ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【冬のクモ】難波先生より

2013-11-26 12:53:37 | 難波紘二先生
【冬のクモ】勝手口に網を張っているジョロウグモは一向に姿を消さない。今日11/25など、朝から氷雨が降り、最高気温が10°以下なのに、網から動こうとしない。それどころか、前は夜になると降りて地面のどこかに隠れていたのに、夜も巣にいる。(図2)


 植物の場合、花が咲く前に花柄ごと除去すると、一年草でもいつまでも枯れないで大きくなる。これは何種類かの野生植物で試したら、いづれも同様だった。


 サケが産卵後死ぬのは、産卵のストレスで「急性副腎壊死」が起こるためである。いつかアラスカの河で、淵にじっとしている生きたサケ(キング・サーモン)を見たことがある。あれはたまたま交尾相手がいなかったサケだろう。


 このジョロウグモも産卵をしていないから、死ねないのだろうと思う。もう餌はまったくない。一体いつまで、こうしてじっとしているのだろうか…。
 
 医学者や生物学者には年取ると「加齢」の研究を始める人が多い。
 免疫の原理を研究したメチニコフはやはり年取ってから「長寿」の研究を始めた。ブルガリアに長寿者が多いことを知り、生活習慣の調査をして「ヨーグルト」を見つけたのは彼だ。いま、「ブルガリア・ヨーグルト菌」はヨーグルト製造に欠かせない。


 「長寿化」は先進国に共通の原因で、「少子化」もそれと関連している。
(ここにいう「関連」は単なる統計学の用語で、「因果関係」ではない。)
 草花やサケの例から思うに、「生殖」というのは生物にとって、非常に大きなエネルギーを要する「仕事」だと思う。
 いつか水産学者の話を聞いたのだが、魚のメスは「卵子」が体重の半分を占める。よって摂取エネルギーの半分は卵子を作るのに使われる、という。
 
 そうすると逆に「少子化」なら、つまり一生に産む子供の数が0か1か2なら、その個体の支出エネルギーは少なくてすみ、その分、老化が遅れて寿命が伸びるという理屈になるだろう。


 ひょっとすると、出産数が減ったことが女性の高齢化の原因ではなかろうか。では男性の高齢化は? なに、女房に死なれたら、男はもろいよ…。だから女性の平均寿命は84歳、男は79歳なのだ。女房死後の男の余命は統計がない。


 「生殖エネルギーの支出減少」と「寿命の延長」との因果関係は、確かに検討してみる余地があるように思う。…このように、クモ一匹でも、観察しているといろいろアイデアが生まれてくるから面白い。


 今、80歳以上の後期高齢者は、昭和1ケタ生まれで、大正生まれが「産めよ増やせよ」で10人くらい産んだのに対して、2~3人しか産んでいない。仮説が本当なら、この世代の寿命はもっと伸びるだろう。


 男で、生殖エネルギーを使わなかった場合、これはサンプルを得るのが難しいが、生理学的に不能である清朝の宦官、西洋のカストラート、「一生不犯」の禅宗の坊さんは、いずれも長生きしているようだ。但し、確実なサンプル数が少ない。
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