【カメムシとスギ花粉】
やっと春になったので、冬の間、仕事場に入りこみ越冬していたテントウムシ、カメムシのエクソダスが始まった。多くは南側の窓に寄って行き、そこから脱出口を探しているが、4/1(水)、机上のキーボードの上を歩きまわっている一匹のカメムシを見つけた。
先日、母屋和室の畳の上で見かけたものと同じ種だ。(写真1)
(写真1)
下手に扱えばスカンクみたいにガスを出して臭いので、35%エタノールで死ぬまでにかかる時間の測定実験材料に使うことにした。要するにこれは、「果実酒用ホワイトリカー」を入れた、小さなインスタント・コーヒーの瓶の中に放り込み、動かなくなるまでの時間を測定するだけのことである。(写真2)
(写真2)
実験は朝の9:56に開始した。初めカメムシは液の中で、盛んにもがいていたが、90秒過ぎると動きがおとなしくなり、2分で時折、脚がけいれん的に動くだけになり、9:59には完全にすべての動きが止まった。つまり約3分かかった。
「昆虫図鑑」を見るとカメムシにも100種以上あり、どの種に属するのかわからない。腹側に特徴的な斑紋があるのだが、図鑑には背中の絵しか載っていない。日本語の昆虫図鑑類には、生態についての記載がなく、英名が載っていないのが欠点である。
私たちの時代は、肉眼解剖学はペッテンコーヘルのドイツ語教科書とラテン語学名で学び、組織学や生理学は英語の教科書、生化学と病理学総論はフローリィ(ノーベル賞受賞者)の英語教科書、病理学各論はビュヒナーのドイツ語本とアンダーソンの英語本で勉強したが、いまの理学部生物学系ではどんな教科書を使っているのだろうか…。
カメムシは英語でStink bug(臭い虫)という。総論に優れているバックスバウムの「Animals without Backbones」を見るとHemiptera(半翅目)に属し、この目の主な仲間には1)Stink bug(カメムシ)の他に、2)Water bug(タガメ、タイコウチ、アメンボ)、3)血を吸うBed bug(トコジラミ=南京虫)などがいるそうだ。
南京虫は明治・大正の小説や貧民窟のルポ、戦争中の従軍記・回想録などに出てくるが、私は見たことも、刺されたこともない。子供の頃はイエカにはしょっちゅう刺されていたから、いまでも蚊に刺されてもちょっと痒い程度の反応しか起きないが、林の中から出てくるブヨには皮膚が強く反応する。
個人の住宅が清潔になって、ノミ、シラミ、蚊がいなくなったのは結構なことだが、田圃や溜池からタガメ、タイコウチ、アメンボなども姿を消してしまった。先日スーパーに出かけたら、レジにいる受付の女性5人のうち4人までが「花粉症アレルギー」で大きなマスクをかけていた。多くはスギ花粉アレルギーであろう。3/24に「杉の実(花?)」を採取し、切断したら大量の花粉が内部に詰まっているのを認めた。(写真3)
(写真3)
このPM2.5がホコリとなって飛散するので、防ぎようがないだろう。拙宅のバルコニーのテーブルなど、色が変わるほどスギ花粉が積もる。
無菌動物(帝王切開で誕生させ、無菌環境下で飼育する)は生きられないことがわかっている。夕べのNスペ「新アレルギー治療」を見ていて、「あまり清潔な環境に育つのもよくないな…」と思ったことだ。
不潔なら乳幼児死亡率は高くなるが、出生率も高くなる。清潔なら乳幼児死亡は減少するが、出生率は(先進国がそうなったように)低下し、人口が減少にむかう。案外、そういうことが起こるのではないかなあ…。
「捨てる整理学」という書物もいろいろあるが、子どものころから収集癖があるもので、つい、いろんなものが溜まる。この瓶(写真2)に溜まっているのは、先日「イワシの味噌煮」缶詰で「寄生虫」と勘違いした、イワシの脊椎と中腎である。
35%焼酎に、防腐効果があるはずと試したが、それは間違いなかった。
3/16「便り」の【「奇談」の時代】で取りあげた「線虫でがんの早期発見」についての批判的コメントが「ヘルスプレス」3/23号に「"線虫でがんを早期発見"は、第2のSTAP細胞騒動にならないか!?」というタイトルで転載された。
http://healthpress.jp/2015/03/post-1662.html
より多くの方に読まれて、自主的な判断材料になれば幸いだと思う。
