ウィリアム・グラント・スティル:
・交響曲第1番 「アフロ・アメリカン」
デューク・エリントン:
・「河」からの組曲(編曲 : ロン・コリエ)
指揮:ネーメ・ヤルヴィ
デトロイト交響楽団
CHANDOS: CHAN 9154
黒人クラシック作曲家は珍しいのですが、その最初の人となったのがアメリカのウィリアム・グラント・スティル。なぜ珍しいかというと理由は当然で、彼らには独自のブラックミュージックがあるからです。それは彼らの優れたリズム感や運動能力を発揮出来る音楽であり、西洋音楽のように形式張ったものではありません。乱暴に言えば、西洋のクラシック音楽はキリスト教的な神に捧げるためのものから発展しているのに対し、ブラックミュージックは自分たちの生活から生まれたものです。
そんなスティルの交響曲第1番は「アフロ・アメリカン」の副題が付いており、言わばブラックミュージックの路線で作曲家をやっていくという宣言といえるでしょう。全体としては伝統的ドイツ音楽にのっとった4楽章構成ですが、誰が聴いてもすぐわかるほどブラックミュージックの割合が大きいものとなっています。ブルー・ノート・スケール(ド、レ、♭ミ、ファ、♭ソ、ラ 、♭シの音階)を駆使し、ワウワウミュートを付けたトランペットやビブラフォンが用いられ、強いリズムやシンコペーションが特徴的です。
動画はこのCDの第3楽章。交響的ではありますが、交響曲とは思えません。ガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーかブロードウェイ・ミュージカルの序曲のように聴こえます。オーケストレーションはなかなか整理されており、それがかえってある種の泥臭さを主張しているような気がします。私はスティルの作品は今の時点ではこの一曲しか聴いたことがありませんが、他の作品にもあたってみたいですね。
カップリングのデューク・エリントンはもちろんジャズの音楽家。「A列車で行こう」などが有名です。収録されている「河」はもともとバレエで、そこから抜き出してオーケストレーションし、組曲としたものがこの曲のようです。下の動画は恐らくこのディスクからの録音と思われるもので、いかにもジャズっぽい一曲を選んでみました。
ジャズは20世紀の西洋音楽に大きな影響を与えました。多くの作曲家はジャズの理論を再構築して独自の音楽を作成しました。そこで作られたいろいろなヘンテコ音楽も面白いですよ。
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