我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

『宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦~Battle of SOL~』の制作を開始しました。

2021-02-13 20:02:28 | 地球防衛艦隊2199


さて、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』や『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の公開延期など、残念なニュースが多いこの頃ですが、今日はささやかな告知を一つ。
『MMD第二次火星沖海戦』を一緒に制作しましたFGT2199さんと、二次創作アニメの新作の制作を開始しました。
タイトルは

『宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦~Battle of SOL~』


です!!
今回も私は主に原作シナリオを担当します。
ツイッターをご覧の方々には「何を今さら」ですけどねw

「太陽沖海戦」とは、宇宙戦艦ヤマトⅢの最終回「ヤマト あの太陽を撃て!」で繰り広げられたヤマト/ボラー連邦/ガルマン・ガミラス の三つ巴の大規模戦闘です。
原作アニメでは特に戦闘の名称はつけられませんでしたが、便宜上?それらしい名前を付けました(早い者勝ちとも言うw)

とはいえ、ストーリーや設定は原作アニメそのままではありません。
原作に加え、以下の作品に準拠してFGTさんや私好みにリメイクしていきます。

・PSゲーム版宇宙戦艦ヤマトシリーズ
・当ブログの「地球防衛艦隊2199」シリーズ
・「護衛戦艦アリゾナの最期」

つまり、2199から始まったリメイク版ヤマトではなくオリジナル版、それもPSゲーム版に準拠した世界観の中でのお話になります。
なので、原作には登場しなかったり、今後のリメイク版にも登場が難しそうな「あんな艦」や「こんな艦」が登場するかも?(しますw)
といいますか、太陽系という地球人にとってのホームグラウンドでの戦いなのに、なぜヤマト以外の地球艦が登場しないのか!?って皆さんも思いますよね!?(私は思います!)
長らく抱えてきましたこのフラストレーションを、この機会に存分に晴らすつもりですw

更に、以下の作品の設定も参考にさせていただきます。

・七猫伍長さんの「宇宙戦艦ヤマト2209」
・EF12 1さんの諸作品

七猫伍長さんには火星沖シリーズに続いて本作でもシナリオ構想にご協力いただいていますし、PS版世界の「宇宙戦艦ヤマト完結編」はこの「2209」だと思っていますので、ご了解をいただいた上でこちらも参考にさせていただきました。
EF12 1さんの作品についてはもはや説明は不要ですねw
本作でも(半ば強制的に)レギュラーメンバーにご参加いただく予定ですwww

以上は原作と設定ですが、FGTさんによる映像もすごいことになっています(^^)
これまでのMMDに加えてBlenderという新たな3DCGソフトを使用されるそうで、一足先に特報動画を拝見しましたが、MMDとはディテールと質感が一味も二味も違う感じでした。



登場キャラについても、火星沖でも大好評だったイラストに加えて、Blenderでのモデリングも行われています。
既に古代、島、真田さん、雪、土門がモデリングされていますが、特に雪は「これぞ松本美女」という仕上がりになっていました(*''▽'')

更に、火星沖でも静画やディテールアップでお世話になった蒼衣わっふるさんにも(詳細はまだ内緒ですが)、今回も大変お世話になっています。
また、つい先日も作劇上不可欠と考えていたコスモハウンドの3Dモデルがないことに困っていたところ「おおさん」に制作を請け負っていただきました。
ちなみにおおさんには、ヤマトが装備するハイドロコスモジェン砲のモデリングもご協力いただいています(^^)



思えば火星沖の時も、沢山の方にご協力いただいて作品を完成させることができた訳で、きっと本作も沢山の方にご助力いただきながら一歩一歩完成に向かっていくことになるのだと思います。
もしかしたら明日くらい、皆さんのところにも「お願い」と書いたメッセージが届くかもしれません。
その時は・・・・・・せめて一読はしてやって下さいませ<(_ _*)>

とはいえ、基本的には20代と40代のサラリーマンが本業の傍らでコツコツと制作していますので、完成まで「月日」よりも「年月」で測った方がよい期間がかかると思います(^▽^;)
公開が叶うその日まで、生暖かい目で見守っていただけましたら幸いですw

今日は私の味気ない文章が大半の告知ですが、近日FGTさんの手による予告動画やポスター画像の公開予定ですので、どうぞお楽しみに(^o^)
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『一三月動乱 act.02:危急』

