我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

『宇宙戦艦ヤマト2205』における地球防衛軍のドクトリンを妄想してみる

2019-12-28 21:52:03 | 宇宙戦艦ヤマト2205


さて、今年最後のお題として前回の記事で少し予告しました『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』における地球防衛軍の軍事ドクトリンについて想像を巡らせてみたいと思います。

地球防衛軍の軍事ドクトリンといえば、2202では「波動砲艦隊構想」が有名になりました。
ただ、本構想下で当初建設が目指された軍事力の姿は、2203年初頭のガトランティス軍による第十一番惑星侵攻を境に大きな変貌を遂げ、実質的には別物化したんじゃないかというのが以前からの私の考えです。
その点は過去の記事でも何度か言及しているので、改めて詳細までは述べませんが、端的に言うと、第十一番惑星に襲来したカラクルム級のバカみたいな数からガトランティス軍主力(白色彗星本隊)の戦力を想定した結果、他の全てを切り捨てて“拡散”波動砲戦艦を極限まで増備する態勢が採られたのだと考えます。
その点、ガトランティス帝国の本格侵攻がなければ、波動砲搭載戦艦を絶対的な主力としつつも、確保(養成)可能な人員に見合った規模の中で最低限のバランスを維持した編成の軍事力が構築されていたと思っています。
しかし白色彗星帝国本隊による侵攻が現実のものとなり、地球はAIが指示するまま極端なまでの『拡散波動砲艦隊』を建設することになります。
そして――ガトランティス帝国を倒すことには辛うじて成功したものの、多くの人員と多数の艦を失う結果となりました。
ただ失われた艦については、ガトランティス戦役後も半年間は時間断層が維持されていましたので、2202/26話での山南艦長の台詞にあるように、乗り手の確保もできないまま艦艇の建造は引き続き行われていたようです(さすがに配分資源や予算の制約から、建造ペースは落としているかもしれませんが)。



さてさて、毎度のことながら前置きがすっかり長くなってしまいましたが(笑)、ここからがいよいよ本題です。
恐らく、地球防衛軍はガトランティス戦役後のどこかで『波動砲艦隊構想』についての“総括”を行っていると思います。
『ポスト波動砲艦隊構想』なる新たな軍事ドクトリンが作られるにしても、作られないにしても、現行のドクトリンが実際の戦争においてどれだけ有効だったか、あるいは役立たずだったかを検証し、何らかの結論を導き出すことは、組織として必須だからです。

では、その結論はどのようなものになるのか?

あくまで私感ですが『大規模な波動砲戦での有効性は十分ながら、通常砲雷撃戦や局地戦での柔軟な対応には難あり』といったところでしょうか。
これも以前に書いたことですが、波動砲艦隊構想とそれに基づき大量投入されたD級の存在がなければ、地球はガトランティス軍の圧倒的物量の前に比較的短期間で押し潰されていたでしょう。
結果的に、本戦役において決定的役割を担ったのは波動砲艦隊構想の申し子たち(A級やD級)――ではなく、ヤマトでした。
もちろんそのヤマトにしても、戦前からの波動砲艦隊構想に基づき改装と波動砲再装備が行われた訳ですが、十一番惑星以降に質的変貌を起こして以降の波動砲艦隊構想においては実質的役割を与えられていないか、G計画艦の護衛か乗員プール程度の役割くらいしか与えられていなかったと思います。
ガトランティス戦役において決定的役割を果たしたのはヤマト――しかし同時に、A級に率いられた大量のD級が拡散波動砲を釣瓶打ちしなければ、ガトランティスの天文学的物量を食い止め、ヤマトが決定的役割を果たすまでの時間を稼ぐこともできなかった――私が考える『大規模波動砲戦での有効性は十分』という結論の前半部分はそんな意味です。

では『通常砲雷撃戦や局地戦への柔軟な対応には難あり』という後半部分はどうでしょう?
木星沖~火星沖~地球沖と推移した太陽系内での戦いの中で、波動砲発射時以外の地球艦隊の戦いぶりはどうでしたか?

