ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【自衛隊の戦闘能力】難波先生より

2012-10-10 12:58:00 | 難波紘二先生
【自衛隊の戦闘能力】尖閣問題にしろ竹島問題にしろ、平和的に外交により解決するのが望ましいことはいうまでもない。しかし上記の新井白石のエピソードに見られるように、十分な備え(端的にいえば知識と武備)がなく、口先だけの外交をしていては何も解決しない。
 そこで前に、予備海上自衛官のMさんに、「中国と戦争になったら、自衛隊はどれくらい戦えるのか?」と問うてみた。以下、その回答である。Mさん、ありがとうございました。


 < 列島での戦闘は数ヶ月の戦闘が可能です。
  日本には戦う意識も法的根拠もありません。また、国民も戦う気力は皆無です。自衛隊員も上級幹部は昇任に一喜一憂するだけでの小役人でしかありません。来栖統幕議長以降、戦略、戦術の専門家は少数です。しかし、下級幹部、下士官は外国軍隊に行けば現役で実力を発揮できるだけの実力があります。このことを前提に次のことが明言できます。


(1)海上、航空戦闘はニッポンが優勢です。
  中国に航空、海軍戦闘能力はありません。特に対潜戦闘の比率は捜索能力が80%であり、攻撃能力も公表とは雲泥のレベルの低さです。
 特に、中国には対潜捜索についてのノウハウがありません。また、これについての訓練は皆無です。ミサイルなどの攻撃は捜索能力が確立していて初めて成立するものとなります。


(2)大陸での陸軍戦闘能力は中国が圧倒的ですが、局地戦には対処できます。
  陸上戦闘は量の問題です。戦術よりも量です。現在の米軍核を持って、1億人を殺しても中国は平気です。100名の兵士が戦死すれば騒ぐ米軍には勝ち目はありません。
一方、列島での陸上戦闘は海上戦闘と連携したものであり、陸上自衛隊で十分に対処できます。特に、中国の核運搬能力も兵力輸送能力も公表するよりも貧弱です。陸上自衛隊で十分に対処できます。>


 ということでした。さらに以下の質問をしました。
 <日本海域の防衛なら、戦術的航空母艦なしでやれるのでしょうか?
 私は「集団的自衛権」の行使がいずれ承認され、国連軍の傘下に派兵を要請される事態がいずれ来ると思っています。
 「日本防衛」も現憲法下には単独武力行使はできませんかが、「国連軍」の名前で日米安保を発動することになるだろう、と思っております。(そんなことにならないように、しっかりした外交が重要ですが、)>
 
 それに対する返事です。
<空母はその根拠地としての修理工場、弾薬補給地等の後方施設と同時にこれの移動機能(前進基地)が必要です。第7艦隊の前進基地は横須賀です。この横須賀により米軍空母が西太平洋、中国大陸海域に展開できます。中国には前進基地も本格的後方基地もありません。


 一方、日本には空母はありませんが、空母以上の日本周辺海域の戦術的防衛は可能です。特に後方基地能力は世界でもっとも高い機能を有しています。戦う意思さえあれば、空母なくして周辺海域での戦術的展開は可能です。言い換えますと日本に戦術空母は不要と言えます。
 空母の機能は列島に配備するミサイル網、レーダーサイト網で代替できます。むしろ空母の機能よりも効果的であり、経済的です。
 軍人は相手国を直接攻撃する機能や制約のない太平洋で行動できる空母のメリットを過大評価していますが、私達の想定する集団自衛権を行使する列島防衛が主であることが現実です。要するに空母は不要です。


 現在の自衛隊には戦術能力、戦闘技能はありますが、組織としての戦う意思がありません。下級幹部から一兵卒にいたるまで戦闘技能は一級品ですが、来栖統幕議長以降、戦う意思を去勢されています。そして組織的に戦う意思は完全に排除されています。このような特殊な軍隊が自衛隊なのです。


 蛇足ではありますが、防衛関係者(防衛省、防衛関係議員)がいう「集団自衛権の行使」という言葉には注意する必要があります。彼らの考えは、この戦う意思はないが一級品の戦闘技能集団を米軍の一単位、下請け、たとえば米軍の第7艦隊等の一単位に組み込みたいというのが本音なのです。>


 これに対して岡山の軍事オタクM先生からレスがありました。


<1行目の「列島での戦闘は数ヶ月の戦闘が可能です」で思わずのけぞりました。

Mさんのご意見そのものはマニア的視点からも賛同できるものなのですが・・・難波先生のご質問を拝見して、私は局地的軍事衝突(主に尖閣周辺でのどんぱち)を想定したのですが、Mさんは全面戦争を想定されたわけですね。うーん、どう解釈すべきなのだろう・・・こんど、手近のマニア連中の意見も尋ねてみます・・・>




 もちろん私は尖閣諸島周辺での局地的な武力衝突を想定したのですが、プロ集団である自衛隊は、中国がさらに大兵力、それも陸軍まで本土に上陸させたらどうなるか?という事態まで想定していると思います。いや、そうでなくてはいけないのです。たえず「最悪の場合」を想定しておく必要があります。都合の悪いことは気がつかないふりをするのを、「ダチョウの平和」といいます。砂漠のダチョウは危機にさらされると、砂の中に頭を突っ込んで、「見ざる言わざる聞こえざる」を決め込むのだそうです。軍事の知識をもつことと、好戦的とは違います。




 万一、中国陸軍に攻め込まれても、3~4ヶ月は自衛隊単独で戦闘できるだけの、装備、食料、兵員及びその練度が備わっているということでしょう。

 太平洋戦争の時代や朝鮮戦争の時代と異なり、都市化が進んでいますから、師団単位の大兵力を奇襲的に上陸させられるような場所はないので、「兵力の逐次投入」という拙い作戦に出るしかないでしょう。

まあ、陸海空が連携して各個撃破してゆけば、もっと持ちこたえることができるように私は思います。日本列島の強みは南北に2,000キロも延びている点にあります。

 中国も広いが、日本も長いですよ。起点をロンドンにおけば東の端はモスクワの先になります。ナポレオンもヒトラーも兵站線が延びきって、戦線が維持できなくなった。




 オランダがナポレオン軍に占領されたとき、長崎の出島にだけはオランダ国旗がひるがえっていた。だから歴史を知るオランダ人は、「日本のおかげで、オランダは独立を保持できた」と思っていますよ。

敗戦後の「連合軍」以外に、日本全土を占領できる軍隊が出てくるとはちょっと思えません。
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