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世界で一番美しい元素図鑑

2011-03-25 20:22:51 | 科学
 以前から欲しかった「世界で一番美しい元素図鑑」というものを本屋で見かけたので購入しました。



創元社
世界で一番美しい元素図鑑
セオドア・グレイ(著)
ニック・マン(写真)
若林文高(監修)
武井摩利(翻訳)
価格 3990円(税込み)

公式サイト
見本のページ

 私は昔から元素には結構興味がありました。高校生の頃は元素の周期表を全て憶えていたりして、化学でもこの分野に限っては得意でした。当時は元素を集めたいという気持ちもあったのですが、集める方法がわからなかったのですぐにあきらめました。ところがこの著者は元素コレクターということで、本当に集めている人もいるのだと驚き、その上に元素コレクターは世の中にたくさんいるようでさらにびっくりです。

 各ページには著者自慢の様々なコレクションが美しい写真と見事なセンスで並べられています。コレクションは元素の塊そのものであったり、その元素が含まれる特殊な部品や工具であったり、薬剤やアクセサリーやおもちゃであったりと多彩です。文章もしゃれていて、読み物としても面白い物になっています。


金のページ

 どうでもいいですが、前書きには「本書に写真が載っているものはほとんどすべて私のオフィスのどこかにあります。(略)水素のページでお会いしましょう!」とか書いてありながら、水素のページを見るとハッブル望遠鏡がとらえたヘビ座のワシ星雲がいきなり掲載されていて、「あんたのオフィスはでけぇんだなぁ」と思いましたが。

 また、私が妙に共感した部分はキセノンという希ガス元素のページです。希ガスは通常は他の元素と化合しないものですが、それを前提にして以下のように書いてあります。

「けれども、とんでもないことに、1962年にキセノンは普通の元素と化合した現場を押さえられてしまったのです。(略)たとえば二フッ化キセノンはどこの研究所の商品カタログにも載っていて、注文するとありふれた瓶に入って届きます。ショックとしか言いようがありません。希ガスにあるまじきふるまいです。」

 私にはこの著者のショックと元素の「あるべき」論がよくわかります。そう理想通りにいかないのも元素の面白さでしょうけど。

 著者は放射性元素のコレクションはどうしているのかと考えていたら、「よく見たらこの鉱石のどこかに一つか二つあるかも知れない」などの変化球で対応していました。他にも医療に使う器具での紹介などもあり、放射性物質は恐ろしいという感情的なイメージだけでなく、専門家がどう取り扱っているかなどの情報も記述されています。こんな時期だから、正しい知識を身につけたいところです。

 とにかく眺めるだけでも楽しい図鑑で、子供だけでなく大人や科学者にも勉強になる本でしょう。


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