甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

「とんこつエブリデイ」  12月29日  神保町花月「晦の夜の果て」

2008-12-30 23:39:37 | 神保町花月
今回のこの公演が、私の2008年ライブ納めでした。
それにふさわしく、今までで一番いい席で観ることができて!
本当に臨場感たっぷり。声が大きい。動きが大きい。
会場全体に自分達の演技を届けるために、様々な工夫をしているんだなと感じました。
ただ、前の方すぎて、全体が観られなかったこともしばしば…
本当はもう一回行って、違う場所から観てみたかったのですが、やっぱり最初に観た臨場感を忘れたくないなと思ったのと、何よりお金に余裕がなかったので……(苦笑)
そんな、お話の世界にたっぷりと浸ることができた公演のお話を少し。


お話全体としては、「ひとつ屋根の下」みたい、と言うと雰囲気がおわかりいただけるかもしれません。
と言っても、私はひとつ屋根の下が放送されていた時、多分小学2年生くらいで、内容もうっすらとしか覚えていないのですが…
派手な盛り上がりがあるわけでもなく、派手な事件があるわけでもないけれど、とてもあたたかく、じんわりと心に残っていくようなお話でした。


今回の押見さんの役どころは、怒りっぽくて、ちょっと口うるさくて、でも家族を守ろうとする、大家族の優しいお兄ちゃん。
特に、妹はオレが守ってやらなくちゃという意識が強い。
私には兄がいないのですが、お兄さんって多かれ少なかれ、こういう気持ちを持っているものなんですかね?
こんな風に、まっすぐ愛されているのってうらやましい。雄兄みたいなお兄さんが欲しいって思ってしまいました。
で、その今年一番いい席だったので、細かい表情までよく見えて。
私はかなりの時間、押見さんに注目してしまいました。
他の人のセリフを受けて、驚いたり、喜んだり、悔しがったり、辛くなったり……
そんなコロコロ変わるいきいきした表情を見て、本当にすごいなと思っておりました。
咳込んだ妹を見る目がたまらないです。いいな。あんな風に心配されたい(うるさい)
そして、雄兄の車いす姿が、というか、車いす姿の雄兄を演じている押見さんが、もう素敵でした。
体調も悪いだろうに、自分では歩けないのに、それでもちょっと強がったり偉そうにしているとこ。「おおげさなんだって」とかいいながらも、嬉しそうなとこ。こちとらズキュンですよ。どうしてくれるんですか。
だからこそこの後、雄兄がどうなってしまったんだろうとか、どんどん体調が悪くなってしまったんじゃないだろうかとか、そんな雄兄を見ているみんなはどんな気持ちなんだろうとか、そこまで考えてしまって、とてつもなく切なくなってしまいました。
そんなところを描いた続編も見てみたいな。
ただ、そこまでやってしまったら、今度こそ本当に「ひとつ屋根の下」になってしまいそうですが(笑)
そうだ、終盤のブロキャス吉村さんとのシーンも素晴らしかったなぁ。
「オレ、入院するなんて言ったか?」の笑顔が本当にいい。最高です。
とにかく、今回の押見さんの役大好きでした。

池谷さんは最初の登場シーンで、「ん?悪い人なのか?」って思いました。
ピュアな悪さというか、それが悪さだと本人は思っていない悪さというか、まっすぐすぎて人を傷つけているというか。
でも後々その理由が明かされていって、おぉっとなりました。
自分自身も、自分のピュアさによって傷ついてしまったんですね。
男性にとって、父親っていつまでも越えられない偉大な存在なのかな。
それをわざとらしく描いておらず、とても自然に描いている脚本・演じている池谷さんに好感を持てました。
で、笑いの部分では、何と言っても前半でしょ!
押見さん吉村さんのボケ倒しに、徹してツッコミ役に回る池谷さんを見ているのが、楽しくて仕方ありませんでした♪
そして、本当に何を着ても似合いますね!!
今回なんて、ただワイシャツにクリーム色のズボンを履いているだけなのに、すごくおしゃれでインテリ、誠実そうなディレクターに見えました。
台本を丸めて持っているところに、なんのうさんくささもない。すごいな。

そして家城さん。
本当にすごかった。
最後まで徹底して、意地っ張りでスレてる嫌なやつ。
役とはわかっていながらも、途中本気でイライラしてしまいました(笑)
だからこそ、雄兄に対する「入院しろ」にはやられた。
本当は自分のせいでこんなことに……って思っているような、でもそれを上手く言葉に出せないから、強がって乱暴な言い方しかできない。
雄兄に「そんなに頑張る必要があるのか?」みたいに責め立てるところも、別に家を売り払って金が欲しいからじゃなくて、本当に雄兄を心配しているから出た言葉なんじゃないかなって。
ここが一番泣きそうになってしまったところかもしれません。
で、家城さんのなにがすごいかって、表情一つ変えずに平然とボケ倒してくること(笑)
最後みのちゃんを追い出す時、殴りかかる前に叫んでいたのが忘れられない。
ナタデココには笑いが止まりませんでした。
あと、兄弟達を追い出す時に、わざわざ「とんこつエブリデイも早く行け!」と言ったところがなんとも(笑)
素敵だったな~。

今回一番の収穫だったのが、ブロキャス吉村さんの演技を見られたことかもしれません。
本当に失礼なんですが、こんなに演技が上手いとは思っていませんでした!
優柔不断で、いつも正兄か雄兄の意見に従うことしかできなかったのに、最後には成長して、自分の意見を持って、早苗と雄兄にぶつける。
難しいところはたくさんあっただろうに、それを全然感じさせなくて、すごく自然で、本当にすごい!と思ったのでした。
ブロキャス、漫才だけじゃなくて、コントももっとやっていいと思うよ!見たいよ!(趣味を押しつける)

私が今回一番心を奪われたのは押見さんなんですが、頑張ったで賞があるとしたら、完璧に岡部さんです!
すっとぼけたキャラがハマりすぎ☆
でもそんな中の「何もしようとしない伸兄よりはマシ」とか「家を出て行った人達が何言ってんだよ」みたいなセリフには、頼りなさそうに見えるけれどちゃんと自分なりに色々と考えているんだな、思うところがあるんだなと感じて、なんかもう、いいなぁ。
あまりに本人のキャラと似すぎているので、演技が上手いのかどうかは判断しがたいのですが(笑)、これからにすごく期待出来るんじゃないかと思いました。


あとは気になったことを少しずつ。

・ネギって、あんなにきれいに粉々になるものなのね!

・にしじがボコボコにされる時、いちいち音楽が流れるのが(笑)

・武田さんが可愛すぎる

・吉村さんに投げ飛ばされた時、泉さんが、あまりにも痛すぎるのか一瞬笑ってしまうのが、痛そうと思ってもちょっと笑ってしまってごめんなさい(笑)

・今回のタイトルは、お話の途中、関根さん(notスター)演じる誠六のセリフより。
 「オレ小学生の時、とんこつエブリデイってあだ名つけられてた」
 これがハマりにハマって、笑いが全然収まらず、尾をひいてどんどん大きくなっていきました!
 関根さん最高だよ!(笑)

・カーテンコールで
 岡部「岡部ストップ!」
 ………。
 押見「えっ、どうしたの?」←真顔


あ~気付いたら長くなってしまいました。
色々な魅力があって、書けば書くほど、考えれば考えるほど、登場人物の思いが見えてくるような作品でした。
押見さんには、またお兄さん役をやってほしいな♪
1年の最後に、心温まるお話が見られて、本当によかったです。