【低カリウム血症?】松山のKさんから再度のメール。
<腎摘することで、腎臓から分泌されるホルモンが分泌されなくなることにより
血圧が下がるのでしょうか。倦怠感がひどくて仕事もやめたようです。この場合、治療法は再移植でしょうか。
3名とも薬を服用しても血圧はあまり上がらないそうです。
水を少し残し気味に透析すると、血圧は若干上昇するという方は1名いました。>
「レニン=アンギオテンシン系」は腎血流量が減少した場合に活性化され、血圧を高めて腎血流を増加させるように機能します。
アンギオテンシン1は肺でアンギオテンシン2に変えられ、このホルモンは副腎皮質に作用しアルドステロン産生を促します。これが腎臓に作用するとナトリウム再吸収を、細動脈に作用すると収縮をもたらします。
ナトリウムは細胞外液量を増加させ、細動脈収縮は末梢抵抗を増加させるので、最低/最高血圧は上昇します。
だからこの系の異常が低血圧をもたらす可能性は低いと思います。
1)疲労感があり、
2)透析不十分だと、血圧が上がる、
という症状からは「低カリウム血症」が一番考えられます。腎性や副腎性の低血圧ではないでしょう。
ご承知のように、カリウムは細胞外液と細胞内に分布しており、細胞外カリウムは量的には細胞内Kに比べ少ないですが、「細胞膜電位」の発生に重要な役割を果たしています。(塩化カリウムを1アンプル、心内注射するとすぐに心停止を来たし死亡します。)
透析で抜く電解質は主にナトリウムとカリウムですが、カリウムを抜きすぎると「低カリウム血症」が起こります。運動や労働をすると、筋肉細胞内のカリウムが血中に出て行き、K濃度は上昇します。透析で水抜きすると当然K濃度は低下します。(透析前後に血中K, Naの濃度は測定しているはず。)
血中Kが3.5mEq/L以下の場合を「低カリウム血症」といいます。その症状は易疲労、筋力の衰え、こむら返り、姿勢急変換時の低血圧が特徴で、ECG上で異常が認められます。放置しておくと心房性徐脈などの心合併症が発生することもあります。
低K血症に由来する「起立性低血圧症」や「周期性四肢麻痺」という病気もあります。
病気を薬で治そうという考えにはあまり賛成できません。薬では病気はコントロールできるだけです。病因の解明と除去が大事です。
「医者を選ぶのも寿命のうち」。
ともかく「修復腎移植」が再開されるまで生き延びて、次の腎移植の機会を待つことが大切です。
もし透析医の対応に不信があれば、電解質代謝や内分泌が専門の名医にかかるべきでしょう。
診断するには「確実な一次情報」が必要です。伝聞情報は当てになりません。少なくとも私は情報の信頼性を何ごとによらず、チェックします。
また、医師法により「医師が患者を診察せずして診断する」ことは禁じられていますので、この件はこれで終りにしましょう。
<腎摘することで、腎臓から分泌されるホルモンが分泌されなくなることにより
血圧が下がるのでしょうか。倦怠感がひどくて仕事もやめたようです。この場合、治療法は再移植でしょうか。
3名とも薬を服用しても血圧はあまり上がらないそうです。
水を少し残し気味に透析すると、血圧は若干上昇するという方は1名いました。>
「レニン=アンギオテンシン系」は腎血流量が減少した場合に活性化され、血圧を高めて腎血流を増加させるように機能します。
アンギオテンシン1は肺でアンギオテンシン2に変えられ、このホルモンは副腎皮質に作用しアルドステロン産生を促します。これが腎臓に作用するとナトリウム再吸収を、細動脈に作用すると収縮をもたらします。
ナトリウムは細胞外液量を増加させ、細動脈収縮は末梢抵抗を増加させるので、最低/最高血圧は上昇します。
だからこの系の異常が低血圧をもたらす可能性は低いと思います。
1)疲労感があり、
2)透析不十分だと、血圧が上がる、
という症状からは「低カリウム血症」が一番考えられます。腎性や副腎性の低血圧ではないでしょう。
ご承知のように、カリウムは細胞外液と細胞内に分布しており、細胞外カリウムは量的には細胞内Kに比べ少ないですが、「細胞膜電位」の発生に重要な役割を果たしています。(塩化カリウムを1アンプル、心内注射するとすぐに心停止を来たし死亡します。)
透析で抜く電解質は主にナトリウムとカリウムですが、カリウムを抜きすぎると「低カリウム血症」が起こります。運動や労働をすると、筋肉細胞内のカリウムが血中に出て行き、K濃度は上昇します。透析で水抜きすると当然K濃度は低下します。(透析前後に血中K, Naの濃度は測定しているはず。)
血中Kが3.5mEq/L以下の場合を「低カリウム血症」といいます。その症状は易疲労、筋力の衰え、こむら返り、姿勢急変換時の低血圧が特徴で、ECG上で異常が認められます。放置しておくと心房性徐脈などの心合併症が発生することもあります。
低K血症に由来する「起立性低血圧症」や「周期性四肢麻痺」という病気もあります。
病気を薬で治そうという考えにはあまり賛成できません。薬では病気はコントロールできるだけです。病因の解明と除去が大事です。
「医者を選ぶのも寿命のうち」。
ともかく「修復腎移植」が再開されるまで生き延びて、次の腎移植の機会を待つことが大切です。
もし透析医の対応に不信があれば、電解質代謝や内分泌が専門の名医にかかるべきでしょう。
診断するには「確実な一次情報」が必要です。伝聞情報は当てになりません。少なくとも私は情報の信頼性を何ごとによらず、チェックします。
また、医師法により「医師が患者を診察せずして診断する」ことは禁じられていますので、この件はこれで終りにしましょう。
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