●ヤクザの姉御みたいなお客様にも重ね売り
渋谷パルコと違いまして、たまにはヤクザの姉御みたいな人がきます。
すごい剣幕でお店に入ってきて
「ちょっと!この靴!どういうことよ!」とはいていた靴をぬいで
床になげつけました。
夏のバーゲンで数日前に売れた、花柄にパンチングした白いハイヒールでした。
お店のスタッフはみんなびくびくしています。
「お客様、どうされました?」といって近づくと、
「この靴!痛いじゃないの!返品するわ!」とすごい剣幕。
靴をぬいで仁王立ちしている足を見てみると、あららら、ほんとに赤く腫れています。
しゃがんで「これは、痛いですね・・・。大丈夫ですか?」
「大丈夫も何も、歩けないわよ!どうなってるの?!
わたしのだんなはね、コレなんだから!」とほっぺを指で斜め切りのポーズ。
「お客様、どうぞおかけください。スリッパをどうぞ。」
お客様は何もいわずにスリッパをはいてぷりぷりとしながら椅子にかけました。
「お客様の場合は、甲がうすいきれいなお足ですので、
こうした高いヒールですと前に足がすべって、痛くなってしまうことがあるのですね」
と足をやさしくなでながらいいました。
座ったせいか、ちょっと気がおさまってきたらしく、お客様。「あら、そう」
そして前部分にフェルトをいれ、「この靴の場合は、すこし調整すると
楽にはくことができますよ。デザインはとてもお似合いですものね。」というと、
「気に入って買ったのよ」
・・・実はこの靴、一回はいてしまっているし、返品を受けることはできません、が、
そんなことはいえません・・・。
「お客様の場合は、ほんとうはこういうデザインを選ばれると
足がいたくならないんですけどね。」と
別のセールのはきやすい靴をさりげなく試着してもらいます。
「すごく楽。痛くない・・・」だいぶほっとしています。
「ヒールが低くてもお客様のファッションをそこねませんでしょう?」というと
「ほんとね」と鏡の前で右左に。
「こちらのハイヒールは痛くなくはけるように、いま調整してきますね。」
といってお客様を一人にし、すこし時間をおきました。
スタッフははらはらと遠巻きに陳列変えなどしながらみています。
ひとりになっている間に、お客様はほかの棚をみたり、
今履いた楽な靴を履いてみたりして、だいぶおちついて普通の感じになってきました。
「このように調整しましたが、いかがでしょう?
足がすこし赤くなっていらっしゃるのでまだ痛いかもしれませんが・・・・」
「足がなおったら履くわ。今日はこれを履いていけばいいわね。」
と、お客様はさきほどおすすめした靴を指しています。
やった!
返品をまぬがれ、一足さらに買っていただけました。
最初の剣幕もどこへやら、楽しげに帰っていかれました。
スタッフ一同 いえ~い!とストックで盛り上がったのはいうまでもありません。
ひとつひとつ、何をしたらお客様が喜ぶのかを、お客様が教えてくれたのでした。
読んでいただきありがとうございます。
ここまでは販売のときの体験をいくつか書きましたが、
このあとはちょっと違う話になります。
次回は●売上げ不振に苦しみ、企画書を描いてみるです。
渋谷パルコと違いまして、たまにはヤクザの姉御みたいな人がきます。
すごい剣幕でお店に入ってきて
「ちょっと!この靴!どういうことよ!」とはいていた靴をぬいで
床になげつけました。
夏のバーゲンで数日前に売れた、花柄にパンチングした白いハイヒールでした。
お店のスタッフはみんなびくびくしています。
「お客様、どうされました?」といって近づくと、
「この靴!痛いじゃないの!返品するわ!」とすごい剣幕。
靴をぬいで仁王立ちしている足を見てみると、あららら、ほんとに赤く腫れています。
しゃがんで「これは、痛いですね・・・。大丈夫ですか?」
「大丈夫も何も、歩けないわよ!どうなってるの?!
わたしのだんなはね、コレなんだから!」とほっぺを指で斜め切りのポーズ。
「お客様、どうぞおかけください。スリッパをどうぞ。」
お客様は何もいわずにスリッパをはいてぷりぷりとしながら椅子にかけました。
「お客様の場合は、甲がうすいきれいなお足ですので、
こうした高いヒールですと前に足がすべって、痛くなってしまうことがあるのですね」
と足をやさしくなでながらいいました。
座ったせいか、ちょっと気がおさまってきたらしく、お客様。「あら、そう」
そして前部分にフェルトをいれ、「この靴の場合は、すこし調整すると
楽にはくことができますよ。デザインはとてもお似合いですものね。」というと、
「気に入って買ったのよ」
・・・実はこの靴、一回はいてしまっているし、返品を受けることはできません、が、
そんなことはいえません・・・。
「お客様の場合は、ほんとうはこういうデザインを選ばれると
足がいたくならないんですけどね。」と
別のセールのはきやすい靴をさりげなく試着してもらいます。
「すごく楽。痛くない・・・」だいぶほっとしています。
「ヒールが低くてもお客様のファッションをそこねませんでしょう?」というと
「ほんとね」と鏡の前で右左に。
「こちらのハイヒールは痛くなくはけるように、いま調整してきますね。」
といってお客様を一人にし、すこし時間をおきました。
スタッフははらはらと遠巻きに陳列変えなどしながらみています。
ひとりになっている間に、お客様はほかの棚をみたり、
今履いた楽な靴を履いてみたりして、だいぶおちついて普通の感じになってきました。
「このように調整しましたが、いかがでしょう?
足がすこし赤くなっていらっしゃるのでまだ痛いかもしれませんが・・・・」
「足がなおったら履くわ。今日はこれを履いていけばいいわね。」
と、お客様はさきほどおすすめした靴を指しています。
やった!
返品をまぬがれ、一足さらに買っていただけました。
最初の剣幕もどこへやら、楽しげに帰っていかれました。
スタッフ一同 いえ~い!とストックで盛り上がったのはいうまでもありません。
ひとつひとつ、何をしたらお客様が喜ぶのかを、お客様が教えてくれたのでした。
読んでいただきありがとうございます。
ここまでは販売のときの体験をいくつか書きましたが、
このあとはちょっと違う話になります。
次回は●売上げ不振に苦しみ、企画書を描いてみるです。