ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【Googleのロボット自動車】難波先生より

2014-12-30 18:18:51 | 難波紘二先生
【Googleのロボット自動車】
 CNNがロボットの自動車をグーグルが開発したと報じている。6年先の2020年に実用車を売り出すそうだ。
http://www.cnn.co.jp/tech/35058255.html
 いずれそういう時代になるとは予測していたが、まさか1996年に検索エンジン開発の会社として始まったヴェンチャー企業が、創業25年ほどで、独自にロボット自動車を製造販売するとは思わなかった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Google#.E6.B2.BF.E9.9D.A9

 今年の4月に、ダイハツの「ミラ・イース」という軽乗用車を、消費税値上げ前に衝動買いしたが、三つのことに驚いた。
 第一は、マニュアルを読む必要がないこと。MACの操作法と同じで、機械の方が人間の生理感覚に合わせて作られているから、分厚いマニュアルを開くよりも、二三度試行錯誤すればすぐに操作法が体得できる。
 これはパネルの表示が「絵文字」になっていることも関係している。私が分からなかったのは、リアウィンドウに組み込まれたヒータースィッチの位置で、これはマニュアルを読まず、給油の際に販売店で聞いた。エアコンボタンの隣にある三本の波線が描かれたボタンがそれだった。
 主な交通標識は世界共通の絵文字になったが、日本の案内標識はまだそうなっておらず、長い文字列を読まなければいけないので、交通事故の大きな要因になっている。これは国交省の怠慢だ。

 第二は、省エネ設計が行き届いていて、燃費が昔のホンダ「トゥディ」などに比べると、25Km/Lという実走燃費が実現されていることだ。ボディが軽く、それでいて頑丈に作られていること、信号待ちなどの停止時に自動的にエンジンをストップさせ、アイドリングを防ぐ仕組みも導入されていた。面白いのは放置していても、青信号になる直前にエンジンがかかるようになっている。
 それでいてエンジンの馬力はアップしている。坂道でもSモードにすると、急坂の追い越し車線で普通車を追い抜ける。

 第三は、自分の車と前の車の距離と相対速度を測定していて、これが危険位置に来ると非常警告音を発するようになっている。前の車が急ブレーキを踏んだら警告音が出るし、交差点でのブレーキ操作が遅れても、同じように音が出る。
 また狭い道路の交差点を曲がる時に、スピードを落とさないでいると、前方の建物や塀を検出して同様に警報を発する。青信号で前の車が発進したのに気づかないでいると、やはり警告音が出る。これで後の車から「ブー」とクラクションを鳴らされないで済むようになった。

 これは車載のコンピュータのおかげだと思うが、標準装備でないパナソニックの安いカーナビを付けたら、これも20年くらい前に比べて、機能が著しく進歩しているのに感心した。私はこれまで「カーナビは地図の代用品で、運転中に画面を見ていたらかえって危険」と思っていたので、カーナビは使ったことがなかった。
 まず遠出して帰り道が分からなくなった時のために、「目的地=自宅」と設定しておいたら、これが大変便利だとわかった。GPSで現在地を割り出し、自宅までの最短ルートを示してくれる。実際に田舎の孤立した山里などに車を走らせていると、しばしば現在地がわからなることは多い。
 万一に備えて、国土地理院の五万分の一地図を携行し、ヴェスト胸ポケットにコンパスが入れてあるが、車が側溝に落ちて動かなくなるというような事故がないので、今のところ使うことがない。

 カーナビには、「5ルート表示」機能があり、有料道路を利用する、時間節約を優先する、距離を優先するなど、5つのモードからルートを選べる。「目的地設定」も電話番号、施設名、住所、登録済みの場所などから選べるようになっている。私は電話番号の入力が楽なので、観光地でない場合はもっぱらこれを利用している。
 問題は初めに設定したルートを走るのを、途中で気が変わって運転手が別ルートに変更した場合だが、しばらくは元のルートに戻るように音声案内をするが、ナビ装置に学習機能があり途中から新ルートでの適性案内をするようになる。適宜、前方の交通渋滞情報なども案内してくれる。
 つまりカーナビという機械が、次第にこちらの思考回路になじんでくる。前に走ったルートを記憶しているのである。

 カーナビ登載のコンピュータと車本体のそれとの間には、まだ統一的な回路がないようだが、これを並列に結合し、音声入力を可能にすれば、もうほとんどロボットカーになるな、と思っていた。(私の車にはバックモニターを付けていないので、バック駐車はやや難しい。これは来年取り付けるつもり。)
 
 こうしてみると、議会、司法、行政の三権につぐ、「第四の権力」といわれた大メディアがもろくも崩れさり、ネットでつながった市民の「集合知」が「第五の権力」(グーグル会長エリック・シュミットの表現)になって来たのが、過去の10年間だったと思う。ITを過小評価したのが最大の原因だろう。
 次に起こるのは「もの作り」の世界の激変だ。重厚長大なものを作る産業は、なくなりはしないが、企業としては大きな転換点を迎えていると思う。自動車はかつての西部劇の馬の代わりとして、個人のニーズを支えてきた。四輪である点では、馬車の代替品といえるかもしれない。部品メーカーだって、3Dプリンターによりロボット製造ができるようになるかも知れない。「女工哀史」の世界が、豊田による自動織機の開発で一変したのと同じことだ。
 そういうものを既存の自動車メーカーでなく、従業員が全部で5万人程度のグーグル社が開発する。実際に、このロボット自動車の開発に関与している人は、はるかに少ないだろう。時代が変わる時、古い発想にとらわれた組織はそれに適応できない。大メディアはITの革命的意義を理解できなかったし、大自動車メーカーは「ロボット自動車」をたぶん評価できないだろう。

 かつてこのあたりの田舎道でも、一人の乗りの電気自動車を走らせているお年寄りを見かけた。近くに買い物や用足しに出かけるところだったろう。ところが買い物する商店街が地域か消滅し、町内にはコンビニもない。坂道の多いこの町では、電気自動車はあまり役に立たなくなった。近ごろは見かけることが滅多にない。
 だが一人乗りのロボット自動車の登場は、これから高齢化が進む団塊の世代や身障者にとって大いなる福音になるだろう。考えてみると私の場合、ほとんど一人で乗っているので、4人乗りの軽乗用車を使う必要はほとんどない。初めからバックセンサーを備えたロボット自動車なら、駐車場に悩む必要がないし、バック駐車に難儀することもないだろう。
 2020年というと、生きていればもう80歳だから、ロボット自動車が最適な乗り物になるだろうと今から期待している。
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