ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【医療】難波先生より

2013-04-27 12:17:56 | 修復腎移植
【医療】4/25「産経」の医療欄に、ATL(成人T細胞性白血病)を克服した浅野史(65)前宮城県知事の話が載っている。
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130425/bdy13042507190000-n1.htm
 この病気はHTLV-1というレトロウイルスの感染が基盤にあって起こる、日本の高月清先生のグループが発見した病気だ。


 当初は2年生存率0%だった。化学療法は少し延命効果はあるが、寛解持続期間は短い。浅野氏の場合、骨髄「ミニ移植」という他人の骨髄を用いて、白血病細胞をやっつけるという治療戦略が功を奏したようだ。HLAが合っているから、自分の体細胞は異物として排除されないが、白血病細胞は抗原が大きく異なっているから、移植した骨髄細胞により排除される。
 この手法は他の固形癌にも応用されるようになっている。(修復腎移植に際して、仮にドナーのがん細胞が少し残っていても、がんの再発が起こらないのも同じ理由による。レシピエントの免疫系により排除されるのである。)


 「(HTLV-1)感染者のうちATLを発症するのは5%程度」というのは、高すぎると思う。浅野氏の発言を記者はそのまま書いたのだろうが、ウラを取らないといけない。私の記憶だと「3000人に1人、0.03%」くらいのはずだ。今でも抗体陽性者は日本に100万人くらいいるはずで、5%となら5万人の患者が出る(生涯発生率として)ことになる。
 確か厚生省の課長から、いきなり県知事に立候補した人だが、「勝手連」などが出来て盛り上がった選挙になり、当選したと記憶する。今後、骨髄移植システムの普及に尽力されるようだ。


 元福岡大学の菊池昌弘先生の場合は、70代の半ばでもあり、骨髄「ミニ移植」が治療の選択肢としてなかった。化学療法が主体とならざるをえず、発病後いったん寛解に入ったものの、再発がおこり、不帰の人となった。
 「ミニ移植」は良い治療法だと思うのでぜひ普及を望みたい。移植と言ってもこれは「血液学会」がからむ移植なので、レベルの低い日本移植学会は関係ない。


 同じ記事の下に「「医療費、不適切に安いのでは」という投稿が載っている。
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130425/bdy13042507200001-n1.htm
 医療保険制度の破綻を憂慮する意見だが、これは係の意見に合うものだけを採用するから、「こういう声もある」程度だ。
 気になるのは、「透析の夫をもつ妻が初期の腎臓がんで手術、3週間入院した」というところ。


 もったいない。その腎臓を夫にあげれば、夫は透析から離脱でき、夫婦でよりハッピーな余生が送れるのに。いまは、遠くへの旅行もできないだろう。この「年金生活者」が気にしている医療費も妻の340万円は、夫が透析から離脱できれば年間500万円浮くので、十分に埋め合わせが出来る。
 修復腎移植に関しては、もっと「そういう方法がある」ということを、世間に知ってもらわないといけない。


近藤誠『医者に殺されない47の心得』(アスコム)が菊池寛賞を受賞し、60万部を突破したというのでM3の話題になっている。前の『患者よ、がんと闘うな』が100万部を突破したのを知らない医者が多いようだ。意見を見ると「医療不信がこれほど強いとは」と反省する意見や、「医療不信がつよくなりモンスター患者が受診抑制してくれたら助かる」というような(強がりの)意見が出ているが、全体としては近藤支持論が多いようだ。これも世の中は変わるという例だろう。


 医者に行けば必ず治療しすぎになる。行かないのが一番。麻生副総理が、「医者に行かなかった年寄りに年に10万円出す」と言っているが、よい政策だと思う。ちょっとのカゼや腰痛で医者に行く年寄りがゴソッと減るだろう。
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