【書評など】
1)書評=「エフロブ」買いたい新書の書評にNO.363:鈴木昭典「日本国憲法を生んだ密室の九日間」(角川ソフィア文庫)を取りあげました。
著者は1929年3月生まれで,戦争中は中学生で軍国少年だった。昭和21年3月7日の新聞で報じられた憲法改正案の中に「戦争放棄」という文言があるのに驚いたという。
かつての軍国少年は,戦後,工業専門学校を経て,民法ラジオ局,テレビ局に勤務し,新憲法の下での戦後日本の復興と経済的成長を見守ってきた。戦後50年が経った1990年頃から保守派の一部から改憲論が起こってきた。理由は「米国に押し付けられた憲法だから」というものです。
以下、詳しくはこちらでお読み下さい。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1426828229
著者は,日本国憲法の原案がわずか九日間で作成されたことを知り,GHQ内部で行われた憲法案の起草過程の詳細な進行過程について,1992年春から多くの資料と生存者のインタビューを通じて取材し,「密室の九日間」に何が起こったかを日毎に再現した。
本書は,「改憲,護憲のどちらかに与(くみ)するものではない」と書いているように,ひたすら歴史的事実の忠実な発掘を行っており,良質なサスペンス・ドキュメンタリーになっている。
憲法第九条の「戦争放棄」は1928年の「パリ不戦条約」に由来すると考えられているが,実は1791年フランス革命で成立したフランス憲法にすでに同趣旨の条文があったことなど,本書を読んで初めて知りました。(実際には、ナポレオンに指揮されたフランスは、対外戦争を繰りひろげたのですが…)
2)献本お礼など=「医薬経済」4/1号のご恵送を受けました。お礼申し上げます。
今後にも「医薬分業」が難しい局面にさしかかっているという記事がいくつかあり、興味深く眼を通しましたが、一番興味深かったのは、村上正泰(山形大大学院・医学研究科教授・医療政策学)の「“ゆとり世代”の医学生の<学力>と<先行き>」という見開き2ページの論説です。一時、医学部の学生定員を削減する方向にあったのが、2008年度から増加に転じ、15年度の入学定員総数は何と9134人だそうです。
間もなく東日本に新に医大もしくは医学部が二つ新設されるので、年間約1万人の学生が医学部に進む時代が来る。国家試験の合格率は90%程度だから、全員が医師になれるわけではないが、いまや「医師国試予備校」まであり、大変な費用がかかる。
そうやって苦労して医者になっても、日本の人口減は2039〜40年にピークに達すると推定される。つまり医師需要は減少するわけだ。いまの医者の社会的地位や収入を見て、先のことを考えずに職を選ぶと、後で後悔することになりはしないか…。
一時、イタリアでは医師を作りすぎて、仕事がなくタクシーの運転手をしている医師もいる、と聞いたことがある。
特にいまの医学生は「ゆとり世代」に属していて、基礎学力に乏しい人もおり、将来が心配だと著者はいう。(この人は東大経済の卒らしい。)
1)書評=「エフロブ」買いたい新書の書評にNO.363:鈴木昭典「日本国憲法を生んだ密室の九日間」(角川ソフィア文庫)を取りあげました。
著者は1929年3月生まれで,戦争中は中学生で軍国少年だった。昭和21年3月7日の新聞で報じられた憲法改正案の中に「戦争放棄」という文言があるのに驚いたという。
かつての軍国少年は,戦後,工業専門学校を経て,民法ラジオ局,テレビ局に勤務し,新憲法の下での戦後日本の復興と経済的成長を見守ってきた。戦後50年が経った1990年頃から保守派の一部から改憲論が起こってきた。理由は「米国に押し付けられた憲法だから」というものです。
以下、詳しくはこちらでお読み下さい。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1426828229
著者は,日本国憲法の原案がわずか九日間で作成されたことを知り,GHQ内部で行われた憲法案の起草過程の詳細な進行過程について,1992年春から多くの資料と生存者のインタビューを通じて取材し,「密室の九日間」に何が起こったかを日毎に再現した。
本書は,「改憲,護憲のどちらかに与(くみ)するものではない」と書いているように,ひたすら歴史的事実の忠実な発掘を行っており,良質なサスペンス・ドキュメンタリーになっている。
憲法第九条の「戦争放棄」は1928年の「パリ不戦条約」に由来すると考えられているが,実は1791年フランス革命で成立したフランス憲法にすでに同趣旨の条文があったことなど,本書を読んで初めて知りました。(実際には、ナポレオンに指揮されたフランスは、対外戦争を繰りひろげたのですが…)
2)献本お礼など=「医薬経済」4/1号のご恵送を受けました。お礼申し上げます。
今後にも「医薬分業」が難しい局面にさしかかっているという記事がいくつかあり、興味深く眼を通しましたが、一番興味深かったのは、村上正泰(山形大大学院・医学研究科教授・医療政策学)の「“ゆとり世代”の医学生の<学力>と<先行き>」という見開き2ページの論説です。一時、医学部の学生定員を削減する方向にあったのが、2008年度から増加に転じ、15年度の入学定員総数は何と9134人だそうです。
間もなく東日本に新に医大もしくは医学部が二つ新設されるので、年間約1万人の学生が医学部に進む時代が来る。国家試験の合格率は90%程度だから、全員が医師になれるわけではないが、いまや「医師国試予備校」まであり、大変な費用がかかる。
そうやって苦労して医者になっても、日本の人口減は2039〜40年にピークに達すると推定される。つまり医師需要は減少するわけだ。いまの医者の社会的地位や収入を見て、先のことを考えずに職を選ぶと、後で後悔することになりはしないか…。
一時、イタリアでは医師を作りすぎて、仕事がなくタクシーの運転手をしている医師もいる、と聞いたことがある。
特にいまの医学生は「ゆとり世代」に属していて、基礎学力に乏しい人もおり、将来が心配だと著者はいう。(この人は東大経済の卒らしい。)
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