2016-08-20 23:58:25 | 地球防衛艦隊2199


 『一三月動乱』とは、ボラー連邦内の“実務派”が、第一次銀河大戦と赤色銀河交差事件によって財政的破断界に達した連邦の大胆なスリム化と再編を図ったことを契機に発生した事件である。
 この時実行された実務派の改革は徹底しており、ボラー連邦を構成する各星系に対する自治権の大幅な拡大と星系間取引の自由化、星系軍の大量動員解除とセットになった復興予算の拡大による経済活性化を手始めに、統治コストに見合わない辺境星系に対しては『独立』という名のアメを与えて財政的自立を図らせた。
 もちろん、辺境部の独立によってボラー連邦の直接統治領域は三〇パーセント以上縮小せざるを得ないが、独立したいずれの星系国家も旧来のボラー(ボラー共和国)との間で通商・安全保障を含む新たな連合憲章に調印しており、実質的な“連合体”としての結びつきは未だ確固たるものがあった。
 独立した辺境国家群が大きな異論もなく新たな連合憲章に調印したのは、過去のボラー連邦の国家政策により辺境星系は産業や資源の点で自給自足が難しく、いきなりの完全独立は物理的に困難であったからだ。もちろん、そうした産業や資源の取引相手を他に求めることもできたが、天の川銀河内の星系の八〇パーセントはボラー若しくはガルマン・ガミラスの勢力下にあり、それ以外で完全な中立を維持した国家は極めて限られていたことから、現実的な選択肢には成り得なかったのである(加えて、ボラー共和国は引き続き安価な同盟価格での各種物資・資源の売却及び集団安全保障を約していた)。
 その結果、辺境の星系国家群はまずは独立の美酒を味わうことで当面の満足を得て、旧連邦との通商・安全保障体制の見直しについては今後の課題として時間をかけた国内議論を行っていくことになる。
 誰にとっても幸いだったのは、これら新生独立星系で極端な急進勢力が政権を握らなかった点で、後の火種になるのが確実なそれら急進勢力に対しては、本改革実行前に今は亡きベムラーゼの遺産である秘密警察が徹底的な殲滅作戦を展開していた。それが奏功し、各国で政権を握ったのは比較的穏健な独立勢力で、後の改革が比較的スムーズに進展する要因の一つとなっていた。
 そして、一方のボラー共和国だが、本改革は自らの影響力は維持しつつ統治に伴う経済的、軍事的負担は大幅に削減できるだけなく、新たに独立した辺境部の共和国群を、多くの宙域で国境を接するガルマン・ガミラス帝国との緩衝国家とすることで、偶発的紛争の発生リスクまで最小化することが可能な妙手であった。
 事実、新体制が整うまでその後二年にも及んだ改革(一ニ月改革)により再編された新生連合国家『ボラー連合』は国家財政の立て直しに成功し、更に各星系間の独自交流の活性化が長期に渡り停滞していた各分野での革新を促したこともあって、ガルマン・ガミラス帝国勃興以降、国力の低下に歯止めがかからない最悪の状況からようやく脱することができたことが各種の統計数値からも明らかになっている。
 その点、“実務派”と呼ばれた当時のボラー連邦首脳部が限りなくベストに近い政治的選択を行ったことは間違いないだろう。
 しかし、天の川銀河を二分する大国家の抜本改革であるだけに、それがどれほど賢明な選択であっても、改革開始当初において混乱は避けられなかった。もちろん実務派もそれは覚悟しており、政治的混乱を最小限とすべく、改革に異を唱えるのが確実な守旧派や軍強硬派(これらを総じて以降“反対派”と呼称する)の息のかかった実戦部隊を、ボラー本星周辺から連邦辺境部へ配置転換を行っていた。また、これらの部隊が新たな配置先で相互連携できないよう、各隊は異なる戦区に配置されるという念の入れようだった。
 更に、配置変更にあたっては国境部におけるガルマン・ガミラス帝国軍の活動が活発化しているという欺瞞情報が用意され、反対派から不審を抱かれないよう細心の注意が払われた。
 もちろん、実際にはガルマン・ガミラス帝国軍に特段の動きは無く、むしろボラー側の国境宙域が俄に騒がしくなったことから、ガルマン・ガミラス側が警戒レヴェルを上昇させた程だった。

 ――そして遂に、その日が訪れる。

 連邦議会での緊急動議により、ボラー連邦法の部分的停止と大規模修正法案が即日採決された。その模様は超空間ネットワークによって連邦全領域にリアルタイム中継されており、連邦内各地に巨大過ぎる衝撃を与えていた。
 これに対し、現状の連邦政体と支配領域に固執する守旧派と、あくまで軍事力でガルマン・ガミラスを天の川銀河から駆逐すべしという軍強硬派からなる反対派は仰天したものの、既に彼らは実務派の行動を覆すに足る政治的・軍事的パワーを本星周辺部から失っており、国家システムとしてのボラー連邦の終焉を指をくわえて見ていることしかできなかった。
 その点、実務派の政治的アクションは反対派のそれを完全に凌駕しており、ほぼワンサイドゲームで大改革をスタートさせたと言える。しかし、反対派も未だ状況を諦めてはおらず、彼ら唯一の手札である前線付近へ配置転換された部隊を用いて巻き返しを図った。
 だがそのアクションは、彼らの息のかかった部隊を独断越境させてガルマン・ガミラス軍を攻撃、第二次銀河大戦を勃発させ、その混乱で現状の改革を有耶無耶にしてしまおうという極めて乱暴なものであった(言い換えれば、そうした手段でしか状況を逆転できない程、反対派は追い詰められていたとも言える)。
 もちろん、実務派も反対派がこうした暴発じみた行動に出る可能性は最悪ケースとして想定しており、本星での緊急動議の直前に実務派子飼いの部隊が反対派指揮官の拘束や直率部隊の制圧を一斉に開始していた。これらの予防行動は大半のケースで奇襲となった為、反対派の殆どを封じ込めることに成功している。
 しかし、例外もあった。
 最大の問題は、反対派の中で最も強硬とされる部隊指揮官に率いられた有力部隊の制圧に失敗したことだった。そしてそれは、動き始めた改革を根底から覆しかねない程の危険性をはらんでいた。



