【気分障害と減薬】
気分障害(双極性障害)の方はほぼ寛解したようだ。昨日は朝ルボックス(SSRI:脳内セロトニン増量剤)1錠とリーマス1錠(炭酸リチウム200mg)、
夜はリーマス1錠、とマイスリー1錠(睡眠導入剤)、ベンザリン1錠(睡眠持続剤)を飲み、午前1時に入眠し、今朝は6時半に起床した。眠気は残らず、気力も充実している。
午前7時から仕事を始めた。
睡眠薬ベンザリンの服用量を半減し、代わりに服用時間を入浴前に変更したのだが、効果はこの方が高いことがわかった。(ベンザリンのTmaxは2時間、T1/2は24時間)
病理学者としての私はこう考える。「全ての薬物は毒である。そのうち害よりも利益(効果)が大きいものを薬と称している。」
すべての薬は「標準的人間を仮定して作られている」。標準的人間とは朝起きて、1日3食し、夜は酒など飲まずに寝る人間のことだ。
普通、薬剤の服薬時間が「食後」となっているのは、胃内に食物があれば薬物が胃粘膜に直接作用する可能性が低いと考えられているからだ。まれに「食間」と指定されているものがあるが、あれは3回の「食事と食事の間」という意味で、「食事中に」という意味ではない。
睡眠剤の服用が「寝る前」と漠然と指定されているのも同様だ。薬の吸収速度、血中最高濃度への到達時間(Tmax)、それが半減する時間(T1/2)及び薬用濃度持続時間を考慮すると、寝る1時間以上前に飲んだ方がよい睡眠剤もある。
睡眠導入剤との相乗効果もあるので、入眠剤は1錠ですむ。
(10/21追記:上記は10/20土に書いたものだ。昨夜は23時にベンザリン1錠を飲み、今年のノーベル平和賞を授与されたクルド人の女性とその宗教ヤズディ教と古代ゾロアスター教の関係を知るため、書庫に行き「物語 アラビアの歴史」(蔀=しとみ 勇造)という新書を読んだ。古代ゾロアスター教から派生した宗教で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と並列関係にあるとわかった。古代ペルシア帝国の国教はゾロアスター教だった。
寝る前の一服で落ちついたので、母屋に戻り風呂に入ってマイスリー1錠を飲み、大正時代に群馬県の高崎市から「周旋屋」の口車に載せられて吉原に身売りした、母子家庭の若い娘の手記を、横になって文庫本で読んでいる内に、3頁も読まないうちに眠くなり、そのまま朝まで寝た。
不思議なもので睡眠薬を飲んで寝たのに、入眠直前の記憶が残っている。「女郎屋の主人の身なりがよく、指に<印鑑用の石で作った指輪>をはめ、<兵児帯には金鎖>付いていた」という。
これはベンゾジアゼピン系の薬剤ベンザリンも、酒石酸ゾルピデムが本体のマイスリーも、睡眠中枢のある視床下部には作用するが、記憶を固定する海馬の機能は障害しないことを意味している、と考えられる。
10/21朝は9:30に目覚め、すぐに起床できた。)
人生にやり直しがない以上、病気になることを「不幸」だと考えるのは非生産的である。自然が与えてくれたチャンスと考えて、前向きにとらえる方がよろしい。
そしたら人生の見方が変わる。
全盲全聾(ろう)の東大教授に福島智がいる。
生井久美子「ゆびさきの宇宙:福島智・盲ろうを生きて」(岩波書店, 2009/4)
勝海舟の祖父も、「群書類従」を残した塙保己一も全盲だった。ヘレン・ケラーの母はホキイチ・ハナワを手本にするようにと、彼女を育てたという。
臨床医にとっても、患者は肉体的にも精神的にも一人一人が異なっているのだから、個々の診療は代替のない貴重な「人体実験」である。
逆に言うと、個々の患者は主治医にとって「新発見」をもたらしてくれる可能性のある大事な存在なのだ。しかし「3時間待ち・3分間診療」で臨床的な大発見など生まれるはずがない。
プラセボ(偽薬)効果が40%もあるのだから、投薬する臨床医はまず患者との人格的交流において、信頼関係を樹立しなければ出す薬が患者に効くはずがない。観察力にすぐれた臨床医なら、ある患者がドアを開けて目の前の椅子に座るまでの動作を見て、すぐに「パーキンソン病だ」との予備診断に達するだろう。
そしてすぐに検査用の血液と脳脊髄液を採取するだろう。
こんな医師は基礎研究に廻っても、動物実験でも病理標本を見ても、新しい発見をするだろう。
「幸運の女神は、用意のある者にのみ微笑む」(パスツール)
「人は見えるから知るのでなく、知っているから見えるのである」(ゲーテ)
