【青空文庫】の創始者富田倫生氏が、この8月16日に肝癌で亡くなった。61歳という。高校の同窓会名簿を見ると、「61回卒」とあるからほぼ一回り後輩にあたる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/富田倫生
「青空文庫」の設立は1997年2月とあり、意外とまだ日が浅いことに気づいた。遺作「本の未来」は読もうと思っていたが、まだ入手していなかった。「青空文庫」で公開されたので、キンドルにダウンロードして読もうと思う。
生前に一度だけ講演を聞いたことがある。電子図書の未来を熱っぽく語っていた。特に印象が深かったのは、電子テキスト化することで、パソコンによる読み上げが可能になり、点字化されていない本を盲人の方が朗読で読めるようになったという点だ。点字の本は部数が出ないから、ほとんどない。目の不自由な方にとって大きな福音だろう。
友人の医者に、サルコイドーシスで視力が低下し、本が読みにくいので「青空文庫」の本をパソコンの朗読で読んでいるという人がいる。
日本の作家や出版社は明治大正期は、著作権を無視して、欧米の本の翻案やら無断翻訳で生きてきたのに、ここに来て「著作権の50年から70年への延長」を唱えているのは合点がいかない。
それよりも、「出版契約書」をきちんとする慣行をまず樹立すべきだろう。昔の本には「著者検印」というシールが全部貼ってあった。
いつの間にかそれが消え、著者には印刷部数も実売部数もわからないようになった。岩波と医書出版社は例外だが…
著作権期間には、出版業界の生き残りがかかっているのかもしれないが、大きな時代の波には誰も逆らえない。
出版社が社会的に尊敬されたのは「文化事業」であり、営利を一次目標としていないと人々が考えたからだ。
「文藝春秋」に載っている広告を見ると、出版社のターゲットが「自費出版」に移行しているのが判る。
東京図書、講談社、個人書店(プリコ)、文芸社、近代文藝社、それに文藝春秋の「自費出版」、「社史出版」の広告まで載っている。
これは20年前には考えられなかったことだ。
今の老人の多くには伝えたいこともある、語りたいこともあろう。何しろ、戰争ー敗戦ー復興ーゼロ成長という、諭吉にいわせれば「一身にして二世を生きるがごとき」体験があるのだから。文章が書けるとは思わないが、本を一冊出すくらいの金はある。
「買い取り保証」があれば、売れなくてもビジネスにはなる。その証拠に文芸社の急成長ぶりを見ればよい。
まれにはM.ミッチェル「風と共に去りぬ」のような、大ヒット作も出るかも知れない。
だから出版の流れが、そちらに向かうのはやむをえないように思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/富田倫生
「青空文庫」の設立は1997年2月とあり、意外とまだ日が浅いことに気づいた。遺作「本の未来」は読もうと思っていたが、まだ入手していなかった。「青空文庫」で公開されたので、キンドルにダウンロードして読もうと思う。
生前に一度だけ講演を聞いたことがある。電子図書の未来を熱っぽく語っていた。特に印象が深かったのは、電子テキスト化することで、パソコンによる読み上げが可能になり、点字化されていない本を盲人の方が朗読で読めるようになったという点だ。点字の本は部数が出ないから、ほとんどない。目の不自由な方にとって大きな福音だろう。
友人の医者に、サルコイドーシスで視力が低下し、本が読みにくいので「青空文庫」の本をパソコンの朗読で読んでいるという人がいる。
日本の作家や出版社は明治大正期は、著作権を無視して、欧米の本の翻案やら無断翻訳で生きてきたのに、ここに来て「著作権の50年から70年への延長」を唱えているのは合点がいかない。
それよりも、「出版契約書」をきちんとする慣行をまず樹立すべきだろう。昔の本には「著者検印」というシールが全部貼ってあった。
いつの間にかそれが消え、著者には印刷部数も実売部数もわからないようになった。岩波と医書出版社は例外だが…
著作権期間には、出版業界の生き残りがかかっているのかもしれないが、大きな時代の波には誰も逆らえない。
出版社が社会的に尊敬されたのは「文化事業」であり、営利を一次目標としていないと人々が考えたからだ。
「文藝春秋」に載っている広告を見ると、出版社のターゲットが「自費出版」に移行しているのが判る。
東京図書、講談社、個人書店(プリコ)、文芸社、近代文藝社、それに文藝春秋の「自費出版」、「社史出版」の広告まで載っている。
これは20年前には考えられなかったことだ。
今の老人の多くには伝えたいこともある、語りたいこともあろう。何しろ、戰争ー敗戦ー復興ーゼロ成長という、諭吉にいわせれば「一身にして二世を生きるがごとき」体験があるのだから。文章が書けるとは思わないが、本を一冊出すくらいの金はある。
「買い取り保証」があれば、売れなくてもビジネスにはなる。その証拠に文芸社の急成長ぶりを見ればよい。
まれにはM.ミッチェル「風と共に去りぬ」のような、大ヒット作も出るかも知れない。
だから出版の流れが、そちらに向かうのはやむをえないように思う。
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