ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】 西垣通「集合知とは何か」/難波先生より

2014-04-21 18:45:50 | 難波紘二先生
【書評など】
 エフロブ「解体新書」にNO. 213西垣通「集合知とは何か」を取り上げました。
 http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1397627257

西垣通は工学部でコンピュータの科学を専攻した後,企業勤務を経て東大教授となった人で、情報理論とインターネットに関する多くの一般向け解説書で知られる。
 アリやハチのような社会性昆虫の発揮する知的な行動を生物学的な「集合知」という。インターネットもWeb 2.0の出現で,誰でもネットで発言できるようになり,いまや人間でも集合知が可能になったと著者は説く。世界中に散らばったこういう情報を目的別にすばやく集めるには,高性能のコンピュータ(検索エンジン)が必要となるが,それを可能にしたのがグーグル社だ。
 1年以上前に出たこの本は美事に近未来を予測していた。変な方向に行きかけていたSTAP細胞問題を食いとめ、真相を明らかにしたのは大メディアではなく、ネットの集合知だ。STAP論文が発表された直後から、盗用、画像の加工、使い回しがネット掲示板で指摘された。論文を読んだ専門家や素人が、持ちよりで正確な情報を提供し、次第に疑うことのできない集合知が形成され、ついに幹細胞の専門家やメディアでさえネットの意見を無視できなくなり、疑惑報道が始まった。
 ネットの集合知は21世紀のこれからさらに重要になる。その意味で「STAP事件」は新しい時代の幕開けを告げる象徴的事件だった。従来の知は「専門知」で,専門家が発表した論文や意見をメディアが大衆に伝えた。しかし福島原発事故,津波による災害の予測,STAP細胞事件などで,「専門家」の権威がゆらいでいる。それを是正するのが「集合知」だ。
 これから「ネット検索」がメディアの人間にとっても欠かせないものとなろう。
 いまやNHKの「専門家に聞きました」という常套句が視聴者の嘲笑の対象となっている。
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