そのころ その丘を駆け登るのが好きだった
お日さまが燦々と近くなり 何かを語ってくれた
甘い風が頬を撫で通り過ぎていく
てっぺんにはそれはそれは瀟洒なお宅
まわりには色とりどりのお花が揃って
そのころ そこだけ色彩の音楽が流れていた
その日も花壇に水やりしているお嬢さんがいた
赤いスカートとピンクの水玉模様のヘアー・バンド
笑顔が素敵な丸顔
速く駆け抜けて垣根を越える勢いから逃れよう
「ごめんごめん わざとじゃないから ごめん」
「いいんです。どうせ汚いシャツですから」
あれから何年たったのだろう
僕が東京の大学に入ったころ
遠くのお金持ちに嫁いだと聞いたけど
あの水撒きは今でも僕の心のオアシスを潤し
色とりどりの世界へと向かわしてる
鮮やかなままであれ 過去 今 未来
yatcha john s. 「ピンクの水玉模様のヘアー・バンド」
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