国際市場で、原油価格の下落が続いています。2014年6月、原油価格は1バレル111ドルだった。ところが、それから原油価格は一気に落ちていき、今や1バレル55ドルになっているのだから、半年で50%の暴落である。
原油が安くなったのは、石油輸入国にとっては好都合だ。日本も例外ではない。何しろ日本は、電源に占める化石燃料の比率は88.33%であり、しかもそのエネルギーの90%は、輸入した化石燃料に頼っている。金額で言えば年間27兆円となる。
OPEC石油輸出国機構は、来年の需要が日量2892万バレルに減少するという新たな予測を発表し、それが引き金になって原油価格が下落しました。原油市場の専門家は「OPECの原油の需要減少に関する予測、そして“生産枠を縮小する計画はない”としたサウジアラビア石油大臣の発言が、原油価格の下落を後押しした」と語っています。
イランのローハーニー大統領は、2014年12月10日、閣僚会議で、国際原油価格の異例の下落に触れ、「原油価格の下落は、経済的な要因に留まらず、一部の国の政治的な陰謀によって引き起こされたものだ」と語りました。国際市場における原油の供給状況と原油価格の大幅な下落は、市場に混乱を招き、世界経済に悪影響を及ぼしています。安値の原油1000万バレル以上の生産によるサウジアラビアの石油政策は、この国の行動が完全に政治的なものではないかという憶測を呼んでいます。一部の専門家は、サウジアラビアは、このような政策により、原油市場に圧力をかけようとしているとしています。原油市場では、一方にアメリカ、もう一方にロシアやOPECの加盟12カ国という産油国が存在しており、サウジアラビアのOPECの加盟国です。
国際原油価格の大幅な下落により、APIアメリカ石油協会は、先週の報告の中で、「アメリカの原油の戦略備蓄は、およそ440万バレル増加した」と発表しました。これは、原油価格を下落させ、供給を需要よりも上回らせるサウジアラビアの政策により、アメリカが原油戦略備蓄を増加させることで、エネルギーの変動に対する抵抗力を高めたことを意味します。その一方で、OPECは、最近の報告の中で、「世界の原油需要は、日量2890万バレルに減少するだろう」としました。OPECの現在の産油量は、日量3000万バレルです。原油価格の下落については、別の見方も存在します。それは、シェールオイルの生産企業に対するメッセージとなりうるものでしょう。一部の専門家によれば、アメリカのシェールオイルの生産は、OPECの将来に大きな問題を生じさせるとしています。シェールオイルは、現在、在来型の石油と競い合っており、市場に占めるOPECの割合を縮小させています。このような見方から、原油価格の下落にもかかわらず、OPECが生産枠の維持を決定したことは、アメリカのシェールオイル部門への投資に対する打撃とみることができます。なぜなら、シェールオイルの生産表は、1バレル当たりおよそ70ドルで、その採掘コストの高さを考えると、国際原油の下落により、シェールオイルの生産が選択肢から外れることもありうるからです。いずれにせよ、原油価格の大幅な下落は諸刃の剣であり、OPECから、ロシア、アメリカの大企業といった石油の生産者に襲い掛っています。このため、原油価格の異常な下落による勝者と敗者を明らかにするとすれば、この流れは、アメリカやサウジアラビアをはじめとする全ての産油国に損害をもたらすといえるでしょう。
ソース:iran japanese radio 2014/12/11
[私のコメント]
エネルギー輸出国家であるロシア、ベネズエラは、原油安で採算割れどころか、国家存続の危機に瀕している。ロシアを取り上げると、2014年12月16日未明にロシアの政策金利を10.5%から17%に値上げしたが、ロシア通貨のルーブルの下落が止まらない。つまり通貨、株式、国債、すべて暴落。プーチン帝国の崩壊の危機。 旧ソ連は、エネルギー資源(石油・ガス)の暴落で国家崩壊した。
ロシア株の時価総額(米ドル換算)が、2012年には、8746億ドル。現在は、3000億ドルを割り込む状況。アップル1社の半分以下に落ち込んだ。アップル社は、時価総額6300億ドル。ロシアの原油の採算ラインは1バレル90ドル。ロシアの財政均衡のためには1バレル100ドルになる必要がある。ロシアは、現在、外貨準備金を約4000億ドル保持しているためにすぐには破綻にならない。