気分障害(双極性障害)の方はほぼ寛解したようだ。昨日は朝ルボックス(SSRI:脳内セロトニン増量剤)1錠とリーマス1錠(炭酸リチウム200mg)、
夜はリーマス1錠、とマイスリー1錠(睡眠導入剤)、ベンザリン1錠(睡眠持続剤)を飲み、午前1時に入眠し、今朝は6時半に起床した。眠気は残らず、気力も充実している。
午前7時から仕事を始めた。
睡眠薬ベンザリンの服用量を半減し、代わりに服用時間を入浴前に変更したのだが、効果はこの方が高いことがわかった。(ベンザリンのTmaxは2時間、T1/2は24時間)
病理学者としての私はこう考える。「全ての薬物は毒である。そのうち害よりも利益(効果)が大きいものを薬と称している。」
すべての薬は「標準的人間を仮定して作られている」。標準的人間とは朝起きて、1日3食し、夜は酒など飲まずに寝る人間のことだ。
普通、薬剤の服薬時間が「食後」となっているのは、胃内に食物があれば薬物が胃粘膜に直接作用する可能性が低いと考えられているからだ。まれに「食間」と指定されているものがあるが、あれは3回の「食事と食事の間」という意味で、「食事中に」という意味ではない。
睡眠剤の服用が「寝る前」と漠然と指定されているのも同様だ。薬の吸収速度、血中最高濃度への到達時間(Tmax)、それが半減する時間(T1/2)及び薬用濃度持続時間を考慮すると、寝る1時間以上前に飲んだ方がよい睡眠剤もある。
睡眠導入剤との相乗効果もあるので、入眠剤は1錠ですむ。
(10/21追記:上記は10/20土に書いたものだ。昨夜は23時にベンザリン1錠を飲み、今年のノーベル平和賞を授与されたクルド人の女性とその宗教ヤズディ教と古代ゾロアスター教の関係を知るため、書庫に行き「物語 アラビアの歴史」(蔀=しとみ 勇造)という新書を読んだ。古代ゾロアスター教から派生した宗教で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と並列関係にあるとわかった。古代ペルシア帝国の国教はゾロアスター教だった。
寝る前の一服で落ちついたので、母屋に戻り風呂に入ってマイスリー1錠を飲み、大正時代に群馬県の高崎市から「周旋屋」の口車に載せられて吉原に身売りした、母子家庭の若い娘の手記を、横になって文庫本で読んでいる内に、3頁も読まないうちに眠くなり、そのまま朝まで寝た。
不思議なもので睡眠薬を飲んで寝たのに、入眠直前の記憶が残っている。「女郎屋の主人の身なりがよく、指に<印鑑用の石で作った指輪>をはめ、<兵児帯には金鎖>付いていた」という。
これはベンゾジアゼピン系の薬剤ベンザリンも、酒石酸ゾルピデムが本体のマイスリーも、睡眠中枢のある視床下部には作用するが、記憶を固定する海馬の機能は障害しないことを意味している、と考えられる。
10/21朝は9:30に目覚め、すぐに起床できた。)
人生にやり直しがない以上、病気になることを「不幸」だと考えるのは非生産的である。自然が与えてくれたチャンスと考えて、前向きにとらえる方がよろしい。
そしたら人生の見方が変わる。
全盲全聾(ろう)の東大教授に福島智がいる。
生井久美子「ゆびさきの宇宙:福島智・盲ろうを生きて」(岩波書店, 2009/4)
勝海舟の祖父も、「群書類従」を残した塙保己一も全盲だった。ヘレン・ケラーの母はホキイチ・ハナワを手本にするようにと、彼女を育てたという。
臨床医にとっても、患者は肉体的にも精神的にも一人一人が異なっているのだから、個々の診療は代替のない貴重な「人体実験」である。
逆に言うと、個々の患者は主治医にとって「新発見」をもたらしてくれる可能性のある大事な存在なのだ。しかし「3時間待ち・3分間診療」で臨床的な大発見など生まれるはずがない。
プラセボ(偽薬)効果が40%もあるのだから、投薬する臨床医はまず患者との人格的交流において、信頼関係を樹立しなければ出す薬が患者に効くはずがない。観察力にすぐれた臨床医なら、ある患者がドアを開けて目の前の椅子に座るまでの動作を見て、すぐに「パーキンソン病だ」との予備診断に達するだろう。
そしてすぐに検査用の血液と脳脊髄液を採取するだろう。
こんな医師は基礎研究に廻っても、動物実験でも病理標本を見ても、新しい発見をするだろう。
「幸運の女神は、用意のある者にのみ微笑む」(パスツール)
「人は見えるから知るのでなく、知っているから見えるのである」(ゲーテ)
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