授業で面白いシアターゲームをしました。
四角い何も置いていない教室で、9人1チームで3チームつくってやります。
上座にパイプ椅子をふたつ並べ、これを『玉座』とします。ここは王宮の一室、入り口から入って右手の壁に大きな窓がひとつ、部屋の中央に縦長のテーブルがひとつあるという設定で(実際には何もない)、これから9人の召使いが晩餐会の準備を始めます。
9人は最初にクジを引きます。それには1~9の番号が書いてあり、1が一番身分が高い人で9が一番身分の低い人です。その番号は自分だけが見て誰にも教えません。9人はそれぞれの身分の役を5分間演じ、他のチームの人はそれを見て終了後に誰が何番かを当てる、というゲームです。ただし演者は絶対に喋ってはいけません。
これが結構難しいんです。まず誰が何番だか分からないので、周りの人の動きをよく観察しなければいけません。目上の人に失礼があったらいけませんから、見極めて全力で低姿勢です。そして観察しつつ、自分の役を演じなければいけません。
まぁ、前の人達のを見て参考にしよ~とか考えていたら、演劇の神様はそんなにやさしくなかった。・・・雀チームがトップバッターでした。
でも、1番なら威張って指示出せばいいし、9番なら床に這いつくばって拭いてればいいや~とか思ってクジを引いたら、やっぱり演劇の神様は厳しかった。・・・4番。
びっっみょ~ぅ!上も下もいて同じくらいの仲間も3人ほどいる微妙な位置じゃないっすか。なんとしよ~。なんて思っているうちに、教授「ハイ!やってみて。」
・・・ん?だ、誰も動かないぞ。雀か?雀が行くべきなのか?いやしかし、4番だぞ?エライ人とかが先に入って召使いたちを呼ぶんじゃないのか?もしくは一番下のやつが最初じゃないのか?中学の部活も1年が朝一で来ないと先輩にシメられるじゃん。1年が先にいなきゃダメだろやっぱり。・・・ホラ・・・・ホラ・・・・おいぃ~!行かないのかい!もう分かったよ!雀が行けばいいんだろ!(2秒間の攻防)
と、飛び出したはいいものの、・・・何をすればいいんだ~!
4番の仕事って何?掃除じゃないよな?掃除はもっと下のやつだよな?
葛藤の末、雀さんはどこからともなく真っ白なテーブルクロスをとりだし(たフリ)、だいたいの検討をつけてテーブルの上にひろげます。
やってみて気づいたけど、これは見えないテーブルの位置と大きさ、高さを決める重要な役割でした。で、シワをとったり引っ張ったりしながら、微妙に形をアピール。
お、手伝ってくれた人がいた。と言うことはあの辺の人が5~6番くらい。で、箒で床を掃いているのが7~8番、床拭きが9番。あの、こっちをガン見して腕くんでるのがおそらく1番。その隣で指示待ちしてるのが2番・・・。
などと推理しつつ、自分は給仕だと決めて皿を並べる雀さん。レストランでバイトしてて良かった~。・・・ん?掃除してるときに皿ならべていいのか?衛生上よろしくないんじゃ・・・
でも今更しまうこともできないので、強引に進めることに。あとは・・・ワインとグラスかな。厨房に取りに行こ~。と、入り口に向かうと先輩がひとり、扉の横で直立不動。・・・ん?なにやってるんだ?
ワインとグラスを盆に乗せて運び、テーブルに並べながら先輩を観察していると、時々反射的にバッと扉に駆け寄り、しょんぼりと元の位置に戻るというのを繰り返していました。・・・彼は、何の仕事をしてるんだ?そして身分は上なのか?礼していいのか?
とりあえず前を通るたびに軽く会釈。
そうこうするうちにゲーム終了。他チームのシンキングタイム中に、例の先輩に「何役やってたんですか?」と聞いてみると、
「王様が入って来る時の扉を開ける役で、かなり緊張していて誰かが来るたびに王様が来たと思って慌てて扉を開ける人。」
分かるか~い!しかも3番って・・・微妙に高いんか~い!
でも一発で全問正解したチームがいました。すごい観察力。
二回目以降のチームはだんだん遊びが入ってきて、一番身分の低いやつがバケツの水をひっくり返して1番のやつに成敗されそうになるけどみんなが団結して助けるとか、ちらほらサボってるやつがいるとか、窓を開けたときに小動物を入れちゃって慌てて追いかけるとか、どうでもいい小芝居が始まります。
最後のチームには「誰か一人暗殺者がいる」という課題が入っていて、これも当てなければならないという高レベルなもの。別に暗殺者らしい行動はしないので分かるわけないように思えますが、これが以外と分かるんですね。演じる力だけじゃなく、観察眼も鍛えられる面白いゲームでした。
毎日こんな感じです。遊びに学校へ行っているようなもんです。暇な時間があると即興芝居とかが始まって、みんなで遊んでます。楽しい毎日です。