奄美大島でのノネコ駆除計画から、論争が巻き起こり、様々な問題が提起されています。
環境省が求めたパブリックコメントには、数千の所見が寄せられ関心の高さを示しました。
今回は野良猫を“ 排除 ”することについて考えてみたいと思います。
「奄美ノネコ管理計画」は、外来ネコ問題研究会の主張がガイドラインとなっています。
通称 外ネコ研は、環境省との連携し、国または地方自治体に政策提言を行う大学教員や獣医師などの専門家集団。
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〈 外来ネコ問題研究会のネコ問題解決策 〉
● 飼いネコ/室内飼養を徹底する
● 野良猫/すべて捕獲し、自治体の施設に一定期間収容し、譲渡先がなければ殺処分する
● ノネコ/早急に殺処分する
(法律上、即殺処分の対象)
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これは動物愛護ではありません。
私たち愛護活動をする者も、過酷な屋外で過ごすことを余儀なくされる猫が、1匹でも少なくなるよう願っています。
目指すところは同じなのですが、プロセスが真逆、よって結果も異なります。
もしも、このまま森林にいる猫を片っ端から捕まえ、殺処分することを10年に渡って続けても、危険要因は何も一掃しないし、生態系保全には何ら影響ないと確信しています。
一言で云えば、意味の無いこと。
猫たちは無駄死、税金の無駄遣い。
現在、私たちが取り組んでいるのは、不幸な命を増やさないため、飼い主のいない猫に不妊去勢手術をすること。
そして、野良猫にも命があり、手術を施した後は一代限りの地域猫として管理していきましょう、というもの。
共に生きながら、野良猫トラブルを減らしていく方策です。
● 野良猫を駆除しても問題は帰着しません。
● 野良猫が増える最大原因は、捨てる人がいるからでも、餌やり行為でもなく、不妊去勢手術をしないから。
● 野良猫には繁殖制限が必須と周知することがトラブル解決の早道。
東京では、必死に生きる外暮らし猫たちが、少しでも安全に過ごせるよう願った人々の地道な努力で ↑ 上記が広がりました。
30年以上かかり、成果が現れてきました。
もう私が受ける相談は「子猫が生まれたから引き取って下さい」ではありません。
「不幸な猫を増やしたくないので力を貸して下さい」です。
そう、人の意識が排除ではなく、共生へ向かっているです。
排除は安易な手段のため、マンパワーや知恵は必要ありません。
だから繰り返され、何一つ変化しません。
排除を選択すれば、共生は手に入りません。
共生するということは、排除なき平等な社会であるべきだと思います。
しかし、駆除推進派の攻撃はスゴかった…あの罵り潰そうとするエネルギーってなんだろうと。
最初は、無理を通そうとするが故と思ったりしたのですが、理由も根拠もなく「全て即殺せ!」の一点張りに、醜悪な思考だと感じた瞬間、合点しました。
人間には、差別して安心したい、あるいは排除対象を欲する本能があるのでしょうね。
理屈をつけて支配したがる、そうすれば強者になれた気がする…。
私は、長年 携わっている野良猫のことだから、胸を張ってNOと声を上げられましたけれども。
他者の意見に流されず、自分の頭で考え、自身の心に問うのは大切なことだと、あらためて思い入りました。
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【 ねこてん 公式HP 】