彦麻呂も黙らす

日本全国の、と言いたい所ですが、どう見てもごく一部の本カク読者の皆さん、一週間も更新止まっててすびばせんでひた。
なんだかバタバタしてた一週間だったのでした。
それからね。
昨日ほぼ一日中男山掲示板にアクセスできない状態が続いてたという事実も(サーバメンテだったらしい)、普段からあまりヒト気が無いが為にきっと誰も気付かなかったんだろうなぁ・・・と思うと、ちょっぴりさびしんぼうなマスターです、こんにちは(泣)

えー、『古稀』って賀寿をご存知ですか?
60歳の還暦、77歳の喜寿、88歳の米寿、99歳の白寿あたりはポピュラーですが、70歳も実は祝い年で『古稀』って言うらしいです。なんでも『70歳まで生きるのは稀だ』っていう意味の漢詩が由来だそうで。
ほいでね、先週末、父上のその古稀のお祝い、つまり70歳のお誕生会に行って来たのですが。
その前日、ふと思ったんです。
そういえばわし、実家に帰る時に、一度も料理を持参した事が無かったなぁ。
娘が手料理持って遊びに来るのって、やっぱ親としては嬉しかったりするんだろうなぁ。
おねーたま持参の料理、いつも嬉しそうにワシワシ食べてるもんなぁ。
でもなぁ、料理上手な母と姉を持つ末娘としては、今さら出る幕無いんだよなぁ。
絶対かなわないもん、味。
と言うより、あんまりしてないもん、料理(汗)

・・・まぁ、いいか。
いっちょ何か作って持って行ってみるかな。
ちゃんと料理も出来るんですよ、ちゃんと暮らしてますよ、って証にもなって、親としては安心するだろうしな。
・・・んでメニューは何にしよう?
うぅむ、やっぱアレだな、めで鯛とかそういうカンジで祝いの席に相応しいヤツなんだけど、普段あんまり料理してないのがバレないような、なんかこう、いかにも料理デキル!ってかんじのツウっぽい一品で、しかも簡単なヤツ、それでいてさっすが~この料理上手!って褒めちぎられるようなヤツ。
などとむっちゃ無理のある要望を満たしてくれるメニューを検索してみたら。
・・・ありましたよ。

『ぶり大根』

これだ!
酒呑み&魚大好き野郎の父にはウハウハの一品です。
もちろん、わしもウハウハです。
しかし、魚苦手野郎の母と姉は、ぶりアラのグロさに恐れをなして、きっと作った事が無いに違いありません。
目玉イヤァァンな軟弱なヤツらのことですから、ひょっとして食べた事すら無いかもしれません。
・・・ぐへへ。これだ。これだよぉ。
魚の要らないトコを使う料理なんて祝いの席には相応しくなさそうだけど、まぁこの際、そういう固い話は置いておこうよ(主旨がズレてます)。
いかにも料理ツウそうな一品でありながらも、料理ツウ達の検問をかわす事の出来る一品。
そう言えば母は、父の為に頻繁に魚料理を作ってはいるものの、毎回死ぬ気で味見してるって言ってたもんなぁ。
顔付き(尾頭付き?)のお魚の時は、目が合わないようになんとか頑張って対処してるって。
よし。
グロOKで料理ベタなわしが、グロNGで料理上手な女性陣を出し抜く手はこれだ。
ぶり大根しか無いんだぁぁぁぁ!
(親を喜ばすという当初の目的はすでに消え失せている)

さっそく材料を買出しに行き(その名の通りぶりアラと大根だけなんですが)、レシピに忠実に作成してみました。
自分で作った事はないものの、呑み屋ではよく注文する品です。
作り方も味付けも、大体想像していた通りでした。
途中で、ぶりさんの白目?人間で言うところの水晶体?みたいな白い玉が煮崩れて浮き出てきてギョッとしましたが、無事完成。
ちょっと味付けが薄目かなぁ、でも初チャレンジにしちゃ上出来だよなぁ、などと我ながら自画自賛の出来上がりで、わしって料理の天才かもしれない、などとウホウホでパックに詰めて準備した前夜だったのでした。

・・・ほいで、古稀祝い当日。
わし持参のブリ大根を見て、両親は予想以上に驚きました。
『マスターの手料理なんて初めてだなぁ!』と嬉しそうな父。
『あらぁ美味しそうに出来てるじゃないのォ』と笑顔の母。
ぬぉぉぉぅ。むちゃくちゃ喜んでくれとるなぁ。
頑張って作ってよかったよ。うんうん。
やっぱり娘の手料理は嬉しいもんなんだなぁ。
こんなに喜んでくれるなら、もっと早く作って来ればよかったよ。
家事は何も出来ない娘だと思って、さぞかし心配してたんだろうなぁ。
この安心した顔。うんうん。

さっそく味見したいと言い出した父に、うへへぇ作った甲斐があったなぁ~と、小皿にちょこっと盛ってウキウキ差し出しながら、
『あのね、ちょっと味薄かったかもなのぉ。あんまり美味しくないかもしれないけど・・・どうかなぁ?』と、自信満々なのを隠して一応社交辞令で謙遜しつつ、可愛く父の顔を覗き込みました。

箸で一切れ大根を切って、口に運ぶ父。
・・・・・・・・。
眉間にちろっと皺を寄せて無言で箸を置く父。

ぬぇぇぇぇぇ!?(泣)

父の表情の意味を即座に察した母が、父の置いた小皿をこれまた無言で奪い取り、ほんのひと口、口に運ぶ。
魚嫌いの母が、いつも決死の覚悟で魚料理の味見をしているという母が今、魚の、しかもアラの味を思う存分吸い込んだ大根を、死ぬ気で、娘の不始末は私の責任ですぅぅぅとでも言うかの覚悟で、味見している。
・・・・・・・・・。

青ざめた顔で、ぱたりと箸を置く母。

『甘くて味薄くて気持ち悪い

ぬぇぇぇぇぇ!?(号泣)

その後、我がブリ大根は母の手により味付けが大幅修正され、祝いの席の肴の一品として食卓に登場し、美味しい美味しい!と大好評で、あっという間に完売御礼となったのでした。
姪っ子も甥っ子も『えぇ~?これマスターが作ったのぉ?美味しいぃ~』と大喜びで食べていて、駄目叔母のわしのことちょっと見直してくれていた様子なんですが。

すいません。そのブリ大根。
原作はわしですが、アレンジャーは君らの祖母です(泣)
ぬぁぁぁぁ(泣)

複雑な心境のまま、呑んで食べて騒いでバースデーケーキも食べてギャンブル三昧して、楽しいお祝いの夜は過ぎて行ったのでした。

くっそぉぅ。
どうせわしはベビースターラーメン主食で生きてるような駄目人間です。
父上様。母上様。
首根っこ洗ってリベンジは待たないで下さいねぇぇぇぇ(泣)
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