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ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

落陽の荒野で頬をなでる風を感じるジャズ、W・ネルソンの「アメリカン・クラシック」

2009年09月15日 | 音楽
 ウィリー・ネルソンの「アメリカン・クラシック」がいい。トミー・リピューマのプロデュースによるスタンダード集で、ネルソン単独では初のブルーノート盤。ジャズとは異なったジャンルのアーティストにジャズを歌わせたり、いわゆるジャジィといった分野の開拓に熱心なトニー・リピューマらしいアルバムだ。

 ダイアナ・クラール、ノラ・ジョーンズが競演、バックもジョー・サンプル、クリスチャン・マクブライド、ジェフ・ハミルトンなど強力だ。カントリー歌手がジャズを歌うという趣向のアルバムなのだが、ジャズやアメリカのスタンダード・ソングに敬意を払いつつもジャズなど歌おうとしていないネルソンの歌の力に聞き惚れてしまう。カントリーといえばこの声というほどの独特の鼻にかかった声で、「ニアネス・オブ・ユー」「フライ・トゥー・ザ・ムーン」「アイ・ミス・ユー・ソー」「エンジェル・アイズ」などをしみじみと歌う。でも、夜の音楽にはならない。テキサスの青空とか荒野に沈む夕日とか、そんな風景のなかで頬をなでる風を感じているような気分になれるのだ。スタイルはジャズだけれど、そういう体裁やジャンルを超えたネルソン節になっているところがすばらしい。ストリングスは邪魔だけれど、それさえネルソンの歌の前では鳥の鳴き声程度にしか聞こえない。

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