新宿花園神社の御酉様の季節になると、ああ今年ももうわずかだなあと思い、2年ほど前に御酉様の境内から消えたあのおミネさんの見世物小屋を懐かしまずにはいられない。白い大蛇と寝起きし、蛇を食いちぎったり、口から火を吹いたり、大奮闘だったおミネさんの大道芸は残念ながら継承する人もなく、もう見られないのだろうか。
ボージョレ・ヌーヴォーなどをやりながら、とある飲み屋でそんな話にふけっていると、オートバイサーカスの話題が出て、見たことのない連中にその感動を熱く語っていたら、なんだかどうしてもオートバイサーカスが見たくなってしまったのだった。
田舎の冬祭に毎年来ていたのは「吉本オートバイサーカス」、もはやこれもおミネさんと同じく見ることはできないだろうと思っていたら、なんとまだやっているではないか。「ワールドオートバイサーカス」、北海道や東北のお祭で結構見られるらしいと分かったので、これはもう、いつか見にいくほかはあるまいと決意したのだ。
けばけばしいテントのなかに拵えたでっかい木製の樽状のサーキットを、オートレースのようなシンプルな車体にバリバリという音と排気ガスをまきちらして、疾駆するライダーがかっこいい。ライダーはまず入口で、ルームランナーみたいなベルトの上でデモンストレーション走行をして見物客にアピールする。これにつられて入場したお客は、筒型をした樽状のサーキットの天辺から中を覗き込むようにして観戦するのだが、最初は壁に斜めにかかったスノコのような助走路を周回し、加速がついたところで一気に樽の壁を駆け上がってほぼ壁と直角になるような体勢で周回するのである。普通にグルグル回っているわけではない。手放し、目隠しなどの曲芸を披露し、客が、たぶんいまは千円札だろうが、昔は100円札を走路に差し出すと、目の前までせりあがってきて、片手でさっと手にして走り去るや、今度はその100円札を目隠しにして手放し走行するのである。歓声と賞賛の拍手で沸く場内は白熱灯の怪しい光に照らされて、まるでロートレックのムーランルージュの絵のようだったりする。
あの頃俺はまだ餓鬼だった。ああ、懐かしい、そして見たい!オートバイサーカス!
ボージョレ・ヌーヴォーなどをやりながら、とある飲み屋でそんな話にふけっていると、オートバイサーカスの話題が出て、見たことのない連中にその感動を熱く語っていたら、なんだかどうしてもオートバイサーカスが見たくなってしまったのだった。
田舎の冬祭に毎年来ていたのは「吉本オートバイサーカス」、もはやこれもおミネさんと同じく見ることはできないだろうと思っていたら、なんとまだやっているではないか。「ワールドオートバイサーカス」、北海道や東北のお祭で結構見られるらしいと分かったので、これはもう、いつか見にいくほかはあるまいと決意したのだ。
けばけばしいテントのなかに拵えたでっかい木製の樽状のサーキットを、オートレースのようなシンプルな車体にバリバリという音と排気ガスをまきちらして、疾駆するライダーがかっこいい。ライダーはまず入口で、ルームランナーみたいなベルトの上でデモンストレーション走行をして見物客にアピールする。これにつられて入場したお客は、筒型をした樽状のサーキットの天辺から中を覗き込むようにして観戦するのだが、最初は壁に斜めにかかったスノコのような助走路を周回し、加速がついたところで一気に樽の壁を駆け上がってほぼ壁と直角になるような体勢で周回するのである。普通にグルグル回っているわけではない。手放し、目隠しなどの曲芸を披露し、客が、たぶんいまは千円札だろうが、昔は100円札を走路に差し出すと、目の前までせりあがってきて、片手でさっと手にして走り去るや、今度はその100円札を目隠しにして手放し走行するのである。歓声と賞賛の拍手で沸く場内は白熱灯の怪しい光に照らされて、まるでロートレックのムーランルージュの絵のようだったりする。
あの頃俺はまだ餓鬼だった。ああ、懐かしい、そして見たい!オートバイサーカス!