 アルゼ・イゴーロフ中将率いる『第五親衛打撃艦隊』がその危険な例外であり、本部隊は連邦議会での緊急動議の際、抜き打ちの艦隊実動演習中で、中将の身柄を拘束することが物理的に不可能な状態だったのである。
 第五親衛艦隊の制圧を命じられていたのは近傍に配置されていた第一〇四打撃艦隊であったが、一〇四艦隊としては指揮官同士の会見をセッティングし、その場でイゴーロフ中将を拘束することを目論んでいた。全ボラー連邦軍中でも最優良艦隊の一つにカテゴライズされるシングルナンバーの親衛艦隊を通常編成の艦隊で制圧することは純軍事的にはほぼ不可能で、その点において指揮官及び艦隊首脳部の拘束を企図した一〇四艦隊側の判断は極めて妥当だったと言えるだろう。
 しかし、この時の一〇四艦隊はあまりにも運がなかった。第五親衛艦隊の演習は艦隊司令官自らが発案した抜き打ち演習の為、事前の予想はほぼ不可能であり、そして実働演習中の艦隊指揮官に外部の、それも他部隊の人間が面会するのは困難極まりなかった。決して不可能ではないものの、戦時でもない状況でそこまで急を要する会見を強引に申し入れる事そのものが不自然極まりなかったからだ。
 その結果、会見のセッティングに時間を要している間に連邦議会での緊急動議が開始されてしまう。これにより一〇四艦隊側の意図は完全に露呈、第五親衛艦隊がようやく会見に応じたことで接近を始めていた一〇四艦隊は、逆に急迫してきた親衛艦隊からの一斉攻撃を受けて大損害を被ってしまったのである。
 一〇四艦隊を退けたイゴーロフ中将は、即座に本星の反対派にコンタクトを取った。
 友軍である一〇四艦隊を躊躇なく攻撃した点といい、攻撃後の対応にも一切の迷いが見られなかった点といい、中将は今回の前線派遣が何らかの政治的意図に基づくものではないかと予てより疑念を抱いていたと考えられる。
 そしてイゴーロフ中将は本星反対派との短い協議の末、可及的速やかなガルマン・ガミラス領の侵犯と同軍への単独攻撃を了承した。これに対し、本星の反対派は中将の行動に呼応する形での実務派に対する政治的カウンターと、事後の増援派遣を確約していた。もちろんこの増援とは、第五親衛打撃艦隊の攻撃によって第二次銀河大戦が勃発することを前提にした本格派兵に他ならなかった。

 しかし、こうして艦隊指揮官の決断こそほぼ即決で下されたものの、第五親衛打撃艦隊は物理的に今すぐガルマン・ガミラスへ攻撃を行うことが不可能な状態にあった。比較的高度な臨戦態勢にあったとはいえ、艦隊は抜き打ちの実動演習を完了したばかりであり、弾薬や消費物資の搭載状況にかなりの不安があったからだ。また、散々に打ち破った一〇四艦隊の一部が、何を思ったか撤退直前に第五親衛艦隊の支援補給部隊に攻撃を加えていたこともこの不安を一層深刻なものにしていた。
 その為、イゴーロフ中将は艦隊根拠地である前進基地要塞に艦隊を一旦帰投させ、各種補給後の再出撃を命じざるを得なかった。但し、実務派が更なる制圧部隊を送り込んでくることも懸念されたことから、補給の必要性が低い大型艦は要塞周辺で警戒任務にあたり、補給が必要な中小型艦にしても、その補給は必要最小限とされた。
 これに対し、何としても第五親衛打撃艦隊を食い止めなければならない実務派側の対応は不十分なものでしかなかった。壊滅した一〇四艦隊を除き、近傍に信頼を置ける艦隊規模の戦力は存在せず、また実際問題として、既に戦闘態勢を整えた(奇襲は見込めない)第五親衛艦隊を実力で制圧可能な部隊となると、ボラー連邦全領域に目を向けても数えるほどしか存在しなかったからだ。

 ――第五親衛打撃艦隊とは、ボラー連邦軍の中でも構成人員・部隊規模・装備において特段の優遇を受けた精鋭中の精鋭であり、単純な戦闘能力は一般の打撃艦隊の数倍に達するとまで評された決戦戦力だった。中でも、略して“第五親衛”と称される本艦隊はボラー連邦軍(宇宙軍)建軍当初から存在する古豪艦隊の一つで、第一次銀河大戦勃発以前は『嚮導(リーダー)』の名を冠されていた程、高練度の部隊でもあった。
 嘗て、ボラー連邦軍には“主力艦隊”と名づけられた最大規模の決戦艦隊が二個、それとほぼ同規模の本国艦隊一個が別個に存在していたが、その全てが第一次銀河大戦末期の戦闘で失われていた。これらの艦隊は一から再建するにはあまりに規模が大き過ぎ、また、当時のボラー連邦が長期に渡る大戦と未曾有の宇宙災害で国力を消耗し切っていたこともあって当面の再建は諦められた。しかしその代替として、既存の三個親衛打撃艦隊が増強対象に指定され、嘗ての主力艦隊級の決戦艦隊へと強化されたのである。
 第五親衛打撃艦隊はその栄えある増強指定艦隊の一つであり、その艦数は通常の打撃艦隊の二倍、実に二〇〇隻にまで達した。
 2210年時点のガルマン・ガミラス軍による第五親衛打撃艦隊に対する戦力評価は『S』。ボラー連邦軍正規艦隊としては標準的な編成である一○四艦隊の戦力評価は『B』であったから、二ランク以上の格差があったことになる。



 参考までに挙げるならば、ガルマン・ガミラス軍で第五親衛艦隊を戦力評価で完全に凌駕しているのは『S+』の総統直属親衛艦隊のみであり、同数のボラー連邦軍ならば圧倒可能なガルマン・ガミラスの空間機甲艦隊でも評価は『A』に過ぎない。尚、両軍に比べて部隊規模は小さいものの、個艦性能が高い地球防衛艦隊の場合、通常の太陽系外周/内惑星艦隊の評価は『B-』、デザリアム戦役直前に臨時編成された最大規模の増強艦隊――第七外周艦隊――でようやく『A-』となる。

