ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

あの戦争は阿片戦争?

2006年09月08日 | 
 陸軍中野学校というと、まず市川雷蔵主演の大映映画「陸軍中野学校」が思い出される。あるいは、ルバング島の小野田さんかも。ぼくにとっては高校時代の数学の教師が中野学校出身だったことが一番身近だろうか。本人が語ったことはないが生徒は周知のことで、雷蔵映画のイメージと相まって、教壇でのクールな振る舞いが元スパイのイメージをさらに膨らませていたかもしれない。

 さて、『陸軍中野学校-情報戦士たちの肖像』斎藤充功著(平凡社新書)は、阿片の密売で戦争資金を捻出していた国策会社昭和通商に陸軍中野学校の卒業生が社員として派遣されていたという秘話から始まり、次第に少なくなっていく陸軍中野学校出身の生存者にスポットを当てる。その取材を通じて中野学校の実態に迫り、さらには、戦後のマッカーサー暗殺計画、内閣情報調査室や自衛隊の諜報部門設立への卒業生たちの関与、陸軍登戸研究所(明治大学の生田校舎に跡地がある)における中国紙幣の偽札製造による中国経済の攪乱作戦への中野学校出身者の関与などにも触れて、中野学校と戦中戦後の裏面史を概観するには面白い本ではある。

 日中戦争が一面で阿片戦争であったことは、さまざまな本で紹介されてもいる。あれだけの戦争経費を捻出するには阿片が手っ取り早かったのだろうが、日本の特務機関だけでも複数が売買にかかわっており、戦前の三井、三菱の商社、いまや首相候補一番手の安倍晋三の母方の祖父岸信介、ロッキード事件の児玉誉士夫などなど出てくる名前もご立派な名前ばかりだ。この辺の事情については上海を拠点に阿片王といわれた里見甫の生涯を描いた佐野真一著「阿片王 満州の夜と霧」や西木 正明著「其の逝く処を知らず―阿片王里見甫の生涯 」などに詳しくいずれも大変面白い。

 さて、阿片(麻薬)と偽札というとこれは今やあの北の国の国策ではないか。日本軍の遺産は立派に反日を掲げる彼の国に継承されているんですね。

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