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ご在位20年

2009-11-13 20:55:37 | 皇室
本年は天皇陛下ご即位20年の記念すべき年です。平成2年に即位礼正殿の儀が行われた日である昨日11月12日には、政府主催の「天皇陛下御在位二十年記念式典」が国立劇場で、また民間団体主催の「御即位二十年をお祝いする国民祭典」が皇居前広場において行われ、両陛下も出席されました。皇居の宮内庁庁舎前では記帳所が設けられ、9000人以上が訪れたとのことです。

国民の1人として、改めて陛下のご在位20年のお祝いを申し上げます。あわせて、陛下及び皇族方のご健勝と皇室の弥栄をお祈り申し上げます。

私自身は今週、大阪府庁において記帳いたしました。また、先週ご即位20年記念の京都御所一般公開にもまいりました。

昭和64年1月7日、昭和天皇の崩御に伴い、陛下は皇室典範第4条に基づいてただちに即位されました。またこの日には国事行為として剣璽等承継の儀が行われています。9日には国民の代表が陛下と即位後初めて会う、即位後朝見の儀が行われました。翌年11月12日には内外に即位を宣告する即位礼正殿の儀、同22~23日には即位後初の新嘗祭である大嘗祭が行われています。

陛下は即位後朝見の儀では、次のように述べられました。
顧みれば,大行天皇には,御在位60有余年,ひたすら世界の平和と国民の幸福を祈念され,激動の時代にあって,常に国民とともに幾多の苦難を乗り越えられ,今日,我が国は国民生活の安定と繁栄を実現し,平和国家として国際社会に名誉ある地位を占めるに至りました。

ここに,皇位を継承するに当たり,大行天皇の御遺徳に深く思いをいたし,いかなるときも国民とともにあることを念願された御心を心としつつ,皆さんとともに日本国憲法を守り,これに従って責務を果たすことを誓い,国運の一層の進展と世界の平和,人類福祉の増進を切に希望してやみません。


即位礼正殿の儀でのご発言は以下のようなものです。

さきに,日本国憲法及び皇室典範の定めるところによって皇位を継承しましたが,ここに「即位礼正殿の儀」を行い,即位を内外に宣明いたします。
このときに当たり,改めて,御父昭和天皇の六十余年にわたる御在位の間,いかなるときも,国民と苦楽を共にされた御(み)心を心として,常に国民の幸福を願いつつ,日本国憲法を遵守し,日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い,国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって,我が国が一層の発展を遂げ,国際社会の友好と平和,人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。


前者での「皆さんとともに日本国憲法を守り」とのご発言については、「護憲発言」と報じられるなど、当時さまざまな議論を呼びました。しかし文脈から見て、"守る"とは"obey"とか"follow"の意味であり、決して"reviseしない"という意味ではないのは明らかでしょう。憲法第99条に「天皇…は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあることに鑑みて、当たり前のご発言です。後者において「日本国憲法を"遵守"」と述べられていることからも、陛下の真の御心がそこにあることは明白です。

さて、陛下はまさに「いかなるときも国民とともに」、「常に国民の幸福を願い」とのお言葉を、20年間常に念頭に置かれてこられました。憲法第7条にある国事行為のみならず、数多くのご公務をなされています。陛下はご在位中にすべての都道府県を訪問され、国民とのふれあいを大切にしてこられましたが、とりわけ被災地の住民をお慰めになった際のご様子は、その象徴に思われます。

陛下は平和に対する強い思いを示してこられました。広島県、長崎県、沖縄県、硫黄島、そしてサイパン島等のご訪問にはその御意がよく表れています。

陛下は伝統的な祭祀にも熱心に取り組んでこられました。宮中祭祀は国家の繁栄と国民の幸福を陛下がお祈りになるものですが、まさに皇室の伝統が「国民の幸福を願い」という陛下のお気持ちとまったく同じであるように感じられます。また、伊勢神宮や16の勅祭社にも勅使を送ってこられました。靖国神社も勅祭社の1つですが、春秋の例大祭には欠かさず勅使を送られています。

国際親善にも尽力されました。宮内庁によれば訪問された国の数はは32カ国です。中国ご訪問への批判があったり、英国やオランダのご訪問の際には現地で戦時中の捕虜処遇問題がクローズアップされるなど、いろいろご苦労も多かったことと思われます。しかし、陛下はいずれのご訪問の際も、我が国と各国の親善関係を発展させるご意志が強かったことは間違いありません。また、韓国との関係も桓武天皇の血筋について触れた「ゆかり」発言をされるなど、非常に気遣ってこられたのがわかります。なお、韓国政府は日韓併合100周年の来年のご訪韓を要請していますが、これは天皇の政治利用につながりかねません。慎重な対応が求められます。

さて、今日皇室に関する様々な議論がなされていますが、とりわけ皇太子同妃両殿下については、さまざまな驚くべき論調も見受けられます。陛下は6日の記者会見http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h21-gosokui20.htmlにおいて「将来の皇室の在り方については,皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思います。二人は長年私と共に過ごしており,私を支えてくれました。天皇の在り方についても十分考えを深めてきていることと期待しています」と述べられました。また以前の会見http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h21-gokekkon50.htmlでは、「個々の行事をどうするかということは次世代の考えに譲りたい」と発言されています。皇后陛下も「(皇太子殿下と秋篠宮殿下の)二人がお互いを尊重しつつ,補い合って道を歩み,家族も心を合わせてそれを支えていってくれることを信じ,皇室の将来を,これからの世代の人々の手にゆだねたい」と述べられました。即ち、両陛下は次世代の皇太子殿下と秋篠宮殿下に委ねたいという御心をお持ちであることが分かります。

以前も述べたように、皇太子同妃両殿下が将来それぞれ天皇と皇后になられることには、大きな心配はありません。確かに現在の天皇皇后両陛下の「共に歩む」というお姿は素晴らしいものです。しかし、先代の天皇の姿がそのまま次期天皇に受け継がれねばならないわけではないでしょう。もちろん雅子妃殿下のご体調が快復し、ご公務や祭祀へもっと出席されることを願う気持ちはありますが、ご体調がすぐれないために欠席することに対して、異議を唱えようとは思いません。

それよりも、皇位継承の不安定性や若者の皇室への無関心という2点こそが今後の大きな問題であるとは以前も申し上げました。前者については、改めて述べたいと思います。後者については、先日の朝日新聞でインタビューされていたイスラエル人の教授も、国民、特に若者の皇室への無関心に懸念を示していましたが、同感です。20代の無関心層は7割以上との眉をひそめたくなるデータもあるそうですhttp://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/contents/backnumber/0330/。確かに我々の世代は、日本神話や祝祭日の意義等、皇室に関わる知識を学校で教えられた記憶はあまりありません。このような無責任な教育が継続されれば、子供たちに日本人としてまっとうなスピリットを涵養させることはできません。戦後教育の責任は非常に大きいと思われます。

今後このような状況をいかに改善するのか。さまざまな課題が多いとはいえ、鳩山内閣には真剣に向き合ってほしいと切に願います。





※宮内庁「天皇陛下御即位20年記念特集」http://www.kunaicho.go.jp/20years/

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