晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

今更ですが、「空中プランコ」読了。

2008年04月03日 18時16分20秒 | 趣味
旅行の時、ホテルで足裏マッサージを受けました。
「頭を使うお仕事してます?」
いいえ。お仕事してません。頭も使っているとは・・・

なんだか、そういうことでストレスがかかっている兆候が出ているそうで。
特に左足に。
肩を揉んでもらっても、左肩の凝りがひどいと言われる。
思えば、私は肩に力をいれて生活してるかも。
「肩に力のはいった生き方」じゃありません。
単純に、寝る時とか、無意識に肩に力が入っているんです。変なの。

奥田英朗著「空中ブランコ」は、「肩の力を抜けない」生き方をしている人たちが強迫神経症になって「伊良部一郎」という神経科の先生に診てもらうお話。

空中プランコを跳べなくなってしまったサーカスの団員。
尖端恐怖症のヤクザ。
顰蹙をかうことをしたくなる精神科医。
スローイングが出来なくなった野球選手。
原稿が書けなくなった恋愛小説家。

「伊良部一郎」先生は見るからに無能。愚鈍にさえ見える。
見た目も「とど」だし。
その実・・・てなことはなくて、治療らしい治療はせず、ただビタミン注射をしては、針が皮膚に刺さるところをウットリと見ている。

けれど、その無邪気で子供のような言動に付き合わされているうちに、患者達の肩の力が抜け、治癒までいかずとも、自分に向き合えるようになっていくというお話。
「伊良部」の時々語る、ごく当たり前の事が、プライドや防衛本能に固まった患者の心に響いていく。苦笑と共に。

この本の面白いところは、語り手が「患者」側なんだよね。
「伊良部」という先生を中心にしているのに。
まあ、「伊良部」に語らせたらこの天真爛漫さや脱力系はだせないんだろう。

この先生に正直診てもらいたいと思わないけど、この先生みたいになってみたいとは思う。
大病院の跡取りで、患者などほとんど来ず。
でもそんなことちっとも気にせず、自分が楽しい事しか考えていない。
それでいて憎めない。人の心にすっと入っていけてしまう。

いないか。そんな人。

ついでに言うと私は顔面にも力が入っています。
歯医者さんに「なんかスポーツしてますか?奥歯を噛みしめる人みたいに磨り減ってるけど。」って言われました。
子供に「お母さんの寝顔って、すごく険しい。眉間にしわ寄せて苦しそうな顔をしてる。」って言われました。
寝顔が怖い女って・・・。