正直、私は『ドンくさい』と感じました。

圧倒的多数の敵艦隊に対して遅滞を目的とした後退を行うでもなく、一方的に半包囲攻撃を受ける守備艦隊とか、衝突しそうなくらい敵艦が至近なのに漫然と前進しながら波動砲発射態勢を取った挙句、敵艦と正面衝突してしまう艦とか、行儀よく横隊陣形を敷いたまま(全く機動しないまま)、その場でひたすら砲雷撃を行っている艦隊とか、四隻で束になって同盟国大使が座上する旗艦の盾になるとか――印象に残っているのはそんなのばかりで、艦隊単位であれ個艦単位であれ、小気味よい戦術運動には全く無縁だった印象です。
数少ない例外はアンドロメダ改とメダルーサ級三隻をまとめて屠った際のガミラス艦隊くらいでしょうか。
この『戦術能力の低さ』は未熟な乗員と現状のAIに共通する問題点であり、総括が行われた場合には指摘必至と思われます。



ではでは、あくまで私の勝手な想像ですが、現行ドクトリンである『波動砲艦隊構想』が以上のように総括されたとして、次なるアクションはどうなるでしょうか?
あまり好きな言葉ではないですが、PDCA的に考えるのであれば『長所は伸ばし、短所は補う』のが常識的対応になるでしょうか。
まず長所である大規模波動砲戦に係る能力についてはは、時間断層が存在しない以上、飛躍的強化は最早不可能ですが、少なくとも現状維持については最小コストでも実現可能と思います。
極論、建造済みの大量のD級を常に実働状態に置く必要すらなく、1週間~1ヵ月程度の比較的短期の準備期間で実働状態に持ち込める態勢を取っておくだけでも良いでしょう。
正直、綺麗に整列して波動砲を撃つだけなら、完全或いはほぼ無人のAI制御艦隊でも実現可能なことはガトランティス戦役でもある程度証明されていますから、張り付ける人員も最小で済みます。

まぁ・・・・・・既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、こうした戦力を用意したとしても、『永遠に』のように完全な奇襲攻撃で地球を含む太陽系が電撃的に制圧されてしまった場合、これらの戦力は全くの役立たずになってしまいます。
更に、AIに関して敵手が一枚も二枚も上手であれば、役立たずどころか、あっという間に乗っ取られて、敵の先鋒に早変わりしてしまう可能性すらある訳ですが――ま、それはそれで『お約束』ということで納得はできますがwww

続いて、『短所』の方はどうでしょう?
常識的に考えれば、規模は小さくても通常の砲雷撃戦や航空戦にも柔軟な対応が可能なバランスの良い戦力の構築が改めて目指されると思います。
あるいは目指される戦力の一例として、ガトランティス戦役で活躍したバーガーのガミラス艦隊が挙げられることもあるかもしれません。
何しろ2202劇中で艦隊規模で“まともな”機動戦を戦った描写があるのは彼らだけですので(アンドロメダ改とアンドロメダブラックの高機動戦闘は通常装備の人間が高Gに耐えられないという点で“まとも”とは言いかねる)。
この場合、固有の兵装プラス艦載機群の追い打ちにより、瞬間的ながら攻撃力を極大化できる空母型アンドロメダが再評価されたり、規模の大きな空母型アンドロメダの増備には時間がかかるので、有り余ってるD級改造の空母型が整備されたりする展開もありかと思います。
実際、ヤマトマガジン最新号には、D級ベースの空母型らしいイラスト(艦の一部がトリミングされたもの)が掲載されたりもしていますし。



また、2202の木星沖~地球沖での戦闘では、航空隊が大規模に投入される描写はありませんでした。
投入されたけど全く目立たなかったか、膨大な戦力同士が凄まじいエネルギーを投射し合う戦場の危険さから投入そのものが見合されたのかも不明ですが、もし後者なら艦船乗組員に比べて航空隊員の損耗は比較的軽度に抑えられた可能性もありますね。
もし航空隊員の損耗が軽く、経験豊富な搭乗員が多数残されている状況なら、新たに構築される艦隊戦力は、より彼らを重視した艦(空母)の建造(改装)や編成が試みられる可能性はあるでしょう。

さてさて、長々と書いた割には極めて常識的な結論で心苦しいですが、2205の地球防衛軍は最小コストとマンパワーで『波動砲艦隊構想』を維持しつつも、残りのリソースをバランスの取れた汎用艦隊の整備と人員養成に投じている気がします。
前回の記事に書いた『練習艦ヤマト』というポジションも、この結論に合致します。
既に時間断層はなく、人造兵士やAIへの丸投げも回避する場合、その整備ペースはゆっくりとしたものにならざるを得ないと思いますが、あるいはそんな育成途上の比較的小規模の汎用艦隊こそが、更に数年後にデザリアム本星への大航海に出る艦隊になるのかもしれませんね。

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