 以上の評価からも明らかなように、第五親衛打撃艦隊とは生半可な部隊では対抗不可能な戦略単位であり、実務派に属する提督の一人は本艦隊の制圧には一般の打撃艦隊であれば四個艦隊の投入が必要と断言していた。
 だが、現実問題として、第五親衛艦隊の周辺に実務派が信頼を置けるまとまった戦力は既に壊滅した一〇四艦隊以外に存在せず、ボラー本星の実務派でも状況に対する焦燥の色が濃くなりつつあった。実際には、本戦区には第五親衛と一〇四以外にもボラー連邦軍艦隊は複数存在し、既に軍参謀本部を通じて第五親衛艦隊の動きを阻止するよう正式命令が下されていたが、いずれの艦隊も様々な理由を並べ立てて出師を拒んでいた。これらの艦隊が今回の事態に対し日和見を決め込んでいるのは最早誰の目にも明らかだった。 
 だが、それも無理はなく、第五親衛艦隊そのものの精強さに加え、それを率いるアルゼ・イゴーロフ中将はボラー連邦軍屈指の名将として知られた人物であり、その名声は長きに渡り営々と積み上げられた彼の軍歴と、ガルマン・ガミラス帝国との幾多の実戦において築き上げられたものだったからだ。
 中将はボラー連邦軍における最年長・最古参の現役将官であり、その軍歴と戦功からすれば、とっくにボラー連邦軍人最高位である参謀総長に就任していてもおかしくない程の逸材であった。
 実際、過去に参謀総長職への就任要請も度々行われていたが、実戦部隊長の地位に固執する中将はそれらを悉く固辞していた。最後の一度など、ベムラーゼ首相から直々に召還され、総参謀長就任を請われていたが、その際も以下のように述べてこれを謝絶している。

『首相閣下、小官が前線を望んでおるのではなく、前線の方が小官を好いておるのです。
 閣下が小官を後方に下げられたならば、前線の奴も尻尾を振って小官についてくるでしょうな』

 当時“独裁者”とまで評し得るほどの圧倒的権勢を誇り、軍部からも絶対的忠誠を獲得していたベムラーゼ首相であったが、老将の人を食った答えには一瞬声を失ったとされる。しかし、政敵や高級官僚・軍人たちから“妖怪”と呼ばれ、畏怖された連邦首相も只者ではなかった。僅かな時間で立ち直ると、特徴的な大笑を上げつつ中将の決意を褒め称え、手土産代わりの新鋭艦と共に中将を再び前線に送り返した。いや、さしもの妖怪首相もそうする他なかった。
 その頃、ようやく国家体制を整えたガルマン・ガミラス帝国軍がボラー連邦に対して大規模な攻勢を開始しており、連邦軍は各地で前線を破られ、領域内への侵攻を許していた。そんな中、イゴーロフ中将率いる第五親衛打撃艦隊は前線の火消し役――戦略予備――として八面六臂の活躍を示していた。突出し過ぎたガルマン・ガミラス艦隊に幾度となく痛打を与え、後退に追い込むばかりか、一度などは包囲殲滅戦すら実現してみせたのである。
 客観的に見ても、イゴーロフ中将はボラー連邦軍が金科玉条とする大規模集団戦闘の雄であり、中将以上の力量を持つ艦隊指揮官は当時の連邦には存在しなかった。そんな唯一無二の指揮官を辛うじて維持されている前線から引き抜くのは極めてリスクが高く、ましてや意にそぐわないという理由で粛清するなど、既に追い詰められつつあるボラー連邦にとっては、亡国にも直結しかねない程の行為であった。
 結果、ベムラーゼ首相は(内心は渋々ながらも)中将を第五親衛打撃艦隊に戻さざるを得ず、更に自らの対面を保つ為に手土産まで与えなければならなかったのである。
 そして、有力な新鋭艦まで連れて艦隊に復帰した中将は、艦隊将兵から熱狂的歓喜を以って迎えられた。彼らの老練且つ有能な指揮官は、粛清の危険と連邦軍人最高位を蹴ってまで彼らの指揮官たることを死守したのである。麾下の将兵たちが熱狂し、心酔するのも当然だった。
 そして程なく、この一件は『イゴーロフ中将は敵軍のみならず、首相閣下すら撃退した』として、ボラー連邦軍全体に広く知れ渡ることになる。
 当時はベムラーゼ首相の粛清を通じた軍支配が最も苛烈な時期で、階級を問わず軍内部には首相に対する恐怖の裏返しである憎悪と不満が高まっていたからだ。その点、イゴーロフ中将は当時の連邦軍の外敵であるガルマン・ガミラス帝国軍と、背後の敵であるベムラーゼ首相の双方を撃破してみせた唯一の提督であり、中将に対するボラー連邦軍内の人気と人望は止まるところを知らなかった。
 古今を問わず、こうした有能さと人望を兼ね備えた高級指揮官は、最高権力者からの猜疑心と嫉妬心を特に向けられやすく、事実、ベムラーゼ首相も第一次銀河大戦が終結次第、イゴーロフ中将を粛清することを固く決意していたとされる。しかし、その決意が実行に移されることは遂になかった。当のベムラーゼ首相自身がその僅か数ヶ月後、遥々遠征したオリオン腕辺境部――太陽系――で予期せぬ戦死を遂げてしまったからである。



