【カタツムリとマイマイ】 元技師さんたちと散歩の途中、道路脇のコンクリート溝の外側壁に、何やら半球状で茶褐色をしたものが貼りついているのを認めた。最初のものは、不審には思ったが「小さな木の実かな」と思い、通り過ぎた。
2度目のものは、横から見るとドーム状でらせんが見えたので、「これはカタツムリの殻だ」と分かり、着ていた冬用のハーフ・オーバーコートの左ポケットに入れた。
客人が帰った後、仕事場に戻り左ポケットからタバコの箱を取り出したら、なんと箱の上を小さな「ナメクジ」が這っていた。頭部に黒い目玉を付けた一対の突起があり、細長い腹部と尾部には黒い糞が詰まっている。驚いてポケットの残りを探ったら、つぶれたカタツムリの殻が出てきた。殻なしで這っている様は、ナメクジと変わらない。
「トウガラシ 羽をつけたら 赤とんぼ」というざれ歌が昔あったが、
「カタツムリ 殻をとったら ナメクジだ」というのは、真実だと思う。どちらも軟体動物だ。
先日、事情があって書庫西側の「テーブル岩」のひとつを知人の造園業の人にお願いして裏庭の南側に移動してもらった。そしたら岩の下から沢山のカタツムリの殻が見つかった。
大小いろいろあるが、基本的には2種で、普通に見られるカタツムリの殻は平たくて硬い。背が高くて、サザエの殻に似ているのは今回生きたのを見つけたカタツムリと同じだ。
(カタツムリの殻)
左が今回出くわしたカタツムリ、右はありふれた普通のカタツムリの殻だ。どちらも渦は中心から時計回りに廻っている。ただ左の殻はとても軽くてもろい。
驚いて、「ナメクジ」の写真撮影を、と思ったが、家内と一緒に買物に行く時間が迫っていたので、「後で…」と思い、カタツムリが裸で這っているタバコの箱をまたポケットに戻した。
いろいろ買うものがあり、結局帰宅したのは約2時間後だった。買い物袋を書庫に運び、恐る恐るポケットを探ったら、もうタバコの箱には付着していなくて、奧で丸くなりまるでサザエの殻の中身のようになっていた。(写真左)
(カタツムリ、殻と中身)
この変わったカタツムリの傘状の部分は、単に蓋になるだけでなく、一種の吸盤になっている。これでコンクリート壁に付着していた。それが可能なのは粘液を出すこと、写真の右側(壊れた殻)に見えるように、殻がきわめて薄い(軽い)からだとわかった。
サザエではこの蓋は殻と同じように硬く石灰化している。
内臓は蓋の右側に黒く見える。もっともタバコの箱に脱糞していたので、その分だけ小さくなっている。傘の左側は頭部で、2つに分画されており、生きていた時には棒状の突起が突き出していて、先端に黒い眼があった。頭を出したまま死んだのは、殻が壊れたため、頭部を引っ込めることができなくなったからだ、と思う。
いや今日は、散歩でいろいろ愉しいことがあって、充実した一日だった。
「原色日本貝類図鑑」(保育社)の索引にはカタツムリという用語がなく「◯◯マイマイ」という用語になっているので、非常に使いにくい。「逆引き」ができないのだ。英語の図鑑だと「マイマイ(Snail)」の項があり、後に形容詞がならぶから使いやすいが、日本の種を調べることはできない。佐々木猛智「貝類学」(東京大学出版会)も同様な欠陥を抱えている。「マイマイ」という語が冒頭に来ない限り、読者は該当箇所を探し当てられない。
それに「貝類」でくくると、素人はナメクジとカタツムリが同じ「軟体動物」であることを認識できないおそれがある。
この点、英語の「ペンギンブック」など、軟体動物が多数の絵や写真入りで、安くて索引が充実した本だ。
〔付記〕4/7(金)外は雨で、気温は10℃。散歩する気にもなれず、改めてWIKIを調べたら問題のカタツムリは「セトウチマイマイ」に似ていることが分かった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%81%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%82%A4
仕方なく保育社の「原色日本貝類図鑑」を読んだ。日本の淡水産貝類は100余種しかいないのに対して、陸生貝類は何と800種以上いるという。
ヤマキサゴ、アズキガイ、ヤマクルマ、ヤマタシニなどの例外を除いて、みな語尾に-マイマイがついている。渦牛が中心部から左撒きに巻いていて-ヒダリマキマイマイという語尾をもつものもある。(和名の不備・問題点については、別の機会に書く予定だ。)
探検船ビーグル号に乗ったダーウィンは、ガラパゴス諸島で小鳥(ダーウィン・フィンチ)が島毎に色や形が違っていることを見つけた。この事実を説明するために彼が着想したのが「自然の選択」による「進化」で、名著「種の起源」の根底を流れている。
この狭い日本列島の中で、カタツムリが800種以上にも進化したとは、まったく驚いた。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
2度目のものは、横から見るとドーム状でらせんが見えたので、「これはカタツムリの殻だ」と分かり、着ていた冬用のハーフ・オーバーコートの左ポケットに入れた。
