ロシアのメドベージェフ大統領は、昨日北方領土の国後島を訪問した。ロシアや旧ソ連の指導者の北方領土訪問は初めてだという。
北方領土は言わずもがな、我が国の固有の領土である。また、93年に細川・エリツィン両政権下で出された東京宣言によれば、ロシア側も北方四島に領土問題があることを認めている(メドベージェフ政権も、この宣言を踏襲している)。従って、今回の訪問は我が国の立場は勿論、ロシア自身の立場とも相容れず、断じて許されない。我が国の立場としては、ロシア元首による不法入国に他ならない。
元々北方四島のみならず、南樺太と千島列島も我が国の領土であった。大東亜戦争末期、旧ソ連は日ソ中立条約に反して、不意討ちでこれらの領土を奪った。満州や朝鮮も占領された。これらは、我が国や満州国に対する明らかな侵略である。この侵略は「終戦」後も続き、結果として一度もロシア領であったことのない北方四島までもが、無惨にも奪われてしまったのだ。
我が国は1951年締結のサンフランシスコ平和条約において、南樺太と千島列島を放棄した。ただし、この「千島列島」には北方四島は含まれないとするのが、現在の我が国の立場だ。理由は、北方四島は日露和親条約の時点において、我が国の領土ということで日露の見解が一致しており、その後結ばれた樺太千島交換条約によって我が国の領土となった「千島列島」とは異なるということだ。
また、サンフランシスコ平和条約に旧ソ連は署名しておらず、南樺太及び千島列島の帰属は未確定であるというのも、我が国の一貫した立場だ。日ソ・日露間の領土交渉は、それらの帰属についてから始めるのが、本来の筋であろう。
なおロシア側は、サンフランシスコ平和条約の「千島列島」に北方四島が含まれると解釈しているという。ロシア外務省の報道官によれば、「国際法によって認められたロシア連邦の領土であり、第二次世界大戦の結果、特に国連憲章によって確定された」という立場であり[http://japanese.ruvr.ru/2010/10/29/30180695.html]、南樺太、千島列島、北方四島(ロシアでは北方四島も合わせた千島列島を、「クリル諸島」と呼ぶ)全てがロシア領とされている[http://www.russia-emb.jp/about_russia/map.html]。ただし、1956年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞・色丹の二島を返還することを約束している。
さて、今回の「訪問」を許した直接的な原因は、やはり菅政権の外交姿勢であろう。尖閣諸島の漁船衝突事件に対する対応がお粗末すぎたり、今回の訪問前に十分な抗議を表明しなかったことで、ロシア側に甘く見られたのではないか。
ただ、全ての責任を民主党政権に帰するのはフェアではない。この問題が長く未解決であった責任は、当然長く与党であった自民党にある。最近の麻生内閣においては、首相が帰属が確定していない樺太(サハリン)南部を訪問した。これは事実上、南樺太がロシア領であると認めたに等しい。このような原理原則を歪める様な言動が、何度もあった。
今後与野党は自らの過去について、反省すべきは反省し、北方領土問題の解決に向けて真剣に努力してほしい。
【関連HP】
・内閣府北方対策本部 http://www8.cao.go.jp/
hoppo/
・外務省 北方領土問題 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/index.html
北方領土は言わずもがな、我が国の固有の領土である。また、93年に細川・エリツィン両政権下で出された東京宣言によれば、ロシア側も北方四島に領土問題があることを認めている(メドベージェフ政権も、この宣言を踏襲している)。従って、今回の訪問は我が国の立場は勿論、ロシア自身の立場とも相容れず、断じて許されない。我が国の立場としては、ロシア元首による不法入国に他ならない。
元々北方四島のみならず、南樺太と千島列島も我が国の領土であった。大東亜戦争末期、旧ソ連は日ソ中立条約に反して、不意討ちでこれらの領土を奪った。満州や朝鮮も占領された。これらは、我が国や満州国に対する明らかな侵略である。この侵略は「終戦」後も続き、結果として一度もロシア領であったことのない北方四島までもが、無惨にも奪われてしまったのだ。
我が国は1951年締結のサンフランシスコ平和条約において、南樺太と千島列島を放棄した。ただし、この「千島列島」には北方四島は含まれないとするのが、現在の我が国の立場だ。理由は、北方四島は日露和親条約の時点において、我が国の領土ということで日露の見解が一致しており、その後結ばれた樺太千島交換条約によって我が国の領土となった「千島列島」とは異なるということだ。
また、サンフランシスコ平和条約に旧ソ連は署名しておらず、南樺太及び千島列島の帰属は未確定であるというのも、我が国の一貫した立場だ。日ソ・日露間の領土交渉は、それらの帰属についてから始めるのが、本来の筋であろう。
なおロシア側は、サンフランシスコ平和条約の「千島列島」に北方四島が含まれると解釈しているという。ロシア外務省の報道官によれば、「国際法によって認められたロシア連邦の領土であり、第二次世界大戦の結果、特に国連憲章によって確定された」という立場であり[http://japanese.ruvr.ru/2010/10/29/30180695.html]、南樺太、千島列島、北方四島(ロシアでは北方四島も合わせた千島列島を、「クリル諸島」と呼ぶ)全てがロシア領とされている[http://www.russia-emb.jp/about_russia/map.html]。ただし、1956年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞・色丹の二島を返還することを約束している。
さて、今回の「訪問」を許した直接的な原因は、やはり菅政権の外交姿勢であろう。尖閣諸島の漁船衝突事件に対する対応がお粗末すぎたり、今回の訪問前に十分な抗議を表明しなかったことで、ロシア側に甘く見られたのではないか。
ただ、全ての責任を民主党政権に帰するのはフェアではない。この問題が長く未解決であった責任は、当然長く与党であった自民党にある。最近の麻生内閣においては、首相が帰属が確定していない樺太(サハリン)南部を訪問した。これは事実上、南樺太がロシア領であると認めたに等しい。このような原理原則を歪める様な言動が、何度もあった。
今後与野党は自らの過去について、反省すべきは反省し、北方領土問題の解決に向けて真剣に努力してほしい。
【関連HP】
・内閣府北方対策本部 http://www8.cao.go.jp/
hoppo/
・外務省 北方領土問題 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/index.html