ゼビウスには多くの続編がありますが、ファミコンの名移植の続編がこの『スーパーゼビウス ガンプの謎』です。アーケード版にもスーバーゼビウスがありますが、そちらは単なる難易度アップ版ですが、本作とはファントムつながりでもあります。
ゼビウスの魅力とは、ドライながら実在感のあるグラフィック、意味ありげな敵の種類や行動パターン、まだ何か隠されているんじゃないかと思わせる神秘性などでしょう。これらを発展させて、シューティングに謎解き要素を加えたのが本作の特徴です。
各エリアにはそれぞれ謎が設定されていて、ある条件を満たさないと次のエリアに進めなくなっています。条件を満たすまで同じエリアをループさせられますが、4ループしてしまうと燃料切れで墜落してしまうという設定。ある条件とは普通に特定の敵を倒すとか味方機と合体するなどわかりやすいものも多いのですが、幾つかのエリアではやや難しい条件が設定されており、そこでつまずく人もいそうです。他にも裏ルートがあって、隠しパワーアップができるといった秘密もあり。
シューティングとしての難易度はそこそこで、謎解きがなければプレイしやすいでしょう。バックザッパー、ワイドプラスター、バリアのパワーアップがあり、前作と比べて自機が飛躍的に強くなっています。さらに隠しパワーアップでスーパーザッパーがあり、あのバキュラも一発で破壊できるというゼビウスファンの夢がかないます。ただし通常ザッパーでも破壊可能なようです。もう「256発も撃つのは不可能だ」と嘆く必要もありません。そもそもデマだし。
エリア1では前作をイメージさせる背景ですが、人工構造物がより込み入ったものになっていて、敵ゼビウス軍の進化を感じます。隠れキャラのソルも健在。ただし本作では謎解きには関わってこないのが有難いような残念なような。ソルを8本破壊する、なんていう条件があってもよさそうなものですけどね。
エリア1の途中には雲が漂っており、この雲のいずれかに突入するというのが最初の謎解きになります。雲の裏側には敵機が隠れていたりするのがゼビウスとしては新しい要素。当たりの雲に突入すると上空シーンがしばらく続いて、敵機に牽引されるファントムが出現します。これを救助して合体すると、その後のエリアでパワーアップアイテムを出してくれるようになります。アイテムは同時に3個落としますが、うまくかぶりつくと全部回収できます。少なくとも2個は取りたいところ。
アンドアジェネシスももちろん登場。ワイドブラスターを装備していたら楽勝です。画面のスクロールが止まるのも、もう気にしません。
アンドアジェネシスを倒すとコアの中に進入。前作に出てきたタルケンが配置されているほか、隠れキャラで上の写真のようにジアラが一機出現します。どうでもいいですが、敵要塞に進入するゲームってよくありますが、こういうふうに要塞の見た目と中身の大きさが異なるのって個人的にはイマイチなのです。ゲームにする上では当然なのでしょうけれど、私としては大きさを合わせて欲しいのです……。
あるエリアで条件を満たすと、なぜか夜になってパワーアップするという裏ルートに進みます。写真では前作にも出てきた味方機のシオナイトと合体しており、これがクリア条件になっています。合体方法は写真を見たらおおよそ想像つくかもしれませんが、前作をやり込んだプレイヤーほど「シオナイトは特になにもしないキャラだ」という固定観念があるため、合体方法に気づきにくいに違いありません。
もちろんスペシャルフラッグも隠されています。前作からの恒例で水辺にあることが多いようです。ちなみにエリア1ではスペシャルフラッグとは別の旗が隠されています。ある程度ゼビウス慣れしていると、ここに何かあるだろうという勘が働きますので、クリア条件をすぐに満たさずに何ループかしてみるといいでしょう。スコアも稼げて残機も増えるので、それだけクリアに余裕ができます。
最終ボスは分裂した4機からの攻撃。地上物なのでブラスターでしか破壊できません。動きをパターン化するのが良いでしょう。写真ではスーパーザッパーを装備しており、自機の形状が変わっています。
クリアするとエンディングの字幕が流れますが、字幕をスプライトで表示するという強引な技を繰り出しているため、大変なチラツキになっています。別にBG画面に字幕を書いてスクロールさせればいいと思うのですが……。エンディング中にスタートボタンを押すと2周目がスタートしますが、実はそこまでクリアしていません。いずれプレイするかもしれません。
全体的に難易度がうまく設定されており、嫌気がささないうちにクリアすることができました。カートリッジは金メッキが施されてなかなか高級感があり、当時は結構大々的に売り出していた記憶がありますが、私の周囲では誰も持っていませんでした。謎解き要素が邪魔くさく感じられたからでしょうか。ただ単にゼビウスやりすぎて飽きてしまったからでしょうか。あるいはゼビウスの神秘は神秘のままであって欲しく、それを暴くゲームというのが無粋に感じられたからでしょうか。
地下洞窟や火山地帯など前作ゼビウスとは異なる湿っぽいテイストのエリアもあり、変化に富んではおりますが、そういう具体性の高い舞台も神秘性を薄めてしまったのかもしれません。初代ゼビウスに入れ込んだ人ほどひょっとしたら本作に抵抗があったような気がします。ゲームとしてしまった以上、この「ガンプの謎」はゼビウスの唯一の正解であり、ゼビウスがそれ以上でもそれ以下でもなくなってしまったと感じた人がいても不思議ではありません。そういう人にとっては、本作はゼビウスの「楽屋裏」に見えたことでしょう。その気持ちはなんとなくわかります。
ただ、私のゼビウス歴はPCからスタートしているためプログラミング技術的な興味が強く、あまり神秘性にこだわっていなかったという面があります。シューティング+謎解きというのも普通に面白そうだと思っておりました。今になってプレイし、クリアしてみて、十分に楽しい作品であったのは揺るぎません。
でも気づいてしまったのです。私のゲーム歴はゼビウスの時代をカバーしていていも、人類が初めてゼビウスを目にした時の熱狂を共有していなかったことになります。漫画『ゲームセンターあらし』が連載終了したのも「ゼビウスでゲームが独自のストーリーを持つようになって漫画にしづらくなったから」と作者のすがやみつる氏が語っています。このような衝撃が私にはなかったわけで、まあゼビウス発売当時にアホ小学生だった私にはゲームを見る洞察力などありはしなかったのですが、なにか今になってすごくMOTTAINAI感が湧いてきましたよ。
サーバーを提供しているジオシティーズサービスが
来年3月で終了するそうです。移転が必要になりますので、
念のために報告しておきます。