 結果として、イゴーロフ中将はベムラーゼ首相戦死後の混乱期はもちろん、赤色銀河交差事件後の自然休戦期も一貫して第五親衛打撃艦隊の指揮を執り続けた。その過程で、艦隊は装備と戦意、技量に優れるガルマン・ガミラス帝国軍を度々撃破、殲滅する活躍を示している。勿論、損害も大きかったが、第五親衛打撃艦隊はガルマン・ガミラス軍との戦闘において互角以上のキルレシオを達成した唯一の艦隊であり(一般的なボラー連邦軍部隊のキルレシオは1対3)、ガルマン・ガミラス帝国もイゴーロフ中将と彼の率いる第五親衛打撃艦隊を最も危険な敵手として強く認識していた。

 第一次銀河大戦中盤以降、第五親衛打撃艦隊は部隊指揮官に対する忠誠度や戦意の高さから『イゴーロフ軍団』、酷い時には『イゴーロフの私兵』とまで称されるようになっていた。
 しかし、自らの指揮官に対して愚直なまでに忠誠を誓った艦隊将兵たちは、寧ろそう呼ばれることを誇りとしていたという。そして、そうした艦隊の気風や結束、高い技量・錬度は強化指定によって戦力が著しく増強された後も全く揺るがず、第一次銀河大戦の自然休戦から五年以上が経過した当時も『ボラー連邦軍最強』のタイトルホルダーは第五親衛打撃艦隊が有していたのである――。
 
 そんなボラー連邦軍随一の名将率いる最強艦隊に立ち塞がるような行為を、事なかれ主義が蔓延したボラー連邦軍高級士官に期待することは到底できなかった。これが、連邦指導部に対し絶対の忠誠と服従を要求されたベムラーゼ首相時代であれば、ここまであからさまなサボタージュは考えられなかったが、ベムラーゼの後を継いだ代々の指導部が自らへの支持を取り付ける為に軍に対して懐柔政策を続けた結果、軍の統制が緩み切っていたことも、ここにきて大いに災いしたと言えるだろう。
 しかし、そうした絶望的状況においても、未だ諦めを知らぬ者も僅かながらに存在した。――壊滅したと信じられていた第一〇四打撃艦隊の残余である。


――『act.03:敗残艦隊』へつづく



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『一三月動乱 act.01:ボラー連邦共和国末期の概況』

