
芥川也寸志:
・交響管絃楽のための音楽
・弦楽のための三楽章 - トリプティーク
・交響曲第1番
・エローラ交響曲
指揮;芥川也寸志
新交響楽団
fontec: FOCD 9079
嫁が昔マンドリン・オーケストラに所属してまして、そこで芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」を演奏したことがあり、とてもいい曲だということで買ったCDです。
芥川也寸志は芥川龍之介の三男で作曲家です。伊福部昭(映画「ゴジラ」の音楽を製作)の弟子になります。「交響管弦楽のための音楽」は1950年に作曲された二楽章構成の作品です。この曲について、CDのライナーノーツから引用します。
「(略)この作品ができた頃は、日本の社会は敗戦後の混乱期にあり、戦後もまだ5年を経過したばかりである。戦争によって多くを失ない、破壊され、物資の不足、相次ぐ急激なインフレと、国民生活は困難を極めた時期である。だがしかし同時に忌まわしい戦争から解放され、平和が蘇えった喜びにひたった時期でもある。そして国民は一路復興を目指して活動し始めたのである。この第1楽章をきくと、市民たちは生きるために目まぐるしく、忙しそうに街を歩き、街頭は活気に溢れて、気ぜわしいが、アクティーヴな気持が漲っているようによみとれるのである。トロンボーンの吹奏で始まる第2楽章も勇壮である。ここで咆哮する活力は躍動性に満ち、新たな気持ちで立ちあがり、建設に向う明るく力強い音楽である。(略)」(引用ここまで)
このように、当時多くのものを失った日本人が立ち上がるという音楽なのです。音楽の端々に日本的な泥臭さが感じ取れますが、泥臭くなければ復興なんかできないというなりふり構わないエネルギーを感じます。この曲を聴いて、このたびの地震で被害を受けた地域、および日本が、力強く復興することを願わずにはいられません。
YouTubeに動画がありました。管弦楽ではなく吹奏楽(バイオリンなどを含まない)への編曲のようです。
ブルー・タイ ウィンド・アンサンブル演奏会
指揮:池上政人
演奏:洗足学園音楽大学 ブルー・タイ ウィンド・アンサンブル
第1楽章
第2楽章
こちらはこのディスクの演奏。4分17秒より第2楽章は比較的単純なブロック構造を持ち、打楽器を多用したり、あえて洗練されていない旋律を繋いだりと泥臭くエキサイティングな音楽。「かっぽれ」を西洋音楽風に仕立てたもののように聴こえます。私は6分29秒からの流れにグッときますよ。
クラシックCD紹介のインデックス
芥川龍之介の三男の也寸志氏が作曲家だとは知っていましたが、伊福部昭の弟子だとは知りませんでした。どことなくテイストを継承していると感じたのは、事前情報故でしょうか? あと楽団の皆さん、楽団の名前の由来だと思いますが、青いタイをしているのですね。皆さん、ブルータイがお洒落で素敵でした。
芥川也寸志は伊福部昭にかなりの影響を受けたとのことで、ズンドコ感のある作風は確かに似ていますね。それこそが日本的な要素であり、日常感のある音楽としてストンと収まるような感じです。
青いタイはオシャレで若々しいですね。この洗足学園音楽大学は神奈川県川崎市にあり、私も一度演奏会に行ったことがあります。この大学はドラマ「のだめ」のロケもあったのですよ。