ユートピア小説だ。


 インターネットは H.G.ウェルズさえ予測していないし、コンピュータの父 アラン・チューリングも予測していない。
 いろいろな技術やアイデアの寄せ集めで成り立っているが、中心になっているのは テッド・ネルソンが思いついた「ハイパーテキスト」というコンセプトだ。あの技術で サーバがどこにあっても、即時に そこにある原典にたどる着ける。
 もちろん「検索エンジン」とか、「画面閲覧ソフト」とか の発明もあるが、基本になる技術は「ハイパーテキスト」だ。
 これはSF作家の誰も 予言していない」と指摘した。


 議論を始めるには、前提になる基礎事実を共有しないと、話が噛み合わない。
 私の「ディベート教室」の学生なら そんなことは当たり前だと 思ってくれるのだが、息子には反発された。
 「そんな細かいことなど 憶えていなくても、いまは ケータイ端末で検索できる。記憶力に負担をかけることなど 必要ない」と言って スマホをいじり始めた。どうも 若い世代とは意見が合わない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【黒いアゲハチョウ】難波先... | トップ | 7月15日(月)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事