2016-08-05 21:25:12 | 地球防衛艦隊2199


 最盛期、天の川銀河の実に七〇パーセント近くを勢力圏とした超巨大星間国家――ボラー連邦共和国――の衰退はあまりにも急激だった。
 その原因とされた事件は、大きなものだけで三つある。
 『第一次銀河大戦』『ベムラーゼ連邦首相殉職(戦死)』『赤色銀河交差事件』だ。
 各事件の経緯や原因を詳述するのは別の機会に譲るとして、ボラー連邦にとっての不幸は、これらの大事件が立て続けに、それも数年内という極めて短期間に発生したことだった。結果、連邦内は大混乱に陥り、一部星系では無政府状態にも近い騒乱すら発生してしまう。
 しかし不幸中の幸いと言うべきか、異次元から唐突と言う他ないタイミングで現れた赤色銀河は、交差対象である天の川銀河に大混乱を発生させたことで満足したかのように、発生時と同じ唐突さで消失した。また、銀河交差という未曾有の天変地異によって破滅的な影響を受けていたのは銀河大戦での敵手――ガルマン・ガミラス帝国――も同様であり、結果的に戦争どころではなくなった両国間にて実質的な休戦(自然休戦)が成立するに至る。
 この時、正式な休戦・停戦交渉が行われなかったのは、ボラー連邦が未だガルマン・ガミラス帝国を国家として承認していなかった為であり(あくまで“叛徒”“反乱勢力”という扱いであった)、正式な国家承認と停戦の成立は、その後更に十年近い年月を待たなければならなかった。
 しかし、連邦を苛んでいた二つの『外患』はこうして一応の終息を迎えたものの、『内憂』は未だ残されたままだった。
 太陽系で死亡したベムラーゼ首相は、後世において『独裁者』としての悪名ばかりが取り上げられることの多い人物であるが、そうした極端な恐怖政治を行ったのは治世最後の一年間程だけで、それ以前はその風貌と声音から “妖怪”と渾名されつつも、老獪で隙の無い内政・外交を行う現実政治家として知られた人物であった。彼が政府首班を務めた十年間で連邦領域は二五パーセントも拡大し、過去最大の版図に達したことでもそれは証明されている。当時の連邦では、ベムラーゼの治世が更に十年も続けば、天の川銀河の大半はボラー連邦の有するところとなり、他銀河への大規模進出すら確実視されていた程だ。
 しかし、現実はそうした予想を悉く裏切った。ボラー連邦、いやベムラーゼ首相にとって最大の誤算は、マゼラン銀河からの闖入者――大ガミラス帝国――であった。
 密かに天の川銀河各地に浸透していたガミラス帝国は同一ルーツの救済という大義名分を掲げると、連邦が保護国化したばかりの核恒星系の大国『ガルマン共和国』に突如侵攻、周辺星系も含め瞬く間にこれを制圧し、『ガルマン・ガミラス帝国』なる新国家を成立させるに至る。
 大・小マゼラン銀河随一の強国として勇名をはせた大ガミラスの軍事力は、既に百年以上、大規模な戦争を経験していなかったが故に、軍事技術的停滞期を迎えていたボラー連邦軍を各地において圧倒した。装備、指揮官、兵、戦術――あらゆる面で、長年に渡る戦乱を戦い抜いたガミラス軍はボラー連邦軍を優越しており、連邦のアドバンテージは唯一、物量のみであったと言っても過言ではない。
 だが、ガルマン・ガミラスの興隆は軍事力格差だけに起因したものではなかった。近年のベムラーゼ首相による急激な領域の拡大は連邦内に様々な軋轢と格差、歪みを生んでおり、これまで表面化することはなかったそれらの問題が、ガルマン・ガミラスの勃興を契機に一挙に噴き出した格好となったのである。特に、近年になって強引な手法で保護国化や連邦加盟を強いられた各地の星系国家は、これを好機とみて連邦からの離反を画策、様々なサボタージュや場合によってはガルマン・ガミラスへの接近を図る国家すら現れた。
 ある意味、国家としても軍としてもほぼ総崩れ状態に陥ったボラー連邦であったが、それを立て直したのもまたベムラーゼ首相の“豪腕”だった。
 彼は、自らが国軍の最高指揮官であることを改めて表明すると、前線での怯懦や後方での怠惰が目立つ連邦軍将官多数を一斉に更迭、職務上の不正が発見された場合には容赦なく極刑や流刑などの厳罰を下した。こうした裁定(実際に判決を下したのは連邦最高裁判所であったが)は、伸長著しいガルマン・ガミラスへの恐怖と連戦連敗の軍に対して強い不満を抱いていた連邦市民から大喝采を浴び、ベムラーゼ首相の名声を俄然高めた。そうした市民の後押しを受ける形で彼は『連邦大元帥』という軍の最高位階級を新たに創設し、自らをその任に就けることで、軍に対する実質的指揮権限を以後急速に強めていくことになる。
 また、連邦から離脱を図った星系に対しては、連邦法規定にある『外患誘致』の咎でこれを厳しく断罪、当該星系の自治権返上や政府首脳部の総辞職など、極めて厳しい要求を突きつけた。戦慣れしたガミラス軍に対しては劣勢とはいえ、ボラー連邦の軍事力は単一星系国家や中小規模の星間国家のそれとは隔絶しており、大半の星系は苦渋の末にこれらの要求を呑まざるを得なかった。しかし、極少数の星系は連邦の圧力に屈することを頑として認めず、星系軍を動員して徹底抗戦の構えをみせる。これに対するベムラーゼ首相の回答は、当時の戦略兵器『プロトンミサイル』による当該星系の完全殲滅であった。
 それまでベムラーゼ首相を熱狂的に支持していた市民・軍人たちも、さすがにこの蛮行には震撼した――しかし、非難の声は殆ど上がらなかった。いや、市民たちはその時になって初めて、そうした声を上げる自由を奪われていることに気がついたのである。
 この時既に、ガルマン・ガミラスの脅威に怯えた市井からの圧倒的支持で成立した『連邦非常事態法』と本法に基づき連邦首相に与えられた『非常時大権』によって大量動員された秘密警察と政治将校が、市民と軍に厳しく目を光らせており、首相の政策に異を唱えようものなら即座に逮捕、投獄されるまでの状況に至っていたからだ。
 それでも、数度に渡り大規模な市民デモや部隊反乱が連邦各地で発生したが、それら全ては非常事態法に基づき大量動員された連邦正規軍によって迅速且つ徹底的に鎮圧され、以後はそうした騒乱の存在を語ることすら憚れるほど、ベムラーゼ首相による合法的恐怖支配は強化されていくことになる。
 だが、そうした無慈悲なまでの強権行使があったことで、辛うじて連邦が維持されたこともまた事実だった。それほどまでに、大ガミラスが天の川銀河全体に与えたインパクトは絶大であり、もし当時の連邦首相が凡庸な人物であったならば、この時点で連邦が四分五裂していたと主張する歴史家も数多い。
 ベムラーゼ首相が、自らの強権行使が連邦の維持と建て直しに必須であると固く信じていたことは、後に公開された彼の書簡や語録からも明らかだ。そしてそれ故に、彼は自らが行使した強権が徹底されないことを酷く恐れていた。
 結果、彼は自らの政策を阻害する可能性のある政治家や、強権に対してサボタージュや反乱の恐れのある官僚・軍人の排除に血道を上げることになる。そこに独裁者特有の猜疑心や嫉妬心が存在したであろうことは疑う余地がないが、結果的にそれらの “粛清”を通じた恐怖支配によって、彼の命令がほぼ確実に遂行される国家体制が急速に作り上げられていった。
 ある意味、ベムラーゼ首相は連邦を構成する全ての人々に対して敵(ガルマン・ガミラス)よりも強い恐怖を与えることで、体制を維持することに成功したのである。だがそれは、ボラー連邦にとって有為な人材をも排除してしまう結果ともなり、彼の死後に生起した連邦の政治的混乱の非常に大きな要因となった。
 ベムラーゼ首相が太陽系で殉職(連邦大元帥としての立場で言えば“戦死”)した際、連邦には首相職を即座に引き継ぐことが可能なだけの見識と力量、人望を有する政治家は皆無となっており、一応は後任の首相職が任命されたものの、実質的な国家運営は三つの有力な政治勢力による合議で行われることになった。
 この時、実質的に政権を担った三つの勢力は、それぞれ『共和派』『実務派』『守旧派』と称されていた。
 『共和派』は、ベムラーゼ治世下の連邦非常事態法によって著しく機能と権限が制限された連邦議会と市民権の復権を強く主張する一派で、それ故に市民からの支持は絶大だった(非常事態法そのものはベムラーゼ首相死去から程なくして廃止されており、その時点で本来の意味での共和政体が復活している)。
 『実務派』は高級官僚出身の政治家集団であり、地球であればノーメンクラツーラとでも揶揄されるような存在であった。軍や市民からの支持は乏しいものの、比較的安定した国家運営が長期間継続したことで官僚制度が極度に発達したボラー連邦においては、最も国家実態を知ると共に、ベムラーゼ首相亡き後、最も実務権限を有している勢力でもあった。
 これらに対して『守旧派』は、軍部と経済界の利益代表という側面が強く、ガルマン・ガミラスの登場までは連邦領域の際限なき拡大を、登場以降は領域の回復とそれに伴う軍事力増強を旗印としたタカ派集団であった。
 これら三派による一種のトロイカ体制は、国家危急の折の集団指導体制と言えば聞こえはいいが、その実態は『烏合』『寄せ集め』の感が極めて強く、その政策決定は常に遅れがちで、勢力間対立は最早日常茶飯事であった。
 当然、そんな不健全極まりない状態で決定された国家方針は選択と集中を著しく欠いており、その必然として前線の連邦軍は各地でガルマン・ガミラス軍に押しまくられ、国内経済も悪化の一途を辿っていた。