客人が帰った後、仕事場に戻り左ポケットからタバコの箱を取り出したら、なんと箱の上を小さな「ナメクジ」が這っていた。頭部に黒い目玉を付けた一対の突起があり、細長い腹部と尾部には黒い糞が詰まっている。驚いてポケットの残りを探ったら、つぶれたカタツムリの殻が出てきた。殻なしで這っている様は、ナメクジと変わらない。
「トウガラシ 羽をつけたら 赤とんぼ」というざれ歌が昔あったが、
「カタツムリ 殻をとったら ナメクジだ」というのは、真実だと思う。どちらも軟体動物だ。
先日、事情があって書庫西側の「テーブル岩」のひとつを知人の造園業の人にお願いして裏庭の南側に移動してもらった。そしたら岩の下から沢山のカタツムリの殻が見つかった。
大小いろいろあるが、基本的には2種で、普通に見られるカタツムリの殻は平たくて硬い。背が高くて、サザエの殻に似ているのは今回生きたのを見つけたカタツムリと同じだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/43/0c/a2914d52149e571b45e798325ae93440_s.jpg)
左が今回出くわしたカタツムリ、右はありふれた普通のカタツムリの殻だ。どちらも渦は中心から時計回りに廻っている。ただ左の殻はとても軽くてもろい。
驚いて、「ナメクジ」の写真撮影を、と思ったが、家内と一緒に買物に行く時間が迫っていたので、「後で…」と思い、カタツムリが裸で這っているタバコの箱をまたポケットに戻した。
いろいろ買うものがあり、結局帰宅したのは約2時間後だった。買い物袋を書庫に運び、恐る恐るポケットを探ったら、もうタバコの箱には付着していなくて、奧で丸くなりまるでサザエの殻の中身のようになっていた。(写真左)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/23/19/9695139d6bf3f193e00168ef4ed009dc_s.jpg)
この変わったカタツムリの傘状の部分は、単に蓋になるだけでなく、一種の吸盤になっている。これでコンクリート壁に付着していた。それが可能なのは粘液を出すこと、写真の右側(壊れた殻)に見えるように、殻がきわめて薄い(軽い)からだとわかった。
サザエではこの蓋は殻と同じように硬く石灰化している。
内臓は蓋の右側に黒く見える。もっともタバコの箱に脱糞していたので、その分だけ小さくなっている。傘の左側は頭部で、2つに分画されており、生きていた時には棒状の突起が突き出していて、先端に黒い眼があった。頭を出したまま死んだのは、殻が壊れたため、頭部を引っ込めることができなくなったからだ、と思う。
いや今日は、散歩でいろいろ愉しいことがあって、充実した一日だった。
「原色日本貝類図鑑」(保育社)の索引にはカタツムリという用語がなく「◯◯マイマイ」という用語になっているので、非常に使いにくい。「逆引き」ができないのだ。英語の図鑑だと「マイマイ(Snail)」の項があり、後に形容詞がならぶから使いやすいが、日本の種を調べることはできない。佐々木猛智「貝類学」(東京大学出版会)も同様な欠陥を抱えている。「マイマイ」という語が冒頭に来ない限り、読者は該当箇所を探し当てられない。
それに「貝類」でくくると、素人はナメクジとカタツムリが同じ「軟体動物」であることを認識できないおそれがある。
この点、英語の「ペンギンブック」など、軟体動物が多数の絵や写真入りで、安くて索引が充実した本だ。
〔付記〕4/7(金)外は雨で、気温は10℃。散歩する気にもなれず、改めてWIKIを調べたら問題のカタツムリは「セトウチマイマイ」に似ていることが分かった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%81%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%82%A4
仕方なく保育社の「原色日本貝類図鑑」を読んだ。日本の淡水産貝類は100余種しかいないのに対して、陸生貝類は何と800種以上いるという。
ヤマキサゴ、アズキガイ、ヤマクルマ、ヤマタシニなどの例外を除いて、みな語尾に-マイマイがついている。渦牛が中心部から左撒きに巻いていて-ヒダリマキマイマイという語尾をもつものもある。(和名の不備・問題点については、別の機会に書く予定だ。)
探検船ビーグル号に乗ったダーウィンは、ガラパゴス諸島で小鳥(ダーウィン・フィンチ)が島毎に色や形が違っていることを見つけた。この事実を説明するために彼が着想したのが「自然の選択」による「進化」で、名著「種の起源」の根底を流れている。
この狭い日本列島の中で、カタツムリが800種以上にも進化したとは、まったく驚いた。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
ウスカワマイマイでは?
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウスカワマイマイ