光より速い粒子が観測されたとのニュースが流れていました。スイスにある欧州合同原子核研究機関(CERN)の粒子加速器からイタリアのグランサッソ国立研究所に向けてニュートリノを飛ばしたら、その速度が光が届くより60ナノ秒速かったというものです。本当だったら凄いことですね。これまで散々検証され正しいとされてきた相対性理論が成り立たない場合があるということですから。でも私は期待2割、疑い8割といったところです。
ご存知のように、物質は光の速度(正確には、真空中の光の速度)より速く運動することはできない(正確には、光の速度はどのような観測者から見ても同じ)ということがアインシュタインの相対性理論の前提条件になっています。光速度不変は証明されたわけではなくて、このような前提を考えるとものごとがうまく説明できるというだけのものです。だから光速度不変をくつがえす条件などは皆無であるとは言い切れないのです。
記事を読んでみると、研究施設の位置をGPSで測定したと書いてあります。一番ありうるとしたらGPSの測定位置の誤差ではないでしょうか。光速度を毎秒30万kmとすると、60ナノ秒間に光がどれだけ進むかというと18mです。つまりスイスから光とニュートリノが同時に放出されたとしたら、イタリアに着く頃にはニュートリノの方が光よりも18m先行していたという計算です。GPSの精度を考えると、18mくらいはすぐにずれそうなものです。カーナビ等で実感されている方もいるでしょう。実際は質量のある物質が光速度に達することはないとされているので18m以上の誤差があったことになるでしょうが、それにしても微妙な速度差ですね。
光というのは速い速いと言われますが、私にとっては光の速度というのは絶望的に遅いような感じがするのです。月まで1.3秒、太陽まで8分19秒、隣の恒星まで4年以上もかかるのです。この縛りがあるため人類は太陽系を出ることはないでしょう。光速度が何によって決定されたかは知りませんが、光速度というのは空間の性質そのもので、ひょっとしたら宇宙が生まれた当初のちょっとしたパラメータの揺らぎで決まったのかもしれません。もし光速度が大きな宇宙があったとしたら、そこにいる知的生命体は自在に宇宙旅行をしているでしょう。宇宙人が地球に来ているとしたら、光速度の大きな別の宇宙からワームホールを通って来たに違いありません。
それはさておき、今回の実験の測定結果に間違いが無いとしたら大変な発見です。相対性理論が成り立たない場合があるということで、その条件が明らかにできれば、相対性理論の修正(拡張)によって科学技術にさらなる可能性が生まれるということですから。ニュートン力学は相対性理論と量子力学と結合されて現代物理学を構成していますが、この結果によってさらに拡張されることを(過度な期待しないで)楽しみにしています。
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おまけですが、粒子加速器といえば、随分昔に筑波にある高エネルギー研究所(KEK)で実験の手伝いをしたことがあります。加速された粒子に電磁場をかけて軌道を変える場合、制動放射という現象が起きて粒子から光が出てきます。この放射光を様々な実験に利用する施設がここKEKにあります。
この写真は実験に行った時のものではなく、その後に見学に行った時のものです。筑波山の見事な姿が見えます。
実験施設のビームラインはこのようになっています。ここに交代要員として3日ほど泊まり込んで24時間体制で実験していました。交代の時間になると15分ほど歩いて敷地内の宿舎に寝に行くのですが、夜中だと広大な敷地のあちこちで真っ赤なランプが回転していて、かなり怖いものがありました。実験期間中は食事だけが楽しみでしたが、選択肢がカップラーメンかKEK食堂しかありませんでした。今なら近くにコンビニができて便利になったとのことです。ただし歩いて行くと敷地から出るだけでも時間がかかるでしょうが。
ご存知のように、物質は光の速度(正確には、真空中の光の速度)より速く運動することはできない(正確には、光の速度はどのような観測者から見ても同じ)ということがアインシュタインの相対性理論の前提条件になっています。光速度不変は証明されたわけではなくて、このような前提を考えるとものごとがうまく説明できるというだけのものです。だから光速度不変をくつがえす条件などは皆無であるとは言い切れないのです。
記事を読んでみると、研究施設の位置をGPSで測定したと書いてあります。一番ありうるとしたらGPSの測定位置の誤差ではないでしょうか。光速度を毎秒30万kmとすると、60ナノ秒間に光がどれだけ進むかというと18mです。つまりスイスから光とニュートリノが同時に放出されたとしたら、イタリアに着く頃にはニュートリノの方が光よりも18m先行していたという計算です。GPSの精度を考えると、18mくらいはすぐにずれそうなものです。カーナビ等で実感されている方もいるでしょう。実際は質量のある物質が光速度に達することはないとされているので18m以上の誤差があったことになるでしょうが、それにしても微妙な速度差ですね。
光というのは速い速いと言われますが、私にとっては光の速度というのは絶望的に遅いような感じがするのです。月まで1.3秒、太陽まで8分19秒、隣の恒星まで4年以上もかかるのです。この縛りがあるため人類は太陽系を出ることはないでしょう。光速度が何によって決定されたかは知りませんが、光速度というのは空間の性質そのもので、ひょっとしたら宇宙が生まれた当初のちょっとしたパラメータの揺らぎで決まったのかもしれません。もし光速度が大きな宇宙があったとしたら、そこにいる知的生命体は自在に宇宙旅行をしているでしょう。宇宙人が地球に来ているとしたら、光速度の大きな別の宇宙からワームホールを通って来たに違いありません。
それはさておき、今回の実験の測定結果に間違いが無いとしたら大変な発見です。相対性理論が成り立たない場合があるということで、その条件が明らかにできれば、相対性理論の修正(拡張)によって科学技術にさらなる可能性が生まれるということですから。ニュートン力学は相対性理論と量子力学と結合されて現代物理学を構成していますが、この結果によってさらに拡張されることを(過度な期待しないで)楽しみにしています。
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おまけですが、粒子加速器といえば、随分昔に筑波にある高エネルギー研究所(KEK)で実験の手伝いをしたことがあります。加速された粒子に電磁場をかけて軌道を変える場合、制動放射という現象が起きて粒子から光が出てきます。この放射光を様々な実験に利用する施設がここKEKにあります。
この写真は実験に行った時のものではなく、その後に見学に行った時のものです。筑波山の見事な姿が見えます。
実験施設のビームラインはこのようになっています。ここに交代要員として3日ほど泊まり込んで24時間体制で実験していました。交代の時間になると15分ほど歩いて敷地内の宿舎に寝に行くのですが、夜中だと広大な敷地のあちこちで真っ赤なランプが回転していて、かなり怖いものがありました。実験期間中は食事だけが楽しみでしたが、選択肢がカップラーメンかKEK食堂しかありませんでした。今なら近くにコンビニができて便利になったとのことです。ただし歩いて行くと敷地から出るだけでも時間がかかるでしょうが。
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