 しかしそんな中、銀河規模の大自然災害『赤色銀河交差事件』が発生する。

 この時、政権は共和派が主体となり、首相職を務めていたのも共和派の首魁であった。しかし、未曾有の大災害に対し、現状を無視した思いつきのような指示を連発するばかりで、被害極限の為の思い切った決断を何ら下すことができないまま、支持母体である連邦市民達からすら激しい非難を浴びてしまう。
 結果、唯一の拠り所であった市井からの支持を失ったことで、共和派は急激に勢力を衰えさせ、政権も総辞職に至った。その後、現実路線を掲げた実務派が中心となって政権を引き継いだものの、今度は実務派と守旧派との対立が先鋭化し、連邦内の混乱は収束の糸口すら見出せない状態が続くことになる。
 二派の対立の焦点は、今回の大災害に対して連邦軍をどこまで動員するか、そして最大の敵手であるガルマン・ガミラス帝国との関係性をどのように定義するかであった。
 守旧派は、災害派遣に対する連邦軍派遣は最小限とし、むしろ本災害を奇禍としてガルマン・ガミラスに対し領域回復の為の大規模な軍事行動を強く求めていた。
 これに対し、実務派は守旧派の主張はあまりにも非現実的で、何より災害による損害と影響を過小評価し過ぎているとして強く異議を唱えた。広大な連邦領において十全の災害救援活動を行える組織は、自己完結性の高い艦隊・部隊を豊富に有する連邦軍をおいて他になく、その為ならば極論、連邦全軍を災害派遣に充てても良いというのが実務派の考えであった。
 また、実務派はガルマン・ガミラスに対してもより積極的な関係構築を視野に入れており、これを機に国家承認と国交樹立、休戦協定まで一気に進めることを主張していた。
 どの道、戦略級の恒星間弾道弾(プロトンミサイル)多数を互いに向け合った状態では、相手国を根こそぎにしてしまうような大戦争は最早不可能であり、であるならば、未曾有の大自然災害への対応を理由に握手してしまった方が、長期的な内政・外交上の利益が大きいというのがその理由であった。
 だが、未だ旧領土の回復どころか天の川銀河の完全制覇にすら固執している守旧派はこれを頑として認めず、結果的にボラー連邦軍において災害派遣に動員されたのは、最盛時でも総戦力の三割程度に止まった。軍の動員に強い権限を有する守旧派と軍内部の強硬派が結託し、それ以上の災害派遣を阻止してしまったのである。
 その結果、各地の災害救援はもちろん、その後の復旧と復興も遅々として進まず、連邦財政に長期に渡り大き過ぎる負担をもたらすことになる。そして、ガルマン・ガミラスへの反攻作戦用として災害派遣に動員されなかった大部分の連邦軍も、銀河交差の被害と混乱を原因とする極度の物資不足から兵站体制を確立することができず、実際には大規模な侵攻作戦など思いもよらなかった。しかしそれでも、侵攻作戦参加部隊は“災害派遣に投入されないようにする”というだけの理由で集結と待機を命じられた為、それら膨大な戦力は未曽有の国難に対して何ら役割を果たすことができなかったばかりか、無為に物資を消費するだけの遊兵と化してしまった。
 これとは対照的だったのがガルマン・ガミラス帝国で、帝国元首――デスラー総統自らが先頭に立って帝国軍を全力で動員、即座に災害派遣に投入している。場合によってはボラー連邦軍と睨み合う戦域からの撤退すら行ってまで戦力を捻出し、長期的被害を限定することに成功していた。

 結果的に、赤色銀河交差事件の事後処理に失敗したボラー連邦は、国家として致命傷一歩手前の大ダメージを受けることになった。即座の国家滅亡・崩壊に至らなかったのは、ガルマン・ガミラス帝国が銀河交差以降、殆どの対外軍事行動を自ら停止した結果、第一次銀河大戦が実質的な休戦状態になったからに過ぎない。しかしそれでも、経済的破断界目前のボラー連邦に自然回復は全く期待できず、何らかの積極的な決断を下さなければ、そこに待っているのは国家の緩慢なる死であることは、最早誰の目にも明らかであった。
 だが、それほどの状況にあっても尚、軍需企業群をバックにした守旧派は膨大な軍事予算の獲得と連邦軍の野放図な増強を求めており、何とかして国家財政の立て直しを図りたい実務派を日々絶望させていた。
 そして絶望と焦燥の果てに、実務派は一つの政治的策謀を画策するに至るのである。



