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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

こちら、自由が丘ペット探偵-14-

2008年06月13日 | 投稿連載
  こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めぐみ 
        14
ペット捜索者には、迷子チラシ貼りと動物病院と保健所
の聞き込みを契約した一日の時間の中で行うだけの者も
いるが、犬飼健太は地道な足取り捜査を極力実践するの
をモットーとしている。
つまりこの日のように小雨なら小雨の中でも犬道を求め
て電柱と植え込みの領域を一ブロッグづつ歩くか、
バイクで回る。
必ずおしっこをする電柱や植え込みが犬道なら、ネコ道
は塀と生垣である。住宅が密集している箇所でのブロッ
ク塀はその家と家の間に挟まれているので犬と比べると
個人の家の敷地まで入り込めない分ずっと猫の方が見つ
けにくい。
犬の場合、特に大型犬の案件だと目撃情報がほとんど
発見の決め手になる。 
四つ角で出会う犬連れか、子供には、こんなフラフラ
歩いていた迷子の犬は見なかったかと写真を見せて
聞き込みをする。
健太は、この日も朝九時から雨の中ずっと等々力エリア
の隣の上野毛・玉川エリアまでバイクと徒歩で五時間練
り歩いて聞き込みをうんざりするほどしたので本当は、
多摩堤通りのドッグカフェで一服し昼寝ぐらいしたかっ
たが、新しい仕事を頼まれたからには、休んでなんか
いられなかった。
何の保証もないフリーランスと同じで仕事があるとき
にしっかりと稼がないとないときには何ヶ月もないと
いうことは幾らでもある。
むしろダブルヘッターで仕事ができる幸運に感謝しな
ければならない。
だから健太は、安田の車の走り去った方角へホンダの
50ccのバイクに乗って多摩川沿いを走っている
うちに疲れも吹っ飛びなんだか気分がアドレナリって
パチパチ発火してきたのはいいことだと口笛を吹いた。
 夕方雨はほとんど小降りになって幹線道路を疾走
する健太の全身を包み込んだが、その小さな雨粒が
霧のようにバイクのハンドルを握る健太の長い睫毛に
へばり付いて黄金の水滴をキラキラと宿してブラブラ
揺れては、明るい風に吹き飛んで後方へ消えて行った。
川の上流に広がる空から黒い雲がみるみる千切れて
オレンジ色の夕焼けが照り付けてきた。
ちょうど小田急線の喜多見と狛江の間の高架下を潜り
抜けたとき、健太のバイクのハンドルの中央に取り付
けられた受信機が警報音とともに赤いランプが点滅した。
「聖子ちゃん。さっそく来たか。」
と健太は、受信機の液晶部分をタッチするとナビ
画面が現われた。
カラスの聖子ちゃんの位置をナビ画面がしっかりと
地図上に赤い十字マークの点となって点し示していた。
聖子ちゃんに付けた発信機が半径百メートル圏内に入る
と健太のナビが反応し、その位置を知らせてくれる。
健太のバイクは、ナビに従って住宅街の方へどんどん
入って行き、疎水の畑と隣接したひとつの古い二階建
ての一軒屋に辿りついた。
疎水のガードレール脇に健太は、バイクを停めてヘル
メットを脱いだときには、もう雨は完全にあがっていた。
調布へ抜ける道路沿いに疎水と平行して戸建の築年数
の古い住宅団地が並んでいて、カラスの聖子ちゃんがと
まった青いスレート屋根の家はその外れに位置しその真横
は生産緑地のわずかばかりダイコン畑が広がっていた。
カアカア・・カアカア・・
聖子ちゃんが健太を見て空を旋回し始めた。
「OK!有難う。聖子ちゃん。もう一仕事たのむよ。」
と口笛を鋭くピーと一回吹いた。
すると聖子ちゃんは、急降下して青いスレート屋根の家
の一階キッチン窓の庇にふわっと舞い降りた。
「まったくあの子は、どうしょうもないバカ息子だよ。
今年も受験失敗しちゃって二浪なんて・・今時恥ずかしくて
・・予備校のお金もかかるのに、パソコンの新しいの
買いたいなんて・・・」
健太は、イヤホンから聞こえてくる音声を携帯受信機の
ボリュームツマミで最大にしてポケットから単眼鏡を取り
出すとその青い一軒屋のキッチンの方を覗いた。
そこには、夕食の支度をしている安田美貴の姿があった。
そしてそのすぐ後ろにテーブルに座ってビールを飲んで
いる夫の禿頭の痩せた安田次郎がいた。
「オレはあいつにもう電気の専門学校でもいいからどこか
に通った方がいいとは言ったんだが・・あのアパートに
引き篭もったきり出てきやしない。」
「あんたの教育が悪いからよ。お父さんからもらった
アパートに高校生から一人暮らしさせて・・・他人に貸
したらお金だってはいってくるし、無理にチワワに子を
産ませなくったってよかったのに・・・」
「だってあいつが勉強するから独立した部屋がほしいっ
て言うから・・・」
「で二浪じゃない・・あの子のパソコンのためにチワワの
エンジェルちゃんに今年もう一回がんばって赤ちゃん
産んでもらわなくちゃなんないのよ・・・」
「まあ、こっちもショウバイだもんな・・産んで貰わ
ないと・・」
健太は、疎水を乗り越えてダイコン畑の中に入って
青い家の裏手へ回った。
ガレージの中に犬のケージが積み上げられて激しく
ワンワンと数十匹の犬が吠え立てた。
「でもエンジェルももう疲れ気味だもんね。
元気なオスがいないと今度ばかりは、時間がかかる
かもよ・・・」
「あの元気な甲斐犬のオスみたいなのをまた手に入
れないとな・・」
健太はデジカメの望遠を最大にして犬舎の中を写真
に撮った。一番奥でうな垂れている白いチワワが目
に隈をつくって絶えず動き回って健太のレンズと
目が合った。



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Tea Party~シーちゃんのおやつ手帖50

2008年06月13日 | 味わい探訪
小じんまりした可愛いケーキ屋さん。
ケーキも焼き菓子も良心的な価格で好感が持てます。
紅茶の茶葉も販売していて、紅茶と焼き菓子を組み合わせた
ギフトボックスなども充実しています。

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