やっと春になったので、冬の間、仕事場に入りこみ越冬していたテントウムシ、カメムシのエクソダスが始まった。多くは南側の窓に寄って行き、そこから脱出口を探しているが、4/1(水)、机上のキーボードの上を歩きまわっている一匹のカメムシを見つけた。
先日、母屋和室の畳の上で見かけたものと同じ種だ。(写真1)
(写真1)
下手に扱えばスカンクみたいにガスを出して臭いので、35%エタノールで死ぬまでにかかる時間の測定実験材料に使うことにした。要するにこれは、「果実酒用ホワイトリカー」を入れた、小さなインスタント・コーヒーの瓶の中に放り込み、動かなくなるまでの時間を測定するだけのことである。(写真2)
(写真2)
実験は朝の9:56に開始した。初めカメムシは液の中で、盛んにもがいていたが、90秒過ぎると動きがおとなしくなり、2分で時折、脚がけいれん的に動くだけになり、9:59には完全にすべての動きが止まった。つまり約3分かかった。
「昆虫図鑑」を見るとカメムシにも100種以上あり、どの種に属するのかわからない。腹側に特徴的な斑紋があるのだが、図鑑には背中の絵しか載っていない。日本語の昆虫図鑑類には、生態についての記載がなく、英名が載っていないのが欠点である。
私たちの時代は、肉眼解剖学はペッテンコーヘルのドイツ語教科書とラテン語学名で学び、組織学や生理学は英語の教科書、生化学と病理学総論はフローリィ(ノーベル賞受賞者)の英語教科書、病理学各論はビュヒナーのドイツ語本とアンダーソンの英語本で勉強したが、いまの理学部生物学系ではどんな教科書を使っているのだろうか…。
カメムシは英語でStink bug(臭い虫)という。総論に優れているバックスバウムの「Animals without Backbones」を見るとHemiptera(半翅目)に属し、この目の主な仲間には1)Stink bug(カメムシ)の他に、2)Water bug(タガメ、タイコウチ、アメンボ)、3)血を吸うBed bug(トコジラミ=南京虫)などがいるそうだ。
南京虫は明治・大正の小説や貧民窟のルポ、戦争中の従軍記・回想録などに出てくるが、私は見たことも、刺されたこともない。子供の頃はイエカにはしょっちゅう刺されていたから、いまでも蚊に刺されてもちょっと痒い程度の反応しか起きないが、林の中から出てくるブヨには皮膚が強く反応する。
個人の住宅が清潔になって、ノミ、シラミ、蚊がいなくなったのは結構なことだが、田圃や溜池からタガメ、タイコウチ、アメンボなども姿を消してしまった。先日スーパーに出かけたら、レジにいる受付の女性5人のうち4人までが「花粉症アレルギー」で大きなマスクをかけていた。多くはスギ花粉アレルギーであろう。3/24に「杉の実(花?)」を採取し、切断したら大量の花粉が内部に詰まっているのを認めた。(写真3)
(写真3)
このPM2.5がホコリとなって飛散するので、防ぎようがないだろう。拙宅のバルコニーのテーブルなど、色が変わるほどスギ花粉が積もる。
無菌動物(帝王切開で誕生させ、無菌環境下で飼育する)は生きられないことがわかっている。夕べのNスペ「新アレルギー治療」を見ていて、「あまり清潔な環境に育つのもよくないな…」と思ったことだ。
不潔なら乳幼児死亡率は高くなるが、出生率も高くなる。清潔なら乳幼児死亡は減少するが、出生率は(先進国がそうなったように)低下し、人口が減少にむかう。案外、そういうことが起こるのではないかなあ…。
「捨てる整理学」という書物もいろいろあるが、子どものころから収集癖があるもので、つい、いろんなものが溜まる。この瓶(写真2)に溜まっているのは、先日「イワシの味噌煮」缶詰で「寄生虫」と勘違いした、イワシの脊椎と中腎である。
35%焼酎に、防腐効果があるはずと試したが、それは間違いなかった。
3/16「便り」の【「奇談」の時代】で取りあげた「線虫でがんの早期発見」についての批判的コメントが「ヘルスプレス」3/23号に「"線虫でがんを早期発見"は、第2のSTAP細胞騒動にならないか!?」というタイトルで転載された。
http://healthpress.jp/2015/03/post-1662.html
より多くの方に読まれて、自主的な判断材料になれば幸いだと思う。
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