――『act.02:危急』へつづく



さて、久しぶりに『宇宙戦艦ヤマト2199』でも『2202』でもなく、本ブログのメインコンテンツ『地球防衛艦隊2199』ネタとなります(^o^)
ヤマトIIIの護衛戦艦を活躍させる為の小噺として書き始めたのですが、(いつものことながらw)思った以上に文章が長くなってしまったこと、本年4月以降、まとまった文章を書く時間が殆ど取れず、書くのが停滞してしまっていることから、書き上がっている部分から先に公開することにしました。
現状、act.03までは完成していますので、これらを順次公開していきます。
完結はact.05の予定ですが・・・・・・06まで伸びちゃうかもなぁ・・・・・・いつものことながら。
しっかし、ヤマト系のトレンドはすっかり『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に移っている中で、よりにもよってボラー連邦が舞台の文章って、我ながらホンとに物好きですねぇw
そして38年前の本日8月5日は『さらば宇宙戦艦ヤマト』公開記念日。
うーむ、どこまでもズレてるなぁ・・・・・・私は(^_^;)

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ハーキンス艦かベムラーゼ艦が欲しい!!

2016-03-09 21:50:09 | 地球防衛艦隊2199
――てなことを思いながら、楽しく『十三月動乱』を書いておりますw
まもなく2199続編の新情報が公開されるかもしれないってタイミングに、よりにもよってヤマトIIIのボラー連邦をメインに小咄書いてる私って、本当に変わりもんだなぁと思ったり思わなかったり(^_^;)

さて、ライオン級護衛戦艦の末尾に予告しました『十三月動乱』ですが、戦闘シーンに至るまでの部分(全般状況)はほぼ書き上がったのですが、この時点で既に原稿枚数が10枚に達してしまい、このまま行くと最終的には20枚を超えそうな感じですので、前後編に分けての公開になると思います。
メインの舞台はボラー連邦になりますが、ヤマトIIIに登場した連邦の人物は殆ど死亡してしまっているので、二人ほどキャラを捏造することに・・・・・・。
その過程で、私が小説書くとか絶対ムリだわとつくづく思い知らされました(^_^;)

また、絵面的にも細々と集めていたボラー艦艇のガレキやメカコレを使うことで、一応は様になりそうな感じです。
ただ、できれば敵のボスキャラとして、見た目に目立つハーキンス艦かベムラーゼ艦の立体モノが欲しいんですよねぇ。
今回の公開では諦めるとしても、後付けでもいつか写真と一緒にを飾りたいものです。

さて、では今晩ももう少し頑張ります、、、((φ(..。)カキカキ

宇宙戦艦ヤマト2199 (8) (カドカワコミックス・エース)
西崎 義展,結城 信輝,宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会
KADOKAWA/角川書店
宇宙戦艦ヤマト2199 艦艇精密機械画集 HYPER MECHANICAL DETAIL ARTWORKS 弐
宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
マッグガーデン
スペースネイビーヤード: 宇宙艦船電飾模型モデリングガイド
モデルグラフィックス編集部
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『我が家』世界における大型艦の系譜

2014-09-22 23:20:15 | 地球防衛艦隊2199
さて、久しぶりの『我が家』ネタですw
先日某所(ウチのコメント欄でお馴染みのユリーシャさんのブログ)で主力戦艦の進化系統図のようなものを描く機会がありました。
やってみると意外に面白いってことで、ウチのブログ用にも新たに系統図を書いてみることに。
艦級名はオリジナルの物も多いですが、大半はこれまでのウチの設定妄想に登場していますので、ある程度は御理解いただけるかと思います。
あ、もちろ本系統図はあくまで“我が家”でのみ通用する設定ですので、その点は予めご了承願いますm(__)m


↑クリックで拡大します。

さて、本表唯一の初出艦は『セッツ級自動戦艦』ですね。
本艦は、PSゲーム『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に登場したゲームオリジナル艦です。
総参謀長直属の艦で、出奔したヤマトの迎撃と追跡に投入されました。
艦としては主力戦艦を基にした無人(自動)艦で、このコンセプトの延長線上に“永遠に”に登場した無人艦隊大型艦(表中では“エクスカリバー級自動重戦艦”)が存在します。

こうして見ると、地球防衛艦隊の大型艦の始祖が“ヤマト”であることは一目瞭然ですが、それと同時にボロディノ級主力戦艦もまた“はじまりの艦”であることが分りますね。
非常時に死力(ありとあらゆる無理と無茶)を尽くして建造された殆どワンオフのヤマトとは異なり、ボロディノ級は量産を第一に考えて建造された普及艦であり、そこで培われ、確立された技術の価値はヤマトに勝るとも劣らないと思います。
だからこそ好きなんですよ、主力戦艦w

あと、ウチでは完結編の主力戦艦(ローマ級)の後継艦は復活篇の主力戦艦(ドレッドノート級)ではなく、スーパーアンドロメダ級(以降S・アンドロ)としています。
ドレッドノート級は完結編巡洋艦(アムステルダム級)の後継ですね。
劇中描写ではS・アンドロ級とドレッドノート級との差別化は殆ど為されていませんでしたが、ここでのS・アンドロ級はドレッドノート級複数で編成された戦隊や小艦隊の旗艦用と考えています。

2199以前のヤマトの世界では艦級名も決められていない艦が大半なんですけど、こうして系譜を考えながら自分なりに艦級名を決めていくのも楽しいですね(^o^)
コメント (2)
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