先日、第一話をUPした時の反響はかなりのものでした。[更新ボタン]をクリックする度に、カウンターの数字が上がっていたのには驚きました。気を良くして第二弾です。
「見つめる男」
このお話は以前にも書いたことがあると思います。ご記憶のある方は・・・いらっしゃいませんよね。それでは再度の投稿です。
そのアパートはたしか雑木林の中を通る『牢屋坂』という名前の坂(なにせ昔の話でこの名前についての記憶は定かでない)の中ほどにあり、坂の上には人目につかぬよう墓石が数基ひっそりと建っているそんな場所にあり、いわゆる「出る」と言われているような所でした。
ある晩、疲れきった体をベッドに横たわせると、そのまま電気も消さずに眠ってしまいました。時刻にして何時ごろだったでしょう、ふと目を開けるとそこに男だ立っていたのです、こちらを見つめながら・・・。初めはほぼ全身が見えていたのですが、視線が合ったとたん足から腰の辺りまでスッと消えていきましたが、消えたのはそこまで後はそのまましばらくそこに居ました。その男は優しくこちらを見つめるだけでして、僕には全く恐怖心が沸いてきません。それどころか「これがいわゆる幽霊という奴かもしれない。くそーっ!カメラがあったらなぁ。」などと変なことを考える始末です。だって人間の目に見えるんですからカメラにだって写る筈です。もっともそう考える前にいろいろ自己状況を確認しました。
①自分は確かに今覚醒しているか。
「ベッドから起き上がって深呼吸。さらに頬をつねって痛さを確認。」
②目にゴミが入ってそれが人の姿として網膜に捉えられているかも。
「自分の顔を男からそむけ、男もついて来たら可能性ありです。」
①は○マル②は×バツでした。やっぱりそこに居るんですねぇ。しばらくまんじりともせず見つめていたのですが、どうでもいいやと再び眠ってしまいました。ちなみに現在では一日24時間・一年365日カメラを持っていますが、残念ながらこのような経験は後にも先にもこの一度だけでした。