のりひめのひとりごと Monologue of Noriko

2012年からオーストラリアと日本を行き来しています。日常のいろいろを書いてます。

のりひめの過去ばなし8.ヤクザの姉御みたいなお客様にも重ね売り

2011-06-20 14:38:21 | のりひめの過去ばなし
●ヤクザの姉御みたいなお客様にも重ね売り

渋谷パルコと違いまして、たまにはヤクザの姉御みたいな人がきます。

すごい剣幕でお店に入ってきて
「ちょっと!この靴!どういうことよ!」とはいていた靴をぬいで
床になげつけました。

夏のバーゲンで数日前に売れた、花柄にパンチングした白いハイヒールでした。
お店のスタッフはみんなびくびくしています。

「お客様、どうされました?」といって近づくと、
「この靴!痛いじゃないの!返品するわ!」とすごい剣幕。
靴をぬいで仁王立ちしている足を見てみると、あららら、ほんとに赤く腫れています。

しゃがんで「これは、痛いですね・・・。大丈夫ですか?」
「大丈夫も何も、歩けないわよ!どうなってるの?!
わたしのだんなはね、コレなんだから!」とほっぺを指で斜め切りのポーズ。

「お客様、どうぞおかけください。スリッパをどうぞ。」
お客様は何もいわずにスリッパをはいてぷりぷりとしながら椅子にかけました。

「お客様の場合は、甲がうすいきれいなお足ですので、
こうした高いヒールですと前に足がすべって、痛くなってしまうことがあるのですね」
と足をやさしくなでながらいいました。

座ったせいか、ちょっと気がおさまってきたらしく、お客様。「あら、そう」

そして前部分にフェルトをいれ、「この靴の場合は、すこし調整すると
楽にはくことができますよ。デザインはとてもお似合いですものね。」というと、
「気に入って買ったのよ」

・・・実はこの靴、一回はいてしまっているし、返品を受けることはできません、が、
そんなことはいえません・・・。

「お客様の場合は、ほんとうはこういうデザインを選ばれると
足がいたくならないんですけどね。」と
別のセールのはきやすい靴をさりげなく試着してもらいます。

「すごく楽。痛くない・・・」だいぶほっとしています。

「ヒールが低くてもお客様のファッションをそこねませんでしょう?」というと
「ほんとね」と鏡の前で右左に。

「こちらのハイヒールは痛くなくはけるように、いま調整してきますね。」
といってお客様を一人にし、すこし時間をおきました。
スタッフははらはらと遠巻きに陳列変えなどしながらみています。

ひとりになっている間に、お客様はほかの棚をみたり、
今履いた楽な靴を履いてみたりして、だいぶおちついて普通の感じになってきました。

「このように調整しましたが、いかがでしょう?
足がすこし赤くなっていらっしゃるのでまだ痛いかもしれませんが・・・・」

「足がなおったら履くわ。今日はこれを履いていけばいいわね。」
と、お客様はさきほどおすすめした靴を指しています。

やった!

返品をまぬがれ、一足さらに買っていただけました。
最初の剣幕もどこへやら、楽しげに帰っていかれました。
スタッフ一同 いえ~い!とストックで盛り上がったのはいうまでもありません。

ひとつひとつ、何をしたらお客様が喜ぶのかを、お客様が教えてくれたのでした。


読んでいただきありがとうございます。
ここまでは販売のときの体験をいくつか書きましたが、
このあとはちょっと違う話になります。



次回は●売上げ不振に苦しみ、企画書を描いてみるです。

のりひめの過去ばなし7.販売ノウハウコンテストで特賞、ヨーロッパ旅行獲得

2011-06-20 08:31:16 | のりひめの過去ばなし
ビジネス書の出版を目指して、
まずはいままでの人生の振り返りをしてみてます。
気が向いたらおつきあいくださいませ♪

コメントなどもいただければうれしいです^^

●販売ノウハウコンテストで特賞、ヨーロッパ旅行獲得

この年に「販売ノウハウコンテスト」というのが始まりました。
これは各販売員が販売ノウハウについてレポートを出し、
2年がかりで選抜され最後は役員の前でプレゼンをするというコンテストでした。
会社としては、個々人のノウハウを共有して全体のレベルアップを
ねらっていたのです。

わたしのレポートは最終選考まで残り、役員の前でのプレゼンテーションを
行いました。社員500名ほどの中、最後は10名ほどになっていたようです。

わたしの販売ノウハウレポートの内容は、
「自社の靴を履いているお客様は購買確率が高い。」とか、
「すでにたくさん買い物しているお客様は購買確率が高い」とか、
「レジで会計を待っているときにもう一足すすめると購買確率が高い」とか、
「お客様に『ありがとう』といってもらうたこれをするとよい」とか、
「ストッキングの色のアドバイスを求められたら、
その方はもうファンになっている」など、
そのような内容をいろいろつづったものでした。
普段接客している人なら、そんなに目新しい話でもないと思います。

ただ、プレゼンの結びの部分で、「わたしはこれまで苦情をいただいたことは
一度もありません」と言いきったことが(事実です)、役員に響いたそうで、
最優秀賞をいただき、前は自費で行った海外研修に、
こんどはヨーロッパに無料で行かせていただきました。
会社もしゃれたことをするもので、
お店に受賞の祝電がとどいたときにはとても嬉しかったです。


●女性最短で店長になる

 副店長になった翌年、会社の中では最短で女性店長になりました。
(男性はもうちょっと早い人がいました。)
普通店長代理から始まるのですが、わたしは最初から店長でした。

 配属先は18歳・24歳の男子と22歳・23歳の女子社員と
26歳のわたしで構成された5名メンバーから成る小さな年商1.5億ほどの
川崎アゼリア店でした。
シャルル・ジョルダンから一変、ティーンズから30代女性まで
すこし若い世代のためのカジュアルな平均単価一万円の靴の店です。

 ここでは大変楽しい、青春な毎日となりました。
 初めて「店長」といわれるのもくすぐったくて、最初のうちは毎回照れていました。
 メンバーが「一足決まりました~!」とレジに持ってきてお客様が帰ると、
「お すごい。いま どうやって決まったの?」とわたしがききます。

「実はこうやって決まりました!」とメンバーがいうと
「すごいね~ まねしちゃお」とみんなで盛り上げます。

 こんな感じで
「店長おすすめありますか?」とストックに駆け込んできた女子社員と
一緒にいろいろな靴を探してお客様に一生懸命すすめ、決まったらみんなで喜び、
お店がひまなときはいろいろな話をしたり、楽しいメンバーのお店でした。
 
 一日の仕事が終わるとへとへとでしたが、遅番チームで一杯ビールを飲んだり。
思い出に残るのは、6畳のワンルームのわたしの一人暮らしの部屋に全員で来て、
みんなで料理を作ってビールを飲んで、ぎゅうぎゅうで寝て、
次の日出勤したことです。

あるときはバーゲンの呼び込みを一週間やって声がまったく出なくなったり、
バーゲン初日に熱が出てふらふらしながらがんばったりしました。
お店のメンバーもずいぶん支えてくれてとっても青春な店長一年生でした。
売り上げはなんとかぎりぎり昨年を越えていたような成績でした。

次回は
●ヤクザの姉御みたいなお客様にも重ね売り

です

読んでいただきありがとうございます♪