ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【物流の革命】難波先生より

2017-10-10 21:17:18 | 難波紘二先生
【物流の革命】産業革命以後、物流に鉄道や自動車が利用されるようになって個人が商品を入手する場所や方法も変わった。デパートの出現もそのひとつだろう。
 芸備線向原駅前の豪邸に住んでいた私の伯母は「百貨店」といわず「デバート」と発音していた。家は酒造会社と製材業を営んでいたから、広島市へはしょっちゅう出ていたはずで、昭和の初めに現物を見ないで「耳から覚えた」のかも知れない。
 1960年代には「福屋」の向かい側に「天満屋」ができ、その後新しい繁華街に「そごう」ができた。70年代になるとまずスーパーの進出が、ついでコンビニが普及し始めた。
 郊外団地の発展に伴い、広い無料駐車場を備えた郊外型スーパーが普及し、まず岡山資本の「天満屋」が撤退した。残った百貨店は2軒だけだが、いつまで持つか分からない。
 10/9地元紙「中国」一面コラムで「現代日本人の3人に1人はひと月に読む本がゼロ冊」という話題を取り上げていた。これは「紙本」の話であろうが、「本の定義」が示されていない。
 グーテンベルグの活字印刷前にも本はあった。基本的には写本で、書字生は読み書きの語彙が豊富でないと務まらず、社会的地位も高かった。カズオ・イシグロの代表作『日の名残り』の邦訳紙本が東京のどの書店にもなく電子ブックが飛ぶよう売れているという話を先に書いた。キンドルやスマホで読んだ人は、もう紙本を買わないであろう。

 同じく「中国」に例の「妖怪博物館」建築構想でもめている広島県三次市(2017/5: 人口=5万365人)での市民の「買物動向」を商工会がまとめた結果が報じられていた。それによると(記事には数値が、回数なのか金額なのかが明記されていない。)、
 インターネット・通販=52.6% (11年、24.4%)。5年間でなんと倍以上に増えている。
内訳は、書籍・文具=12.6%(11年、4.6%)、玩具・娯楽品=16.8%(11年、7.8%)、楽器・CD23.2%(11年、12.0%)と、いずれもネット・通販が大幅に伸びている。
 驚いたのは地元で買い物する市民の少なさだ。衣料・家電製品などでは
 市内スーパー=38.7%、地元商店=8.4%、市外=31.7% となっている。福富町や隣町豊栄町の商店街はこの20年のうちにシャッター通りに変わったが、三次市の本通りもそうなりつつあるのかも知れないな、と思った。

 私の出身地の村は、いまは近隣と合併して三次市の南端の町になっているが、小学校42人のクラスに商店の児が3〜4人いた。当時は現金取引でなく(子供用の買物は別)、通帳という小型のノートをさげてお使いに行っていた。これらの店は跡形もなくなり、商店街自体がほぼ消滅した。実数は知らないが、多くが「故郷は遠くにありて思うもの… 帰るとこにはあるまじや」という状況になっているようだ。店は同じ町内の川向うにコンビニが1軒あるだけだ。

 日本には「独禁法」があるが、公益性の高い文化事業だけに「販売価格指定、返品制」が認められている。その恩恵を受けているのが新聞社と出版社だ。「日経」が11月から月額購読料を約600円増の4000円にすると予告した。電子版への移行を促進したい姿勢がうかがわれる価格設定になっていた。
 レイ・ブラッドベリ「華氏451度:本のページに火がつき、燃えあがる温度」(ハヤカワ文庫)の世界が近づきつつあるような気がする。
 
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